撤退
「強制変換!!!」
ドッ!!
地面に手をつく秋雨
ズズズズズズズ…
「おいおい…!冗談じゃないぞ…!!」
シュルの頬を汗が伝う
ズプン
蜘蛛が全て地に飲まれていく
「沼に変えたのか…!?」
「この一帯、全てを…!?」
「ジョ-カ-さん!!」
「解っている!!」
「スペ-ド!クロ-バ-!!」
「おう!だぜ!!」
「任せな!!」
ドプン!
沼に手を付けるスペ-ド
「超重化!!」
ズズズズズズズ!!
「うぉ…!?」
ぐらつくスルメ
「風雲・北風!!」
「薄影・斬!!」
スパァァン!!
「かぁ…!!」
ドプン…
「スルメ!!」
スルメが沼に飲まれていく
「行くなよ?綠」
「しかし!ヤグモ様!!」
「「行くな」と言っている」
「地の利は向こうにあるからな」
「…ッ!!」
「お前が行かずとも、奴達に未来はない」
「柱がない家など、そよ風で倒れる物だ」
「…そうですね」
「スルメは生き返らせよう」
「スルメだけではなく、バムもメデゥも輪禍も…、皆、生き返らせる」
「何よりハジャ様を…、な」
「はい…!!」
「シュル、綠、炎鬼、お前達は先に帰っていろ」
「俺は用を済ませる」
「了解しました」
「それで、青龍の代用品は?」
「ルドネスで十分だ」
「…解りました」
「俺の新しい毒も開発しておけ」
「この毒は、もう奴達には効かん」
「はい」
「では…」
煙幕移動するシュル達
「下がれ!ジョ-カ-!スペ-ド!クロ-バ-!!」
「解っている!!」
「ハ-ト!輝鈴!!」
「解ってるわよ…!でも…!!」
「輝鈴!ねぇ!輝鈴!!」
ボウッとしている天鹿和
「青龍…、仇は取った…」
「仇は…」
「しっかりしてよ!輝鈴!!」
「もう無理だな」
「壊れている」
「!!」
ヤグモがハ-トと輝鈴の前に現れる
「死なせてやるんだな」
「嫌よ!絶対に嫌!!」
「お前も共に死ぬと良い」
「孤独な死は辛いだろう?」
小さく笑うヤグモ
「輝鈴!しっかりして!!」
「逃げるわよ!!」
「仇は…取った…」
「輝鈴!!」
「死ね」
ガキィィィィン!!
ヤグモの脚をメタルの刀が弾く
「…死に損ないが」
「逃げろ…、バカ共…」
「メタル…!アンタ、生きて…!!」
「とっとと…行け…」
ドスッ!!
メタルの肩にヤグモの脚が刺さる
「がぁ…!!」
「早く死ね」
「…ッ!!」
天鹿和を引っ張り、秋雨達の元に走っていく
「行かせるとでも…!!」
ズブッ
メタルがヤグモの脚を掴む
「…言わなかったか?」
「しつこい男は嫌われるぞ」
「諦めが悪くてな…!!」
「早く死ねば良い物を…」
ドスッ
「…ッ!!」
メタルの腹部にヤグモの脚が突き刺さる
「どうだ?」
「死ぬか…!ボケ…!!」
「…八ツ手ノ大蜘蛛」
バチバチバチ…
「ギ…ギギ…」
動きが鈍くなっていく兵器達
「何でしょうか…!?」
「アレは…!!」
「秋雨-!!」
「GL!!」
GLとウェンが浮遊船に乗っている
「あの浮遊船は…!!」
「乗るのじゃ!!」
「誰だ?アレは」
「確か…、シ-とかいう科学者だな」
浮遊船
「間一髪じゃったのう…」
「どうして、シ-さんが?」
首をかしげる竜山
「…それは、この男に聞くんじゃな」
カツン、カツン…
イトウが奥から出てくる
「イトウさん…!?」
ガタン!!
構えるスペ-ドとクロ-バ-
「落ち着け」
「俺は敵じゃない」
「よく言うぜ…!!」
「そこで寝てるダイヤをやったのは誰だ!?」
「…確かにヤグモの前では演技をしていた」
「そのダイヤとか言う子に危害を加えたつもりはないが」
「思いっきり加えただろ!!」
怒鳴るクロ-バ-
「味方と敵の区別を無くすとか何とか…」
「アレは薬の副作用に過ぎない」
「本来は眠り薬だ」
「…危険な薬じゃのう」
「…信用は出来んな」
イトウを睨む蘭斬
「確かに演技だったかも知れん」
「だが、お前のせいでメタルが死んだのも事実だろう?」
「…言い逃れはしない」
「事実は事実だ」
「そうは言うがな、蘭斬」
「何だ?ウェン」
「下の機械を止めたのも、俺とアマを救い出したのもイトウだ」
「このシ-とか言うジジィは浮遊船に乗ってきた」
「…どういう事か、説明してくれるな?イトウ」
「ああ、全て話す」
「だが、ここは危険すぎる」
グゥン…
浮遊船が進行方向を変える
「何処に行くんですか?」
「研究所?」
「いや、研究所はヤグモが位置を知っている」
「行くのは、最も安全な所だ」
「安全な所?」
「鬼面族の村だ」
「鬼面族?」
「私が説明します」
ユウリが出てくる
「ユウリか…!?あの五神三聖の総主教の!?」
「どうも…」
一礼をするユウリ
「アンタ、今まで何処に居たの?」
「隠れてました…」
「あの戦いの中?」
「すいません…、戦いは嫌いでして…」
「…そう」
聖地
「うわ…、泥沼ですよ?コレ」
「文句を言うなアル」
「メタルの死体を捜すアルね」
「解ってますけど…」
泥の上を歩くガムナとユウリ
「…!」
「どうしたアル?」
「もう少しで、浮遊船に居る僕の分身が消えます」
「…急いだ方が良い有るね」
「分身が消える瞬間、騒ぎを起こすアルから、その隙に乗り込むアルよ」
「ありがとうございます」
「まったく!国王も無茶苦茶な事を言うアルね!!」
愚痴るガムナ
「愚痴っちゃダメですよ、ガムナさん」
「炎鬼も考えが有るんですから」
「…そうアルね」
ゴン
ガムナの脚に堅い物が当たる
「…コレまた、酷い物アルね」
無残に斬り裂かれたメタルの死体
「さて、運ぶアルよ」
「コレをですか!?」
「じゃぁ、どうするアルか?」
「他に方法があるのなら、言って欲しいアルね」
「うぅ…」
渋々、メタルの死体を担ぐユウリ
「ガムナさんは持たないんですか…?」
「別に運ぶ物が有るアル」
「そうですか…」
読んでいただきありがとうございました