無職の少女
火衣良ちゃんの風紀委員脱退から、2時間が経つ
「起きないな…」
「起きないね…」
火衣良ちゃんは中々起きない
「あ!竜山!!」
「ん?」
「今日は休みらしいぞ!」
「何で?」
「依頼達成したから」
「なるほど」
「俺だけだろ?」
「依頼達成したの、お前だしな」
「じゃぁ、いってらっしゃい」
「おう!行ってくる!」
「火衣良ちゃんの面倒、見てあげてね!!」
「解ってるよ」
生徒会室では、春白さんに報告していた
「春白さん」
「何?」
「言われた通りに依頼されので、達成してきました!!」
「うん!流石ね!!」
「で、報酬は?」
「え?」
「依頼達成したから、報酬、くれたでしょ」
「いえ、貰ってませんよ」
「…誰から依頼されたの?」
「首狩さんです」
「!!」
「どうかしました?」
「アイツは学園内情報屋でね…」
「?」
「秋雨君、人が良いから、つけ込まれたわね…」
「!!」
「仕方ないわ…、詳細は会長に報告した?」
「まだです…」
「しなさい」
「…はい」
その日の仕事は、特になく、それで終わってしまった
「ハァ~…、憂鬱だな…」
流石に落ち込んで寮に帰り着くと…
「ちょっと待て~!!」
部屋から、竜山の叫び声
小さな女の子の笑い声も聞こえる
「火衣良ちゃん、起きたのかな?」
「ただいま~」
「…」
上半身、裸の竜山
脱ぎかけの服を引きずりながら、走る火衣良ちゃん
「竜山…」
「手、出すなって言ったのに…」
「ち…、違う!誤解だ!!」
「火衣良ちゃんが植物状態だったから、風呂入ってないだろ?」
「それで、入れようとしてたのか…」
「そう言うことだ!!」
「あ!ちょっと待て!!」
追いかけ回す竜山と、逃げ回る火衣良ちゃん
これを見ると、本当に兄弟みたいだな…
「捕まえた!」
「捕まっちゃた…」
「はい!お風呂入るよ!!」
「むぅ~」
「ゆっくり入って来いよ」
「秋雨は、後で入ってくれ」
「解った」
2人が風呂に入った後も、しばらく笑い声は続いていた
「幸せな奴らだな…」
「ただいま~」
「お!おかえり」
「あれ?竜山と火衣良ちゃんは?」
「風呂」
「一緒に入ってるの!?」
「…言われてみれば」
「ま、大丈夫だろ」
「本当かな…」
「あ!」
「どうした?」
「私達も一緒に入る?」
「…却下」
「え~」
「お前も女だろ…」
「後で、エネルギ-頂戴ね!」
「へいへい」
「ふぅ~、サッパリした~」
「出たか」
「おなか減った!」
「ご飯作ってあげるね~」
「今日は、お祝いに刺身よ!」
「おお!豪華だな!!」
「岩角さんが「お祝いに食べてくれ」ってくれた」
「うぅ…、岩角先輩!ありがとうございます!!」
「いただきま~す!!」
全員そろっての食事
「美味い!!」
「真鯛だろ…、これ」
「岩角さん、釣りが趣味らしいぞ」
「おいしい!」
「頬に醤油ついてるぞ」
「ワサビ取って」
「本当においしいわね」
「ごちそうさまでした!!」
「…さて、問題がある」
「何だ?」
「布団が3つしかない」
「私、床で寝ようか?」
「いや、火衣良ちゃんが、誰かと一緒に寝た方が良い」
「どうする?火衣良ちゃん」
「…火衣良ちゃん?」
「秋雨!アレ…」
そこには、竜山の布団で寝ている、火衣良ちゃんが居た
「…本当に、兄弟みたいだな」
「ん?何か言ったか?」
「いや…、何でもない」
「じゃぁ、寝るか」
「お休み」
「お休み~」
「お休み」
その日は、グッスリ眠れた
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