予選終了
「…ま、こんな物だろ」
平然と立つメタル達の前に、バルガヴェが横たわっている
「流石ですね-、皆さん」
アナウンスガ流れる
「北の怪物を瞬殺ですか-」
「全員を相手にさせれば、そうなるさ」
「コイツにやられたのも、数人だ」
「じゃ、そんな皆さんには、本選出場権を与えちゃいます!!」
「うぉおおお!!」
わき上がる参加者達
「では-、門の外に出てください」
ガァン…
開く門
「出るぞ」
「はい!」
門の外
「え-、本選に参加できた皆さんは、しばらく部屋でお休みください」
「森に残された参加者の皆さんを回収次第、連絡します」
「…って事だ」
「部屋に行くぞ」
歩き出すメタルとウェン
「あ!もう行くんですか!?」
「他にどうする?」
「ボタンの故障の文句でも言いに行くのか?」
「それは…」
「元々、人命をかけた大会だ」
「その程度の事は、皆、覚悟している」
「ヤグモが関与してるのは…」
「殆どの奴が知ってるし、知っても知らなくても大会は終わらない」
「ヘタすれば、俺達が目を付けられる」
「…解りました」
「よし、部屋に行くぞ」
「体を休めて、本選に備えろ」
「メタル、本選のル-ルは何だ?」
質問する凩
「ト-ナメント式のバトルだ」
「5人の中から、代表の3人を出して戦う」
「その3人の勝敗の数で勝敗が決まる」
「もし、引き分けたら?」
「4人目が出る」
「まぁ、相打ちなんて、滅多にないがな」
「そうか」
「…ああ、先に部屋に行ってくれ」
「俺には用が有るから」
天鹿和が秋雨達とは別方向に歩き出す
「部屋の番号は覚えているのか?」
「109」
「よし、解ってるな」
「行くぞ」
部屋に向かう秋雨達
109号室
「天鹿和さん、「用」って何でしょうか?」
「お前が首を突っ込むことじゃないだろ」
「そりゃ、そうですけど…」
「さて、俺は一眠りするか」
「3時間ぐらい経ったら、起こしてくれ」
「あ、はい」
「俺も寝るか」
ベットに寝そべるメタルとウェン
「…俺は売店に行ってくる」
「何か食いたいからな」
「あ、僕も行きます」
部屋を出る秋雨と天鹿和
門の外
「久しぶりだな、輝鈴」
「ジョ-カ-、何の用だ?」
「何、久しぶりに挨拶がしたかっただけだ」
「スペ-ドが世話をかけたな」
「構わない」
「それと、ハ-トが、お前に会いたがっていたぞ」
「ダイヤも…、な」
「…ハジャの所から逃げ出したのは悪かった」
「お前達に苦労をかけたからな」
「昔の事だ」
「ハジャ様は死に、今の俺達は放浪人だ」
「お前達はヤグモに協力し、死んだハジャを生き返らせようと思わなかったのか?」
「…一時は、それも考えた」
「だが、地獄に行った人間を生き返らせるには、それ相応の代償が要る」
「それを誰が払うんだ?」
「…そうか」
「あ!こんな所に居やがったのか!!」
「おい!部屋に行くぞ!ジョ-カ-!!」
「…アレは?」
「お前が出て行って、すぐに入ったクロ-バ-だ」
「よろしく言っておいてくれ」
「ああ、解った」
「お前は、これからどうするんだ?」
「何が?」
「メタルに復讐した後、どうするんだ?と聞いているんだ」
「…さぁな」
「気ままに行くさ」
「…お前らしいな」
「じゃぁな」
「ああ、本選で合おう」
帰って行く天鹿和
「ジョ-カ-!誰と話してたんだ?」
「何、昔の知り合いだ」
「ハ-トとダイヤとスペ-ドは?」
「スペ-ドは部屋だが、ハ-トとダイヤは売店に買い物に行った」
「俺は、今からひとっ風呂浴びてくる」
「解った」
「俺は部屋に帰る」
「ああ、そうか」
売店
「何を買うんですか?」
「食える物」
「この世界の物って、どんな物が有るんだろ…?」
ドン!
「え?」
秋雨の足下に、ダイヤが立っている
「あ、ゴメン」
秋雨の足下には落ちたソフトクリ-ム
「私の…、ソフトクリ-ム…」
泣きそうになるダイヤ
「か、買い直してあげるから!!」
「私の…」
「大丈夫か?」
凩が頭をなでる
「新しいのを買ってやる」
「だから泣くな」
「う、うん…」
目を拭うダイヤ
「ちょっと!うちの子に何やってるの!?」
「え?」
ハ-トが全速力で走ってくる
ドォ-ン!!
秋雨が吹っ飛ばされる
「大丈夫!?ダイヤ!!」
「酷い事されなかった!?」
「…早とちり」
「え?」
「大丈夫か?秋雨」
秋雨を起こす凩
「痛てて…」
「あれ?どうなってるの?」
「…アイスを落としただけ」
「あ!そうだったの!?」
「ゴメンなさいね!早とちりしちゃって!!」
笑ってごまかすハ-ト
「何なんだ?こいつ達は…」
グイグイ
凩の脚の裾を引っ張るダイヤ
「ソフトクリ-ム…」
「あ、ああ!そうだったな」
「ソフトクリ-ム1つ」
「はい、毎度」
「ほら」
「…ありがとう」
「良かった…、凩が居なきゃ、どうなってたことか」
「子供の扱いは白珠で慣れてる」
「アハハ…」
「で、君達は予選通過者?」
「あ、はい、そうですよ」
「どうだった?予選は」
「簡単だったでしょ?」
「いえ、結構、苦労しまして…」
「メタルさん達が居たから、ここまで来れたって言うか…」
「「メタル」?」
その言葉にハ-トとダイヤが反応する
「アナタ…、メタルの仲間?」
「え?そうですけど…」
「そう、メタルの…」
武器を取り出そうとするハ-ト
「…ダメ」
ダイヤがハ-トの手を握る
「…無駄な戦闘は禁止」
「…そうだったわね」
手を下げるハ-ト
「どうかしましたか?」
「いえ!何でもないわ」
「それより…」
「お-い!秋雨君!!」
「あ!天鹿和さん」
天鹿和が向こうから走ってくる
「秋雨君!実は…」
天鹿和が言葉に詰まる
「き、輝鈴…」
目を大きく見張るハ-ト
「…天鹿和さん、知り合いですか?」
「…いや、人違いだろう」
「風呂にでも行かないかい?」
「そうですね!行きましょう」
「俺は、何か買って部屋に戻る」
凩が売店の商品を眺める
「輝鈴!何処に行くの!?」
「…秋雨君、先に風呂に行っててくれるかな?」
「え?あ、はい…」
風呂に走っていく秋雨
「…お前達の部屋に行って良いか?ハ-ト」
「ええ、良いわよ」
「私も話したい事が有るから…」
「…私も」
そうして天鹿和とハ-トとダイヤは部屋に向かった
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