風紀委員
「俺は2年の首狩 虚って言うんだ」
「1年の秋雨です」
「同じく竜山です」
「?年のGLだよ」
「GLさんは知ってるよ」
「あれ?そうなの?」
「さて、頼みって言うのは…」
「風紀委員の目的は、情報収集と相手に情報を吐かせることなんだ」
「そのために能力を使いすぎて、植物状態になってしまった奴が居てね」
「彼女だ」
大きな扉の向こうにはベットで、ボウッとする女の子が居た
「火衣良 夢火ちゃんだ」
「彼女は治療委員でもお手上げなんだよ」
「どうしてですか?」
「傷の回復や、エネルギ-の回復は出来ても…」
「心の傷が治らないからね」
「…心の傷?」
「彼女は、まだ幼い」
「飛び級みたいな感じで入学してきたんだ」
「初任務で犯罪者の心を見たんだ」
「かなりショックだったんだろう」
「心を見るのは危険なことだからね」
「まだ精神も成長途中だったし…」
「何で、そんな子に見せたんですか?」
「能力がズバ抜けてたんだよ」
「手強い彼に情報を吐かせるにはそれしかなかった…」
「…そうなんですか」
「今では風気委員長も、後悔してるよ」
「…解りました」
「でも、どうして僕を?」
「もしかしたら、GLに回復能力を与えたぐらいだし、心の傷も治せるんじゃないかってね」
「しかし、自分の能力は知りませんし…」
「女心も解るだろう?」
「いや、それはちょっと…」
「お任せあれ!!」
やっぱり竜山が出て来た…
「君は、水無月さんに手を出してボッコボッコにされた…」
「竜山です!!」
「しかし、真の能力でなければ…」
「心の傷は、そんなに簡単なモノではありません!!」
「毎日、女心を理解した上で話しかけるのです!!」
「…彼に任せても大丈夫かい?」
「…女心については人一倍、知ってますけど…」
「心配よね…」
「何が?」
「手を出すわよ」
「…」
「竜山!手、出すなよ!!」
「俺は同い年か、年上にしか興味はない!!」
そこまでハッキリ言うなよ…
「じゃぁ、任せるぞ?」
「任せろ!!」
「彼は信じられるかい?」
「はい、バカだけど、アホじゃないです」
それから毎日、竜山は火衣良ちゃんの元を訪れた
「何の話をしてるんだろう?」
「さぁ…?」
毎日、毎日、語りかけ続けた
夜、睡眠前に竜山に聞いた
「何をやってるんだ?」
「彼女と会話だよ」
「出来るのか!?」
「簡単にな」
「怖かったらしい」
「暗くて、深くて、何も無い心だったんだと」
「ふぅん…」
「自分が入ったら、飲み込まれそうになったらしい」
「植物状態になってから、見えるのに、聞こえるのに、誰も気づいてくれない」
「だから、俺が語りかけた事が嬉しかったんだってさ」
「…頑張れよ」
「もちろんだ!!」
こいつに任せて、正解だったんだな…
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