別離治療
109号室
「秋雨、天鹿和をベットに寝かせろ」
「は、はい!!」
天鹿和をベットに乗せる秋雨
「それと、お前の能力で天鹿和をベットに縛り付けろ」
「…解りました」
「強制変換!!」
ベットを変形させ、天鹿和をベットに縛り付ける秋雨
「コレで良いですか?」
「ああ、十分だ」
「何をするんだ?ウェン」
「…天鹿和は、精神崩壊が完全状態じゃない」
「ならば、完全に切り離す」
「それって…」
「…表と裏は、確実に別物になる」
「意識の共有も、人格の共有も出来ない」
「だが、方法はコレしかない」
「…仕方ないんですか?」
「ああ、仕方ない」
「俺が精神崩壊で、天鹿和を壊す」
「お前達は、天鹿和が暴れないように押さえてろ」
「はい…!!」
天鹿和を押さえる秋雨と凩
「精神崩壊…!!」
天鹿和の頭に手を当てるウェン
「…うぅ」
「うがっぁぁっぁぁぁぁぁああああああぁぁ!!」
ガタガタガタ!!
天鹿和が激しく暴れ出す
「ぐぅ…!!」
「耐えてください…!天鹿和さん!!」
「ああああああああああああああああ!!」
「あと、どれくらいだ!?ウェン!!」
「まだまだ、だ!!」
「コイツは無意識に精神崩壊に対する耐性を作ってやがる!!」
「くそ…!!」
「あああっがががああああああ!!」
苦しむ天鹿和
「うがぁぁぁあああああ!!」
「あががっがっがああああああ!!」
「もう少しだ…!!」
「あがぁああああああ!!」
ガシャァン!!
天鹿和の寝ていたベットが壊れる
「しまっ…!!」
「あがぁああああ!!」
ゴッ!ゴッ!!
ウェンと凩を吹っ飛ばす天鹿和
「がぁ…!!」
「逃げろ…!秋雨!!」
「天鹿和さん…!!」
「がぁあああああ!!」
秋雨に突っ込む天鹿和
「秋雨!!」
「強制変換!!」
ズゥゥ…
天鹿和の手鎧が、鉄の塊に変化する
「うぅ…!!」
「秋…雨ぇ…!!」
「天鹿和さん!しっかりしてください!!」
「表を…!頼む…!!」
「俺は…!!」
「天鹿和さん…!?」
「違げぇよ…」
「裏だ…」
小さく笑う天鹿和
「ウェン…!やれ…!!」
「崩壊させろ…!!」
「解っている!!」
天鹿和に向かって走り出すウェン
「おらぁ!!」
ガァン!!
天鹿和の頭を鷲づかみにし、壁に叩きつけるウェン
「あがぁ…!!」
「精神…!崩壊!!」
キィィィイィィン!!
凄まじく高い音が、辺りに響き渡る
「悪…い、迷惑…かけた…な…」
ドスン
その場に倒れ込む天鹿和
「…メタルの言うとおりだな」
「世話の焼けるガキだ」
「ウェンさん!成功したんですか!?」
「ああ、どうにかな」
「大丈夫か?凩」
「まったく…、アイツはオレを殺す気か?」
「フン!そうかもな」
笑うウェン
「…さて、お前達に、予め言っておく」
「今の天鹿和は、裏が支配している」
「表は封じた」
「「封じた」…!?」
「正確には、感情を捨てさせたわけだ」
「かなりの事が無い限り、表が壊れることはない」
「そうですか…」
安堵のため息をつく秋雨
「…まぁ、しばらくすれば、目を覚ますだろうな」
「その時は、裏だ」
「はい、解りました」
「…秋雨、そいつの手鎧を元に戻してやれ」
「…はい」
「強制変換」
天鹿和の手鎧が、元に戻っていく
「コレで良いですか?」
「まぁ、細部の確認は天鹿和がするだろう」
「それと、もう1つ」
「?」
「…お前達、解ってるとは思うが、天鹿和の前で「青龍」は言うな」
「それは解る」
「だが、「青龍」とは誰だ?」
「…お前達が知る必要は無い」
「用件は以上だ」
「あとは風呂に入るなり、寝るなり、売店に行くなり、自由にしろ」
「…深い事を聞くのは、止した方が良さそうだな」
「秋雨、お前はどうする?」
「…僕は、お風呂にでも行ってきます」
「何だか、良い気分ではないので…」
「…そうか」
「俺は寝る」
「…はい」
「ウェンさんは?」
「俺はメタル達を部屋で待つ」
「風呂なら、早めに行け」
「…はい」
バタン
部屋から出て行く秋雨
「ああ、言い忘れていたが」
「この時間の風呂は…」
「ウェン、秋雨は、もう居ないぞ」
「…まぁ、良いか」
東の国
城下町前
「…どう言うつもりじゃ?」
アオシの拳は、シ-の顔面をずれている
「だから、言っただろ?」
「「お前を殺したら、月神を止められないし、何よりアイツが悲しむ」ってな」
アオシがガ-を指さす
「…お前を殺すわけにはいかない」
「頼む、協力してくれ」
「…小童が」
「生意気を言いおって…」
地面に腰を下ろすシ-
「…協力はしてやろう」
「だが、もう遅い」
「どういう事だ?」
「…ヤグモには、月神を操作する機械を渡してあるのじゃ」
「作るのに、そう時間はかからんかった」
「…そう思ったさ」
「シ-、ガ-、お前達には異世界に向かって貰いたい」
「…何故じゃ?」
「行けば解る」
「白刃之!お前も異世界に向かえ!!」
「俺が?」
「ああ、そうだ」
「何故、俺なんだ?」
「…無理をするなよ」
「足を見てみろ」
白刃之の足は、鋭く切れている
「…気付いていたのか」
「ガ-のワイヤ-を受けて、無傷なはずが無いだろう?」
「行け」
「…仕方ないな」
「行くぞ」
ガ-を抱えたまま、歩き出す白刃之
「は、離せ!歩ける!!」
「…ほれ」
地面にガ-を降ろす白刃之
「う…」
ふらつくガ-
「…まだ、無理だろう」
「行くぞ」
再び、ガ-を背負う白刃之
「ガ-、その小童に甘えるのじゃ」
「今は、仕方がないからのう」
「…YES、我が主」
「…鬼怒、後は任せた」
「ああ、解っている」
そう言い残し、白刃之はイトウの研究所に向かった
読んでいただきありがとうございました