サバイバル
「コレとコレ、食えるな」
次々に木の実をもぎ取っていくメタル
「秋雨!集まったか?」
「色々、集まりましたけど…」
「食べられるんでしょうか?」
「食える!何でも、根性で食える!!」
「無茶を言わないでください」
「毒があったら、どうするんですか?」
「…食えば、同じだろ」
「そう言う問題じゃ…」
「ケルッピ」
「え?」
マリモに鹿の角が着いたようなモンスタ-が出てくる
「何でしょう?コレ」
「秋雨!仕留めろ!!」
「そいつの肉は美味い!!」
「わ、解りました!!」
地面に手を当てる秋雨
「強制変換!!」
「ケリッピ?」
地面が泥沼になっていく
「コレで、足場を奪えば…」
「ケリッピピ!!」
モンスタ-が揺れ出す
「?」
「離れろ!秋雨!!」
「は、はい!!」
一気に下がる秋雨
「ケリッピェ」
ドドドドドド!!
モンスタ-の体から、もの凄い数の黒い針が出てくる
「何ですか?アレは…」
「毒針だ」
「アレを食らったら、即死だぞ」
「毒針を蓄えてるような物を、食べても大丈夫なんですか?」
「勿論、毒は避けるさ」
「それでも、十分に食える」
「そうですか…」
「キリリピ!!」
逃げるモンスタ-
「あ!逃げた!!」
「任せろ」
「鋼斬・破魔!!」
パァァン!!
メタルの刀が黒く光り出す
「この技を使わなければ、ぶっ殺しちまうからな!!」
「「この技」って…?」
「エネルギ-だけを斬るんだよ!!」
「肉を斬らず、骨を斬るわけだ!!」
「なるほど…」
スパァン!!
「ケラッペェ…」
バタン!!
その場に倒れ込むモンスタ-
「…こいつが居れば、十分だ」
「帰るぞ」
「はい…」
(無茶苦茶な人だな…)
秋雨組、拠点
「…凄い!!」
秋雨達の拠点には、しっかりとした草の家が建っている
「凄いですね!天鹿和さん!凩さん!!」
「そうだろう?造るのに苦労したんだからな」
「流石だろ!?俺!!」
「ウェンさんは?」
「水を引くための穴を掘ってる」
「高水圧で、一気に掘ってるぞ」
「あの人も凄いですね…」
「さて、お前達は食料を取ってきたのか?」
「はい!この通りです!!」
秋雨が自信満々に、モンスタ-を出す
「…食えるのか?」
「食えるらしいですよ」
「…他には?」
「木の実がたくさんあります」
秋雨が、無茶苦茶な色合いの木の実を取り出す
「…予想はしていたが、ロクなのがないな」
「料理すれば、何とか…」
「いや、水はともかく、食うのはやめた方が良いだろ」
「得体が知れなさすぎる」
「…言われてみれば」
「お前達!そんな事を言ってたら、このサバイバルじゃ生き残れないぞ」
「見ろ!こうやって、生でも食える」
バリ!ボリ!!
メタルが、生で木の実を貪る
「「生」って…」
「メタル、水は引けたぞ」
ウェンが歩いてくる
「あ、ウェンさん」
「お疲れ様です」
「お!モルッコムじゃないか!!」
「仕留めたのか!?」
「俺が、な」
自分を指さすメタル
「モルッコム?」
「このマリモのようなモンスタ-の名前だ」
「肉が絶品でな」
「本当だったんですね…」
「俺を信用しろよ!!」
「この木の実も食ってみろ!!」
「…メタル、その木の実は」
「何だ?ウェン」
2時間後…
パチパチパチ…
火を囲み、食事を済ませた秋雨達
「おいしかったですね!モルッコム」
「牛肉に似てたな」
「こんな、おいしいものを食べられないなんて…」
「メタルは可哀想だな」
「全くだ」
「はうぁぁぁぁあぁああ…」
腹を押さえ込み、うずくまるメタル
「何が、「俺を信用しろよ!!」だ」
ため息をつく凩
「あの木の実は、「下剤の実」だ」
「焼いたり、水につけたりしておくと大丈夫なんだが…」
「生で食うと、ああなる」
「大丈夫ですか?メタルさん」
「同情するなら、「正◯丸」をくれぇぇぇ…」
「喋れるんなら、大丈夫ですね」
「以外に残酷だな、秋雨」
「そうですか?」
「そうだよ」
「あり?何やってるんだぜ?」
スペ-ドが、草むらの茂みから出てくる
「スペ-ド!!」
「敵か!?」
秋雨達が構える
「構えるな、だぜ!!」
「仲間とはぐれたから、ココに居るんだぜ!!」
「はぐれた?」
「いつ、だ?」
「吹っ飛ばされたときだぜ」
「嘘をつくな」
「エネルギ-製の糸で、仲間同士が離れることはないはずだ」
「…いや、そいつが言ってるのは嘘じゃないかも知れない」
「何故だ?ウェン」
「…ウェンは、気付いてるな、だぜ」
「この大会はおかしいぜ」
「?」
「まず、ボタンの故障からしてあり得ない」
「もしかすると…」
「…ヤグモかも知れない、だぜ」
「「ヤグモ」?」
「メタル!お前は、こいつ達に話してないのか?だぜ」
「お前達が参加した大会の真相を、だぜ」
「…話してなかったな」
「妙なことを知らなくても言い、と、話さなかったが」
「ここまで、ヤグモがやってるって事は、話した方が良いぜ」
「無駄に混乱するぜ」
「…そうだな」
「皆、聞いてくれ」
「?」
「この大会は、仕組まれてる」
「優勝賞品目当てに集まった手練れ達を競わせ、エネルギ-純度が高く、強い物を選別する為に開かれた物だ」
「メタルさん!それって…」
「…ハジャと同じやり方だな」
「待ってくれ!」
凩が叫ぶ
「話が見えない!!」
「初めから、説明してくれ!!」
「…そうだな」
「秋雨!頼む」
「僕ですか?」
「俺は、こんな状態だ」
「これ以上、喋ったら、出るかも知れん」
「「出る」って…」
「メタル、お前、もしかして下剤の実を食ったのか?だぜ」
「だったら、解毒の実で…」
スペ-ドが、袋から黄色い木の実を取り出す
「くれ!!」
「良いぜ」
モグモグ…
「回復!!」
「よし、頼む、秋雨」
「結局、僕ですか…」
「…皆さん、聞いてください」
「おう、教えてくれ」
「…聞かせて貰うよ、秋雨君」
「聞かせろ」
そうして、秋雨は「全ての始まり」を皆に話した
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