喫茶店
東の海沿いの道
「…暑いわね」
「大丈夫ですか?風華会長」
「ええ、大丈夫よ、GL」
「でも、何処かで休んだ方が…」
「傷も、まだ癒えてないんでしょう?」
「…そうね」
「何処か、木陰でも…」
「あ!あの家に入れさせて貰えばいいんじゃないですか?」
「「あの家」?」
竜山が指さした先には2階建ての家が建っている
「でも、何だか、ボロくない?」
「空き家かしら?」
「それなら、尚更良いわ」
「行きましょう」
空き屋前
「崖っぷちに建ってるんですね」
「下は海で、前は森…」
「眺め的には良いんじゃない?」
「でも、崖崩れとか来たら1発だぞ?」
「確かに…」
「畑も有るな」
「放置状態だけど」
「小さな畑ね」
「自家栽培かしら?」
「結構、忠実した生活が送れそうね…」
「周りは何もないけどね」
「アハハ…」
「入りましょう」
「中には誰も居ないみたいだし」
「はい」
ガチャ…
空き家に入る竜山達
空き屋
カラン、カラン…
「ゴホッ!ゴホッ!!」
中はホコリまみれになっており、煙たい
「窓を開けて!!」
「は、はい!!」
ガチャン!!
ブァァァァ…
大量のホコリが風に運ばれ、外に出て行く
「ふぅ…」
「少し、掃除しましょう」
「そうですね」
「道具は…」
辺りを捜すGL
「あ、有りました」
「掃除開始よ!!」
「はい!!」
パッパッパッ!!
「凄いホコリですね…」
「いつ頃、出て行ったのかしら?この家の人は」
「さぁ?」
ガラン!!
「キャッ!!」
「どうした!?GL!!」
「何?コレ…」
「鉄パイプ?」
「は?」
GLの足下には大量の鉄パイプが転がっている
「何で、そんな物が…」
「…竜山君、GL、周りを見て」
「?」
「この家…、よく見たら喫茶店じゃない?」
「あ…」
家の中にはカウンタ-やテ-ブルが有り、道具や食器も揃っている
「何だ?この装置」
カウンタ-内には妙な装置がある
「押してみましょうか?」
「ええ、そうして」
ポチッ
ガゴン
崖から放題が出てくる
ドォン!!
それから空砲が発せられる
「…」
「…何ですか?この家」
「…家の中を調べましょう」
「何か、解るかも知れないわ」
「は、はい」
空き家、2階
「3部屋、有るのか…」
モォアアア…
「ホコリが!!」
「何やってるの?」
「行くわよ」
どんどん部屋の中に進んでいくGLと竜山
「コレは…!!」
「風華会長!!」
「どうしたの?竜山君」
2階に上がってくる舞桜
「コレ!見てください!!」
「帽子…?」
ガララララ
タンスを開ける舞桜
「な…!!」
タンスの中には幾つもの同じ帽子が入っている
「風華会長!こっちにも!!」
「!?」
隣の部屋には山積みされた家計簿
「何で、こんな物が…」
「残りの部屋は!?」
最後の部屋に入る竜山達
「うわ…、綺麗…」
きっちり整理されており、一寸の乱れもない部屋
「この部屋が、一番、綺麗ですね」
「…アナタ達、思いつかない?」
「何をですか?」
「この部屋…、他の部屋…、下の部屋の構造…」
「?」
カラン、カラン…
誰かが入ってくる
「!!」
「隠れましょう!!」
「は、はい!!」
部屋のベットの下に隠れる舞桜達
「あ-!懐かしい!!」
「何年ぶりだ?」
「さぁ?忘れたよ」
「ん?」
「どうした?」
「誰か、ここを掃除したか?」
「何で?」
「ホコリが少ないし、窓も開けてある」
「泥棒?」
「盗む物がないだろ?」
「確かに…」
「コイツ、どうする?」
「イスにでも寝かしておけ」
「そうだな」
下で誰かが話している
「この声って…」
「やはり、そうね」
「行きましょう」
「は、はい!!」
空き家1階
「金田さん!ガルスさん!!」
「あれ?何で居るんだ?」
「やっぱり…」
「え!?どういう事ですか!?」
「こっちが聞きたいよ」
「何で、ココに居るのかな?」
「いえ、道の途中でここに寄って…」
「そしたら、金田さん達が居て…」
「異世界に来た理由は?」
「ヴァトラを捜すためです」
「…解った」
「この喫茶店を掃除したのは君達?」
「「喫茶店」?」
「うん、喫茶店」
「元、だけどね」
「?」
「俺達が学園でやってる喫茶店は2代目」
「こっちが初代」
「そうだったんですか…」
「どうして、金田さん達が?」
「…野暮用でね」
「この世界に来たついでだから、店も見ていこうと思ったんだよ」
「君達は?」
「休憩がてらに…」
「あ、そうだったの」
「まぁ、ゆっくりして行くと良いよ」
「ありがとうございます」
「まぁ、コ-ヒ-でも淹れようか」
トットット…
「…ふぅ」
「おいしいですね」
「自慢の品だからね」
「…おいしい」
ほのぼのする一同
「金田さん達の野暮用って、何ですか?」
「野暮用は野暮用」
スッパリという金田
「君達、ヴァトラを捜しているのなら、ここに行くと良い」
金田が地図を出す
「西の孤島…」
「そこに本部がある」
「何のですか?」
「五神三聖と言う、宗教団体のね」
「そこにヴァトラも居るはずだ」
「解りました」
「ありがとうございます、金田さん、ガルスさん」
「いやいや、構わないよ」
「それと、もう1つ」
「何?」
「コレは誰ですか?」
イスには女性が眠っている
「…知り合い」
「本当に?」
「道端で倒れていたから、拾ってきたんだよ」
「直に眼を覚ますと思う」
「…そうですか」
「コ-ヒ-、ありがとうございました」
「今回はサ-ビスね」
「次回はお金貰うよ」
「飲む暇が有れば」
「行くわよ、2人とも」
店を出て行く舞桜
「あ!会長!!」
それに着いてく竜山とGL
「…行ったか」
「行ったな」
「どうしてヤグモの事を言わなかった?」
「記憶をヤグモの一味に覗かれたら面倒だろ?」
「それに、妙なことは知らなくて良い」
「風華は感づいていたみたいだが…」
「…兄弟揃って、鋭い奴だよ」
「全くだ」
「どうする?ヤグモのアジト探しは」
「ハジャのアジトだったところが怪しいな」
「設備も揃ってるだろうから、ヤグモも行くと思う」
「メタルが破壊しまくっていたが」
「…行ってみれば解る」
「そうだな」
「いや、そうか?」
「うん、たぶん」
「「たぶん」って…」
読んでいただきありがとうございました