捨て駒のアジト
「水弾連破!!」
「風斬・木檜!!」
ドォォオォオオオオン!!
アジトの見張りを次々になぎ倒していく金田とガルス
「ガルス、行くぞ」
「ああ、解っている」
アジト、地下
カ-ン…、カ-ン…
「…一気に敵が減ったな」
「そうだな…」
階段を下りる金田とガルス
「…っと、コレは凄いな」
地下には大量の兵器
「捨て駒の基地に、こんな物、置いておくかしら?」
「キユラ!!」
2人の後からキユラが歩いてくる
「私を放っていくなんて、酷いじゃない?」
「何で着いてきた!?」
「仕方ないでしょう?あのままだと敵に見つかっちゃうもの」
「お前の戦闘力なら逃げ切れるだろ!!」
「何処に逃げるの?」
「う…」
言葉に詰まる金田
「私の目的達成は、アナタ達に協力した方が早いわ」
「それだけよ」
「…まぁ、良い」
「それで?コレは何かしら?」
「兵器」
「それ以外の何でもない」
「この科学力って…」
「普通の科学者じゃ無理よ?」
「シ-だろう」
「いや、それ以外の人間も関与しているかも知れない」
「「それ以外」?ああ、シ-の助手達の事?」
「…助手程度の技術じゃない」
「俺の予想は外れて欲しいが…」
「金田!資料が有ったぞ!!」
ガルスが金田を呼ぶ
「資料…、ね」
「4国大戦から数ヶ月前までのメンバ-表、身体検査表に…、活動報告書か」
「そんな物を残していたのか?ヤグモは」
「…本物に違いはない」
「それに、金田の予想通りに、アイツの名前は…」
「勝手に見ないで」
「!!」
カ-ン…、カ-ン…
誰かが階段を下りてくる
「誰だ!?」
「私だけど?」
「ルドネス…!!」
「久しぶりね、キユラ」
「この裏切り者」
「あら、元からヤグモと手を組んだ覚えはないわ」
「強制的に従わされていただけよ」
「アナタは?」
「…関係ない!!」
ガン!!
ルドネスが金田に突っ込む
ガァン!!
「く…!!」
ルドネスを蹴り飛ばす金田
「どうした?動きに迷いが多いぞ」
「それでも、メタルを殺した女か?」
「うる…さい…!!」
「!!」
ルドネスの頭上に大斧が現れる
「風斬奈落」
ドォォォオオオォン!!
「ルドネス!!」
「黙ってろ、キユラ」
「殺してない」
「はぁ…!はぁ…!!」
ガルスの大斧は、ルドネスの顔から紙一重で外れている
「どうして殺さないの…!?」
「お前、好きでヤグモに従っているのか?」
「…ッ!!」
「違うだろ?」
「仕方ないじゃない!!」
「好きな人を守るためには!!」
「…お前も、誰かを人質に取られているんだな?」
「そうよ!!」
「ルドネスに…、そんな理由が…」
「…訳を話せ」
「俺達なら、助け出せる」
「そんな「小確率」に賭けろ、って言うの!?」
「ヤグモが約束を守る方が「小確率」だと思うが?」
「…ッ!!」
押し黙るルドネス
「…ヤグモ様は!私が学園に居たときに好きだった人を人質に取ったのよ!!」
「…やはり、そうか」
「ど、どういう事!?」
困惑するキユラ
「ルドネスは!この世界の人間でしょう!?」
「4国大戦の時から…!!」
「それは、全て嘘の記憶だ」
「仕組まれた…、な」
「…!?」
「誰だ?誰を人質に取られた?」
「蕗東さんよ!!」
「私と同じ考えの!蕗東さん!!」
「…!!」
目を大きく見開く金田
「こっちの世界に来たとき!私はヤグモ様に捕まった!!」
「私を殺さない代わりに「手下になれ」と言ったけど、私は断った!!」
「そしたら…!!」
「…「蕗東を殺す」と脅されたんだな?」
「そうよ!!」
「私は、この世界の人間同様に体を改造されたわ!!」
「でも!蕗東さんのためになら耐えられた!!」
「…そうか」
「残念だが…、蕗東は死んでいる」
「え…?」
「ヤグモが殺したんだよ」
「自分の計画に利用し、失敗した蕗東を」
「そんな…!!」
「嘘…!蕗東さんが…!!」
「…死んだんだよ」
「本当だ」
「どうして…!?ヤグモ様は「生きてる」って…!!」
「それは嘘だ」
「お前は騙されていたんだよ」
「困るなぁ」
「真実を言ってもらっちゃ」
「!!」
金田達の背後の機械が動き出す
「ど-も、皆さん」
「私、シュルと申します」
モニタ-がシュルを映す
「…ヤグモの所の科学者だな?」
「そうでございます」
「で、皆様には、お願いがありまして」
「待って!シュル!!」
「蕗東さんが死んでる、って本当!?」
「…クックック!!」
笑い出すシュル
「ブ-アッッハハハハァ!!気付くのが遅いんだよ!!このアマァ!!」
「とっくに死んでる、っつ-----の!!」
「そんな…!!」
「お前の体を改造したのは俺だぜ!?」
「いや、「俺達」が正しいか…!!」
「…お前と共に手術をしたのが、ヤグモやハジャの手下の記憶を塗り替えた奴だな?」
「よく分かったなぁ!!大正解だよ!!」
「ルドネスは!最近、仲間になったんだからなぁ!!」
「記憶を塗り替えた奴の技術は素晴らしいぜ!!」
「…それだけ聞けたら十分だ」
「ああ!そうだろうなぁ!!」
「お前達にお願い、ってのは…」
ポチッ
ボタンを押すシュル
「死んで貰うことでぇ-----す!!」
ガタァン!!
金田達に銃器が向けられる
「…」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇ!!」
「金田も!ガルスも!キユラもルドネスも!!」
「全て死ねぇ-------!!」
パァン
スパァン
1発の弾丸の音と鋭い音が響く
「…思い上がるなよ」
ドドドドドドドドドドドド!!!
次々に爆発していく兵器
「なぁ…!?」
「最新兵器を、いとも簡単に…!!」
「待ってろ、腐れ外道」
「死ぬのは、お前だ」
「…ッ!!」
プツン
モニタ-が消える
「自爆装置、発動」
「カウントの後、爆発します」
「!!」
「金田!!」
「解ってる!!」
「キユラ!ルドネス!!」
「わ、解ったわ」
「嘘…」
「蕗東さんが…」
膝をつき、呆然としているルドネス
「くそ…!!」
「カウント開始」
「20、19、18…」
「急げ!!」
「先に行ってくれ!ガルス!キユラ!!」
「このバカを連れて行く!!」
「解った!!」
ガンガンガンガン!!
階段を上がっていくガルスとキユラ
「13、12、11…」
「立て!ルドネス!!」
「もう…、良いの…」
「蕗東さんが…、居ないから…」
「ッ!!」
「7、6、5…」
「最後の手段になるか…」
「水瞬幻移!!」
「え…?」
シュン!!
ルドネスが金田の前から消える
「…あ-、クソ」
「3、2、1…」
「一足先に行ってるぜ、メタル」
街外れの山
シュン!!
「ルドネス!!」
「どうして…?ここは…?」
ルドネスが辺りを見回す
「…金田、水瞬幻移を使ったな」
ガァン…
ガルスが大斧を地面に置く
「あのバカ野郎…!!」
ドゴォォォオォオォォン!!
爆発するアジト
「アジトは爆発したわね…」
「金田は?」
「…」
首を横に振るガルス
「え?」
「…水瞬幻移は、テレポ-トの類の技だ」
「だが、移動できるのは1人で、異常な程にエネルギ-を使う」
「使った後は…、しばらく動けない」
「じゃぁ…、金田はルドネスを救うために…!!」
「死んだ」
「私のために…?」
「そんな!戦力が大幅に減るじゃない!!」
「…しかも、残念な情報が、もう1つ有る」
「!?」
「イトウさんが裏切った」
「いや、裏切っていた」
「え…!?」
「お前達の記憶を塗り替えたのは、あの兵器を作ったのは、ルドネスの体を作り替えたのは…」
「イトウさんだ」
「それ以外の人間には不可能だろう」
「最悪の状況じゃない…!!」
「…そうだ」
「俺達が…、ヤグモに勝つ確率は0%だろう…」
「私のせいで…!!」
「私の…!!」
街外れの山にはルドネスの叫び声が響き渡っていた…
ヤグモのアジト
「上手くいきました!ヤグモ様!!」
「…そうか」
「金田は死ました!!」
「間違い有りません!!」
「クックック…!良くやった」
「ありがたき幸せでございます!!」
「イトウも、しばらくすれば戻ってきます!!」
「計画は順調だな」
「ようやく、炎鬼も来た」
「…」
ヤグモの後ろには炎鬼が立っている
「さぁ、楽しく行こうじゃないか!!」
イトウの研究所
第2地下研究所
カタカタカタ…
デ-タを入力しているシ-
「イトウ!コ-ヒ-を頼んで良いかの?」
「ああ、構わない」
コプコプ…
コ-ヒ-を淹れるイトウ
カサカサ…
イトウの足下に蜘蛛が現れる
「…そうか、そろそろだな」
シ-の元にコ-ヒ-を持って行くイトウ
「シ-、コ-ヒ-だ」
「うむ、すまんの」
ゴクッ…
コ-ヒ-を飲むシ-
「ぐぅむ…!!」
バタン!!
シ-がイスから倒れ落ちる
「…さて、行こうか」
蜘蛛を拾い上げるイトウ
イトウの研究所前
「3、2、1…」
ドォオオオオォオォォン!!
イトウの地下研究所が爆発する
「…準備は終了だ、ヤグモ」
「ああ、解った」
蜘蛛からヤグモの声が発せられる
「行こうか」
イトウはヤグモのアジトへ向かって歩き出した
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