忠告
326号室
コンコン
ドアをノックする天鹿和
ガチャ…
「はい」
ドアを開け、SWが出てくる
「ひぃ…!!」
「いやぁあああああ!!」
悲鳴を上げ、部屋の中に飛び込む
「な、何の用よ!?」
「…謝罪に来た」
「AWは居るか?」
「帰って!誰がAWをあんなにしたと思ってるの!?」
「…だから、それについて謝りに来たんだ」
「帰って!!」
「…謝るまでは帰らん」
「帰って、って言ってるでしょ!!」
SWが手元にあった瓶を掴む
「謝るまでは…」
ガァン!!
天鹿和の頭を瓶で殴りつけるSW
ポタッ、ポタッ
天鹿和の頭から血が溢れ出す
「天鹿和さん!!」
「…大丈夫だ、秋雨」
「何よ…!アンタのせいでAWが!!」
「…本当にすまないと思う」
「AWを傷付けた俺は、俺の中にいる」
「代わりに謝らせてくれ」
「意味が分からないわよ!!」
「帰って頂戴!!」
「…まぁ、待ちなさい」
「DW…!!」
「ウェンとか言う人にしたって、私に幻術をかけたわ」
「でも、この人が治してくれた」
和風を見るDW
「その人、試合の時の人じゃないわ」
「感じが違うもの」
「ど、どう言う…!?」
「恐らく、極度の2重人格でしょう?」
「それも、人工的な」
「どうして、そこまで解る?」
「彼女は精神治療を得意とする医者でね」
「それを利用し、予選も勝ち抜いたそうだ」
「和風さん!!」
和風が秋雨達に近づく
「…天鹿和、患部を増やすな」
「治療に手間が掛かる」
「…すまない」
「AWは寝てる」
「睡眠による自然治癒は効果的だからな」
「…それじゃ、謝れないな」
「しばらくすれば、目を覚ますだろうな」
「その時に謝れば良い」
「…解った」
「後で、また来る」
ガチャン
部屋から出て行く天鹿和
「…秋雨、お前も治療を手伝ってくれ」
「お前の能力は役に立つ」
「は、はい!!」
北の国、北の道
亜門の家
カコン!!
「ふぅ…」
薪を割る亜門
(オキナ…、どうなったかしら?)
コト…
台の上に薪を置く
「ッ!!」
ガシャン!!
斧が亜門の手を離れ、地面の落ちる
「霜焼け…、薬を持って来なきゃ」
「その必要は無い」
シュゥゥゥウ…
亜門の手の霜焼けが治っていく
「…炎鬼?」
「無理をするな」
「後は俺が割っておく」
「何しに来たの?」
「私は足手まといなんでしょう?」
「…ああ、そうだ」
「その「足手まとい」に忠告だ」
「…何?」
「異世界に逃げとけ」
「イトウの研究所から「扉」に入って、逃げられる」
「…どうして?」
「気が付いてるだろうが」
「ヤグモだ」
「…アナタが協力を拒否すれば良いんじゃない?」
「それだけの話でしょう?」
「…協力は断らない」
「俺は月神と戦いたいからな」
「それだけだ」
「…オキナはアナタを止められなかったみたいね」
「あの雑魚に、俺が止められると思ったのか?」
「いえ、予想通りよ」
「じゃぁ、私は異世界に行くわ」
「…案外、すんなり従うんだな」
「この世界に居るより、幾分かマシよ」
「でも、解ってるの?」
「何が?」
「…ヤグモの目的は何かは知らないけど、月神を悪用されたら世界が滅びるわ」
「この世界だけじゃなく、全ての世界が」
「…それがどうした?」
「俺は戦えれば良い」
「…そう」
「それじゃ、失礼するわ」
「とっとと行け」
「足手まといだからな」
「…そうね」
「いつまでも…、私は…」
バタン
家に入っていく亜門
バサバサ!!
「…来たか」
炎鬼の腕に鳥が降り立つ
「そちらはどうアルか?国王」
鳥の口から言葉が発せられる
「…ガムナか」
「心配するな、抜かりない」
「それなら良いアル」
「こちらも、オキナを治療し終えたアルよ」
「…そうか」
「次の行動に移ってくれ」
「了解アル」
プツン
鳥の口から、小さな実がこぼれる
「クエ?」
バサバサ
飛び去る鳥
「…さて、行くか」
ザッザッザ…
歩き出す炎鬼
WGカンパニ-
総督執務室
「…西の小さな村で、雷火達はよく目撃されている」
「そうか、ありがとう」
「行くぞ、ケイジ」
「ああ」
「…待て、アオシ、ケイジ」
「何だ?」
「総督…、いや、ロックの仇を取ってくれ」
「頼む」
「…「仇」か」
小さく笑うアオシ
「…どうかしたのか?」
「いや、何でも無い」
「お前達こそ、アメ-ルと鬼怒を頼むぞ」
「あ、ああ、解っている」
バタン
部屋を出て行くアオシとケイジ
「…?」
イトウの研究所
「…さて、行くか」
白刃之とシ-、ガ-が「扉」の前に立つ
「向こうに行って、どうするのじゃ?」
「さぁな」
「学園に向かえば、どうにかなるだろう」
「…そうかの」
「行くぞ、ガ-」
「…YES、我が主」
「行かせないわ」
「!?」
コツコツコツ…
女が革靴を鳴らしながら、「扉」の前に立つ
「…ヤグモの仲間か」
「そうよ」
「裏切り者のシ-とガ-を始末しに来たわ」
「やはり、来たかのう…」
「さぁ、寄越しなさい」
「却下だ」
「こいつ達は、俺達に必要だからな」
「残念ね」
「抹殺対象が1人増えたわ」
「…そうか?俺には、お前が俺を殺しに来たようにしか見えなかったが」
「間違ってないわ」
「だから、結果も違わない」
「…そうだろうな」
「シ-、ガ-、行くぞ」
「おぬしが指図をするでない」
「…我が主に全面的に同意」
「チ-ムワ-クがバラバラね」
「チ-ムワ-クは大切よ?」
「1人のお前が、何を言っている?」
「まぁ、何を言ってるのかしら?」
ドスッ
「…ッ!!」
ガ-の腹部にナイフが刺さる
「ガ-!!」
「私がアナタ達を相手に、1人で来ると思った?」
「あり得ないわよ」
「ねぇ?ルドネス」
「本当、そうだよねぇ-」
「くぅ…」
ガタン
ルドネスが膝を地に落とす
「シ-!回復系の技は使えるのか!?」
「勿論じゃ!!」
「下に行け!ここは俺に任せろ!!」
「解っとるわい!!」
階段を下り、下に向かうシ-とガ-
「舐められた物じゃない?ルドネス」
「全く!私を何だと思ってるの!?」
「…お前達、ヤグモの手下だな」
「そうよ、私はルドネス」
「こっちの牛みたいな胸してるのがキユラ」
「誰が「牛みたいな胸」かしら?」
「あ、違った?」
「違うわよ!!」
「胸無しのお子様が!!」
「違うよ!Aカップだよ!!」
「あ-ら!そうかしら!?」
「まな板みたいで気付かなかったわ!!」
「このDカップの牛女ぁ----!!」
「誰が「牛女」よ!?」
「このまな板!!」
「…どうでも良いが、戦う気があるのか?」
「ちょっと待ちなさいよ!!」
「お、おう…」
「あのガ-だって、Cカップあるのよ!?」
「Aなんて、まな板よ!まな板!!」
「じゃぁ!私より小さいAカップのメデゥはどうなるの!?」
「断崖絶壁じゃない!!」
「知らないわよ!!」
「あの女が居なくなって、組織で一番胸が小さいのはルドネスじゃない!!」
「うるさ-い!!」
(仲間割れしている今がチャンスか…)
構える白刃之
「そもそもね!胸を大きく見せる細工をしてるキユラに言われたくな-い!」
「良いじゃない!それも美しさの内よ!!」
「毎日牛乳飲んでるくせに、胸の大きくならないアンタはどうなのよ!?」
「身長を伸ばすために飲んでるのよ!!」
「あら!そうだったわね!!」
「お子様だもんね!?」
「うるさぁ----い!!」
ガミガミと言い争う2人
(戦う気があるのか?こいつ達…)
(「チ-ムワ-クが大切」とか言ってたのはどうなったんだ…)
ため息をつく白刃之であった
読んでいただきありがとうございました