予選開始
大会予選、当日
大会会場
「ついに、大会開始だな」
「頑張りましょう!!」
「そうだね」
「全員、ぶっ殺してやる!!」
「え-、大会参加者の皆さんは、あの門の中に入ってください」
大きな門が、秋雨達の前にそびえ立つ
「この門は?」
「…大会開始の祝砲かな?」
「?」
ぞろぞろと参加者達が門の中に入っていく
「僕達も行きましょう」
進む秋雨達
門内
「暗くて、何も見えませんね」
真っ暗な門の中
「そう言えば、気付いたんだが」
「何だ?凩」
「サバイバル方式の予選だが、入り口の近くで2日間過ごせば良いんじゃないか?」
「わざわざ、遠くまで行かなくても…」
「あ、それなんだけどね」
「強制的に飛ばされるんだよ」
「「強制的に」?」
「どうやってだ?」
「それでは…」
アナウンスが流れる
「発射します」
「…こうやって」
ドオッォォオォォッォォォォオォン!!
「うぉぉぉおぉおぉ!?」
大砲の弾丸のように、参加者が吹っ飛ばされる
「メタルさん!どうなってるんですかぁあああ!?」
「これで、バラバラになる!!」
「仲間同士はエネルギ-製の糸でくっついてるから、大丈夫だけどぉぉおぉぉ!!」
「落ちても、無事で済むのかぁぁ!?」
「5年に20人は死ぬけどおぉぉおおお!!」
「大丈夫じゃねぇだろぉおおおお!!」
ヒュオオッォオオオォォオ…
ゴガァァァァン!!
地面に落ちる秋雨達
予選会場の森
「痛てて…」
「大丈夫か!?皆!!」
「どうにか…」
「大丈夫だ」
「この程度でくたばっては、先が思いやられる」
「行くぞ、皆」
ウェンが歩き出す
「何処にですか?」
「食糧の確保だ」
「水も、な」
「まぁ、サバイバルだから当然だな」
「ああ、始めに言っておくけど、このサバイバルは現実世界のサバイバルとは比べものにならないから」
「どうしてですか?」
「まず、本選で戦う数を減らすために、他の参加者が勝負を挑んでくる」
「さらに、この世界のモンスタ-が襲ってくる」
「…それで、2日間生き延びろ、か」
「そうだ」
「まぁ、そんなに難しくないよ」
「良かった…」
「てっきり、化け物が大量に襲ってくるのかと…」
「ここの化け物は、餌を与えられてないから」
「共食いや、共同狩りをするからね」
「それって…」
「大量なんて当たり前だよ」
軽く笑うメタル
「…」
呆然とする秋雨
「どうでも良いが、食料と水だ」
「水場のある場所に行こう」
東の国、王室
「…いい加減にしろ」
「牢に放り込むぞ」
「牢に放り込んでも、無駄だと言うことは知っているだろう」
「すぐに、脱出するさ」
「…俺の力が無くとも、お前達ならヤグモに勝てる」
「解ったら、帰れ」
「…お前が、俺達に着いてくれるまで諦めはしない」
「…うざったいんだよ、クズが」
「兵士!コイツを牢にブチ込め!!」
「外に居る2人も、だ!!」
「はっ!!」
「…戻ってくるぞ」
ザッザッザッザ
連れられていくオキナ
王室外
「オキナ、遅いな」
「何かあったのか?」
バァン!!
王室への扉が開けられ、オキナが連れて行かれる
「オキナ!!」
「心配ない」
「お前達は、雷火達を探しに行け」
「だが!!」
「説得に時間がかかる」
「その内、追いつくさ」
「…解った」
「行くぞ!鬼怒!!」
「…そうだな」
走っていく白刃之と鬼怒
「追え!逃がすな!!」
「追わせると思うか?」
ゴォン!!
兵士の1人がオキナに吹っ飛ばされる
「な…!?」
「全員、かかってこい」
「俺を牢にブチ込みたければ、な」
「かかれ!相手は1人だ!!」
オキナに突っ込む兵士達
北の国、洞窟
「…手当、ありがとね」
アメ-ルとアオシが支度をする
「もう、大丈夫なのか?」
「ああ、大丈夫だ」
「お前も行くのか?」
「ああ、お前達に着いていく」
「紋章が無くなった時点で、大した戦力には慣れないかも知れないがな」
「そんな事、無いよ!!」
「紋章が無くても、十分に戦力になるから!!」
「…ありがとうな」
「ケイジ、行くぞ」
「オキナ達が待ってる」
「…ああ、解った」
「オキナ達は何処に?」
「雷火達を捜してるはずだ」
「「通り道に、東の国が有るから寄る」と言っていたが…」
「では、東の国に行こう」
「今頃、炎鬼の説得に手間取ってるはずだからな」
「…だろうな」
苦笑するアオシ
予選会場の森
「水場は、ここで良いですか?」
秋雨が湖を指さす
「…ダメだ」
「え?どうしてですか?」
「この付近はダメだな」
「近くに水を引く」
「この場はダメなのか?」
「いちいち、遠くにしなくても…」
「あんな風になりたいのか?」
「?」
ウェンが湖の近くで支度するグル-プを指さす
「あ!あの人達は…」
「確か、柳舞のことを聞いた初めの人達だったよね」
「準備が素早いなぁ…」
「この大会の上級者ですかね?」
「いや、初心者だ」
「どうしてですか?」
「この大会では、敵は人とモンスタ-だ」
「まず、あんなに見晴らしの良い所に拠点は置かない」
「なるほど…」
「それに、湖の近くに拠点を置くこと自体が間違ってる」
「どうしてですか?」
「それは、ウェンが言ってる事と理由は同じだな」
「モンスタ-が居るのは、陸だけじゃない」
「ま、まさか…」
バシャァァァァン!!
湖から魚に足が生えたようなモノが出てくる
「アレは、厄介だぞ」
「湖に餌を引きずり込む」
「グギギギィ…」
「う、うわぁああ!!」
次々に引きずり込まれていく
「た、助けなくて良いんですか!?」
「馬鹿か?お前は」
「敵を助けてどうする?」
「死んじゃいますよ!!」
「いや、大丈夫だ」
「渡された腕章を見てみろ」
「?」
腕章には、ボタンがついている
「それを押せば、特殊な音波でモンスタ-共は逃げていく」
「まぁ、それと同時に失格だが」
「そうなんですか…」
「見ろ、押したぞ」
引きずり込まれていく参加者達が、次々に腕章のボタンを押す
「…あれ?」
ポチッ
ポチポチポチポチ!
何度、押しても、ボタンは反応しない
「な、何でだ!?」
「た、助けてくれぇええ!!」
「グギィィィ!!」
「助け…!!」
ゴボゴボゴボゴボ…
水面から、モンスタ-と参加者達が消える
「ボタンが反応しない…?」
「故障か?」
ゴプンッ
水面が、血に染まってく
「…全員、気をつけろ」
「リタイアは無しだ」
「それじゃぁ…!?」
「…2日間、死人のオンパレ-ドだ」
「油断すれば、死に直結する」
「構えろ」
「モンスタ-共のお出ましだ」
「…!!」
口の周りに血のついたモンスタ-が、湖から出てくる
「グギィ…!!」
「来るぞ」
「覚悟しろ」
「…はい!!」
読んでいただきありがとうございました