中心街
109号室
ガチャ
部屋に入る秋雨
「ただいま戻りました」
「おう、お帰り」
「あ、メタルさん」
「天鹿和さんは、どうですか?」
「…目は覚ましてないな」
「心配しなくても、すぐに目を覚ます」
「そうですか…」
「和風さんは?」
「あのAWととか言う奴達の治療で、アイツ達の部屋に行ってる」
「すぐに戻って来るだろ?」
「…はい」
「ああ、それと」
「何ですか?」
「2回戦の相手、棄権したぞ」
「どうしてですか?」
「…あの戦いを見て「俺も戦いたい!!」って言う奴は少ねぇよ」
「そうですね…」
中央国
中心街
「…ここが、カンパニ-の有る町か?」
「ああ、そうだ」
「中立国だから治安も良く、被害も少ない」
「東ほどじゃないが」
「カンパニ-は何処?アオシ」
「この道を真っ直ぐ行った所だ」
「あの大きな城だな」
鬼怒達の目の前には、巨大な城が建っている
「…アオシ、この街、おかしくないか?」
「何が、だ?ケイジ」
「街の人々に活気がない」
「どうにか生き延びているという感じだ」
「…聞き込みだな」
「鬼怒とアメ-ル、俺とケイジで別れよう」
「この街の異変について、聞き込もう」
「カンパニ-に行けば良い話じゃないのか?」
「いや、カンパニ-にヤグモの一味や五神三聖の連中が居ないとも限らない」
「街で聞き込んだ方が良い」
「…そうか」
「行こ!鬼怒君!!」
「…ああ」
中心街、裏通り
「…何だ?コレは」
表通りとは違い、裏通りの状況は酷い物である
「こんな物さ、国なんてね」
「それに、ここは戦争をしないだけで皆をまとめる王が居ない」
「そうすれば、荒れるのは当たり前だよ」
悲しそうな顔をするアメ-ル
「…何か、思う事が有るのか?」
「ううん、何でもない」
「聞き込みをしよう」
「…そうだな」
「すいません」
道の端で毛布にくるまった人に声をかけるアメ-ル
「…何だい?嬢ちゃん」
「この街、何か有ったんですか?」
「何か有ったかクソも有るかよ…」
「五神三聖がカンパニ-を襲ったせいで、経済状況は滞り、食材や機材も市場に廻らなくなった…」
「五神三聖って言えば、平和を望む宗教団体じゃなかったのかよ…」
「…ありがとうございました」
「では…」
「おい、ちょっと待てよ」
男がアメ-ルの肩を掴む
「…何ですか?」
「金目の物を置いてけ」
「持ってるだろ?」
「…持ってませんよ」
「嘘をつけ」
「その獣の帽子、鬼面族の物だな?」
「…違います」
「おいおい!鬼面族のアメ-ルって言えば、お前の事だろ!?」
大声で叫ぶ男
「…行くぞ、アメ-ル」
「放っておけ」
アメ-ルを連れて、歩き出す鬼怒
「…!!」
「へへ…」
「ちょっと待てよ…」
鬼怒達を大勢に不良が囲む
「強行突破…、するか?」
「あまり人を傷つけたくないんだけど…」
「四の五の言ってる場合じゃないだろう」
「行くぞ」
構える鬼怒
「仕方ないのかな…」
構えるアメ-ル
「TIRE!AHOUDOMO!!」
「チッ…」
奥から、機械の音声が聞こえてくる
「おい!」
「ああ…」
次々に散っていく不良達
「DAIZYOUBUKA?AME-RU」
「メイン!来てくれたの!?」
「AA、OMAETATIGAKUNINOTIKAKUDEMOKUGEKISARETATO、ZYOUHOUGAHAITTAKARANA」
「…何だ?その声は」
「…DAREDA?」
「鬼怒 砕牙だ」
「その声、どうなっている?」
「AA、WARUIWARUI!!」
ガチン
頭のボタンを押すメイン
「コレで良いか?」
「普通の声だな」
「ロボットか?」
「ある意味、間違ってはいないな」
「全身の9割が機械だ」
「…何故だ?」
「戦場で体を無くしただけだ」
「簡単な説明だな」
「無駄に情報を吐露するのは趣味じゃない」
「行くぞ」
「何処にだ?」
「カンパニ-だ」
「待って!メイン!!」
「僕達は、まだカンパニ-には…」
「…何を言っている?」
バッ!!
腕を上げるメイン
ザザザ
鬼怒とアメ-ルが囲まれる
「…どういう事?メイン」
「不法侵入者の逮捕だ」
「貴様達、国境の入国検査を受けなかっただろう?」
「入国検査?」
「あのような事件が有ったのだ」
「入国検査ぐらいするさ」
「そんな物、有った?」
鬼怒を見るアメ-ル
「いや、知らないな」
「心配しなくても、すぐに釈放してやる」
「形だけの物だ」
「…そんな事を行って良いのか?部下の前で」
「コイツ達も解っている」
「鬼面族の長の子を逮捕などしてみろ」
「内乱が起こる」
「…アメ-ル、後で詳しく聞かせてくれ」
「…うん」
「さぁ、行くぞ」
「ニックも会いたがっている」
「アオシ達は?」
「部下が迎えに行っている」
「お前達と共に検査を受けるさ」
「…解った」
「行こう」
「そのつもりだ」
連れられていく鬼怒とアメ-ル
WGカンパニ-
検査室
「…はい、検査終わり」
「早すぎだろう」
「先刻も行ったはずだ」
「「形だけの物だ」と、な」
「それもそうだが…」
「何より、ニックが学園の情報を聞きたがっている」
「後始末に追われて、娯楽が少ないそうだからな」
「うん、解った」
「行こう!鬼怒君」
「ああ、そうだな」
立ち上がる鬼怒
「おい、待て」
鬼怒を座らせるメイン
「…何だ?」
「お前は行くな」
「取り調べが終わってない」
「…どういう事だ?」
「お前は鬼面族の長の子でもないし、学園の情報を知ってるわけでもない」
「信用したわけでも…、な」
「メイン!彼は敵じゃないよ!!」
「…連れて行け」
ガシッ
肩を掴まれ、強引に連れて行かれるアメ-ル
「ちょっと!メイン!!」
ガシャァン…
検査室の扉が閉められる
「…どういうつもりだ?」
「…おい」
ガシャガシャ!!
鬼怒に武器が向けられる
「…そう言うことか」
ガァン…
ハンマ-を持ち上げる鬼怒
「俺とアメ-ルを別れさせ、戦力を分散」
「そして仕留める…、と」
「…そんな所だ」
「やれ!!」
総督執務室
バタン
部屋にアメ-ルが入れられる
「…ニック」
「アメ-ル、来たな」
「早速だが…」
「どういう事?」
「何が?」
「鬼怒君を、どうするつもり?」
「…その事なんだが」
「お前は退場だ」
バタン
アメ-ルの後ろに誰かが立つ
「…」
ゆっくり後ろを振り向くアメ-ル
「…え?」
ブシュゥ-…
「う…!?」
アメ-ルに睡眠スプレ-が吹きかけられる
「何…で…」
バタン
倒れるアメ-ル
「…コレで良かったのか?」
「ああ、コレで良い」
「すまない…、アメ-ル」
バタン
総督執務室の扉が開く
「ニック、鬼怒の束縛、完了だ」
「ああ、お疲れ」
「苦労させたな」
「構わない」
「だが、どういうつもりだ?」
「…それは、この2人に聞いてくれ」
「なぁ?アオシ、ケイジ」
読んでいただきありがとうございました