蜘蛛の急襲
イトウの研究所
地下研究所
「…一通りの研究は終えたな、シ-」
イスに座り、コ-ヒ-を飲むイトウ
「そうじゃのう」
「どうするんじゃ?地下牢の2人は」
「自白剤を飲ませる」
「効かないのなら、強制的に覗くまで、だ」
「初めから覗けば良かろう?」
「いや、俺もそう思うんだが…」
「昔、メイスが「それはダメだ」って怒ってな」
「あの助手の女がのう」
「何故じゃ?」
「プライバシ-が何とか…」
「まぁ、自白剤で十分だろう」
「そうじゃのう」
(答えるのが面倒で、ぶん投げおったな…)
カサッ…
「ん?」
イトウの足下に、小さな虫が居る
「何だ?虫か…?」
カサカサ…
イトウに近づいてくる虫
足が6本生えている
「…この形は!!」
「シ-!離れろ!!」
「むぅ!?」
ガァァァァン!!
爆発が地下研究所を襲う
「…やはり、小さくては威力はイマイチだな」
「大きい方が良かったか」
ガタン!
扉を蹴り飛ばし、ヤグモが地下研究所に入ってくる
「イトウとシ-は死んだか…」
「重要な科学者が居なくなってしまった」
モァァァァ…
ヤグモを、どす黒い霧が囲む
「…予想内だな」
カチン
ヤグモの足下に、ライタ-が放り込まれる
ボボボボボボボボボボボ!!
ヤグモを急速に成長したキノコが覆う
「どうじゃ!?イトウ!!」
「火気により急速に成長するキノコだから、一時的な足止めに過ぎない!!」
「お前は移動用の機械を頼む!!」
「解ったわい!!」
バァン!!
地下牢の扉を蹴破るイトウ
「キユラ!ルドネス!!」
「な、何!?」
「え?え!?」
困惑する2人
「逃げるぞ!殺される前に!!」
「ど、どういう事よ!?」
「ヤグモが来た!!」
「お前達を殺しに、だ!!」
ガチャガチャ!!
2人の拘束具を外すイトウ
「シ-!まだか!?」
「今、来た所じゃ!!」
ギギャギャギャギャギャヤ!!
激しいキャタピラ音を響かせながら、シ-の乗った戦車が地下牢に突っ込んでくる
「乗れ!!」
「早く!!」
「わ、解ったわよ!!」
ガタン!!
強引にキユラを引っ張り込むイトウ
「ルドネス!早く!!」
「え…っと」
躊躇するルドネス
「何をしてる!?死にたいのか!!」
「私…、ヤグモ様に…」
「蜘蛛は除去した!!」
「自爆はしない!!」
「そんなのじゃなくて…」
「お前が決めろ、ルドネス」
ガサガサガサ!!
ヤグモが地下牢に入ってくる
その足下には、億千の蜘蛛
「ヤグモ…!!」
「そいつ側に着くか、それとも俺側に着くか」
「結果は分かっているだろう?」
「う…!!」
「お前の体は、もう…」
「脅しか?下らんな」
カツン…
「破ッ!!」
ガァァァァン!!
ヤグモの蜘蛛が一気にはじき飛ばされる
「む…」
「岩壁無双!!」
ガッガガッガガッガガ!!
「鬼神爆炎」
ゴガァァァァン!!
次々に、ヤグモの蜘蛛がはじき飛ばされていく
「…面倒くさい相手だな」
「イトウ!逃げろ!!」
「ここは僕達に任せて!!」
メインとアメ-ル、鬼怒がヤグモの前に立ちはだかる
「…ほう、あの時のゴミか」
「1度拾った命を、再度、捨てに来たのか」
「ヤグモ…!!」
鬼怒がヤグモを睨む
「何故、蕗東を殺した!?」
「答えろ!!」
「どうでも良いだろう?」
「お前達は、どのみち殺すつもりだったはずだ」
「違う!殺しはしない!!」
「それは蕗東と同じに成り下がるからだ!!」
「…そうか」
「まぁ、俺はどのみち奴を殺すつもりだったが」
「どういう事だ!?」
「奴は、俺の計画を潰そうとしていたんだよ」
「この世界の事を知り、部下に暗示をかけ、3賢者の1人を殺そうとした」
「その計画を何年も前から練っていたんだよ」
「…!?」
「部下の名前を教えてやろうか?」
「その者の名は…」
小さく笑うヤグモ
「地獄で蕗東に聞くんだな!!」
ヴヴヴウヴウ…!!
蜘蛛が激しく振動する
「死ね!!」
「この振動は…!!」
ドォォオォオォォォオォォオッォォォォン!!
研究所を爆発が襲う
「ハハッハハッハハッハハ!!ゴミ共ォ!!地獄に逝って後悔するんだなぁああああ!!!」
爆炎の中で笑い叫ぶヤグモ
ガラン、ガラン…
機材は吹き飛び、研究所は廃墟と化す
「…クックック!笑いが止まらねぇな」
カチカチカチ
1匹の蜘蛛が揺れる
「…時間か」
グシャッ!!
蜘蛛を踏みつぶすヤグモ
「さぁ、どうするんだ?ルドネス」
「…」
廃墟の中に、1人、立っているルドネス
「私は…」
「俺は「自分で決めろ」と言っただろう?」
「選択肢は1つだがなぁ!!」
「…!!」
目を瞑るルドネス
「着いて…、行きます…」
「それで良い!!」
「…いや、それしかないか!!」
爆笑するヤグモ
「何が「自分で決めろ」だ?」
「誘導尋問じゃねぇか」
「どうでも良いさ」
「どうすんだ?この廃墟」
「絶対、八つ当たりが俺達に来るぞ…」
「その時は、逃げるだろ?」
「やっぱり、そうなるか…」
2人の人影が廃墟の中に立っている
「お前達…、しばらくは立てない程に痛めたはずだが?」
「俺達の回復を舐めるなよ?」
「バカに付き合わされて、鬼面族と世界にケンカ売ってんだからな」
「アンタ達は…!!」
ガッチャン!!
ガシャァン…
銃を装填する音と大斧を持ち上げる音が廃墟に響く
「金田…!ガルス…!!」
「久しぶりだな?ルドネス」
「で、この状況は何だ?」
「簡単な状況だ」
歩き出すヤグモ
「お前達が死ぬ状況だ!!」
金田とガルスに向かって走り出す
「…そりゃ、どうも」
「笑えない状況だな」
「全くだ」
読んでいただきありがとうございました