予選前日
大会会場、申込所
「申し込みを頼む」
「ご参加ですね?」
「そうだ」
「御名前をお願いします」
紙を差し出してくる受付
「皆!名前を書いてくれ」
名前を書いていく秋雨達
「ご確認しました」
「それでは、この腕章を腕に付けて下さい」
「選手としての証明になります」」
「解った」
腕に腕章を付ける
「では、今回の大会のル-ルを説明します」
「聞かせてくれ」
「大会の予選は事前の通達が変更となり、サバイバル方式となります」
「サバイバル方式?」
「初めは、動物を仕留める方法でしたが、動物たちが仲間割れを始めて死んでしまったので、サバイバル方式となりました」
「…」
受付から目をそらす秋雨、天鹿和、凩
「サバイバル方式とは、2日間の間、指定のフィ-ルドで生き残ってもらいます」
「2日目の12時までに、会場の入口まで戻ってきて下さい」
「ル-ルは、それだけか?」
「はい、それだけです」
「…解った」
「大会参加者専用の宿があります」
「そこで大会開始まで、ごゆっくりお休み下さい」
「どうも」
「宿はあちらです」
「行きましょう、皆さん」
「…」
「メタルさん、どうかしましたか?」
「ウェンさんも…」
「…いや、何でもないよ」
「さぁ、行こう」
「はい!!」
宿に向かう秋雨達
大会専用の宿
「結構、綺麗なところですね」
「温泉や売店まで有るんだな」
「良い設備だ」
「早く、部屋に向かおう」
「しっかり、体を休めないと」
「はい!!」
「俺達の部屋は109号室だな」
「先に行っててくれ」
「メタルさんとウェンさんは?」
「ちょっと、顔見知りが居てね」
「挨拶に」
「そうですか」
「では、先に行ってます」
部屋に行く秋雨達
「…さて、スペ-ド、ジョ-カ-、姿を見せてくれ」
「…知っていたのか」
柱の影から、鉄兜を被った男と、長い太刀を背中に背負った男が出てくる
「久しいな」
「金田達はどうした?」
長い太刀を背負った男が切り出す
「…お前達には関係ない」
「今回は、普通に参加か?」
「前回と違って、な」
「ハジャ様が居なくなった今、俺達は誰にも着くつもりはない」
「…ヤグモに着いた奴も何人か居るようだが、俺達は着かないぜ」
「ハジャ様一筋だからな」
「…ハ-トとダイヤ、クロ-バ-は?」
「クロ-バ-は部屋で寝てる」
「ハ-トとダイヤは風呂だな」
「覗きに行こうとして、死にかけたぜ!!」
「…そりゃ、そうだろ」
「それと、聞きたいんだが…」
「何だ?」
「今回の目的は何だ?」
「単に、優勝賞品目当てだ」
「ジョ-カ-、相変わらずだな」
ウェンが苦笑する
「そいつは、いつまで経っても変わらないぜ!!」
「ウェンもな…、だぜ!!」
「そうか?髪は切ったんだが…」
「…そう言う問題じゃないぜ」
「スペ-ドの言う通りだな」
「それで、ジョ-カ-」
「何だ?」
「ヤグモについて、何か聞いてないか?」
「「ハジャ様の意志を継ごう」と、協力を持ちかけられたが…」
「断った」
「…お前らしいな」
「そしたら、「そうか」って言って、帰って行ったぜ!!」
「それ以外のことは知らん」
「…情報提供、ありがとな」
「礼には及ばないぜ!!」
「大会で、お前と戦うのが楽しみだ」
「俺達もだ」
「…それじゃ、俺達は部屋に戻る」
「じゃぁな」
「おう!大会でな」
帰って行くスペ-ドとジョ-カ-
「…この大会、面白くなりそうだぜ」
「メタル、当初の目的を忘れるな」
「優勝賞品と、その後だろう」
「ん?ああ、解ってるよ」
(本当に、解っているのか…?)
109号室
「…2人とも」
「何ですか?天鹿和さん」
「メタルさんと一緒にいた水色の髪の人、誰かな?」
「木が言ってた人と思うけど…」
「…聞いてみますか?」
「感じからして、敵ではないと思いますが…」
「…聞いてみるか」
立ち上がる凩
ガチャッ
メタル達が部屋に入ってくる
「お待たせ」
「…メタル、聞きたいんだが」
「何だ?」
「誰だ?そいつは」
「ああ、コイツ?」
「ウェンって言うんだけど」
「お前とは、どういう関係だ?」
「何で、そんな事を聞くんだ?」
「お前、こいつが好きなのか?」
「…女のような男に興味はない」
ゴッ!!
ガァァァン!!
凩が吹っ飛ばされ、壁にめり込む
「誰が、女のような男だぁ…!?」
「ああ!?」
「と、まぁ、コイツは女扱いされるのが大嫌いだから」
「気をつけてね」
「は、はい…」
「それで、コイツは五神の1人、ウェン」
「水を司る神だ」
「へぇ…、五神の」
「結構な実力者だが、女嫌いで女扱いされたらブチ切れるから」
「どうして、そんな事に?」
「昔、好きだった女に騙されてな!!」
「有り金を、全部、盗まれ…」
ゴッ!!
ガァァァン!!
メタルが吹っ飛ばされ、壁にめり込む
「殺すぞ…!!」
「メ、メタルさんまで…」
「秋雨君、気をつけようね…」
「はい…」
北の国、洞窟
「キツイであります…!!」
ボロボロのキユが、どうにか立っている
「諦めて、ヤグモの情報を吐け」
「そうすれば、見逃してやる」
「逃げるわけには、いかないであります!!」
「私めの使命は…」
「あ-、はい、はい」
「お前の長たらしい演説は、誰も聴いてないよ」
洞窟の入り口に、仮面の男が立っている
「誰だ!?」
「…アオシ、アメ-ル、久しいな」
「そして…、残念だ」
パァン!パァン!!
「あが…!?」
「う…!!」
腹部に銃弾が命中する2人
「アオシ!アメ-ル!!」
叫ぶケイジ
「さて、ケイジ」
「紋章を渡せ」
「く…!!」
「この2人が、どうなっても良いのか?」
2人の頭に銃を突きつける男
「構うな…!ケイジ!!」
「紋章は…!!」
「黙ってろ」
パァン!!
アオシの足に、銃弾が撃ち込まれる
「ぐがぁあああああ!!」
「アオシ!!」
「早くしろ」
「…すまない!」
「持って行け!!」
紋章を男に渡すケイジ
「…確かに受け取った」
「行くぞ!キユ!!」
「は!了解であります!!」
洞窟を出て行く2人
「待て…!!」
「2人とも!動くな!!」
「今、薬草を持ってきてやる!!」
「くそ…!!」
「すまない…!オキナ…!!」
東の国、王室
「…下らないな」
「飽きてきたぞ」
「まだ、だ…!!」
「俺は負けない!!」
「根性論は嫌いなんだよ」
「マジで殺すぞ」
「やってみろ!!」
「じゃ、やってやるよ」
ゴゥン…
大剣を構える炎鬼
「灼熱獄炎…!!」
ガン!!
大剣の中心が割れる
「地獄に逝け!!」
ゴォォォォオォオ…
大剣から炎が放たれる
「おらぁ!!」
鬼怒に突っ込む炎鬼
「世話の焼ける生徒だ」
「牢火絶界」
ガガガガガガガガガガ!!
オキナが炎鬼の攻撃を防ぐ
「流石だ!オキナァ!!」
「ガキ相手に本気出してんじゃねぇよ、炎鬼」
ガァン!!
2人が一気に下がる
「…さぁ、次はお前か」
「行くぞ!!」
「やめろ」
「お前と戦うつもりはない」
「戦え!!」
「却下だ」
武器をしまうオキナ
ガァン!!
「「戦え」と言っているんだよ!!」
炎鬼がオキナの首元に大剣を突きつける
「…何に怯えている?」
「「怯える」だと!?」
「お前は、どうしてそんなに強さを求めるようになった?」
「やはり、亜門の…」
「黙れ!!」
叫ぶ炎鬼
「…興ざめだ」
「帰れ」
ガァン!!
大剣を床に突き刺す炎鬼
「お前達は、部屋の外で待機しろ」
「俺は、コイツを説得する」
「当初の目的の雷火達は、その後だ」
「オキナ…」
「鬼怒、無駄な勝負は挑むな」
「現実世界でお前が強かろうが、ここじゃヒヨッコだ」
「…その様だな」
「行け!鬼怒!白刃之!!」
「…行くぞ、鬼怒」
白刃之が鬼怒を背負う
「すまない」
「別に良いさ」
バタン…
2人が王室を出て行く
「…何をしている?オキナ」
「お前も帰れ」
「お前が、月神を復活させるのを諦めるまで、ココに居る」
「…無駄だ」
「もはや、俺を殺せるのは月神しか居ない」
「…「殺されたい」と、言っているように聞こえるぞ」
「…そうかも知れないな」
イスに座る炎鬼
「…鬼怒とか言うガキのせいで、俺のイスがボロボロだ」
「直さなきゃな」
「…考え直してくれ」
「無駄だ」
「何度も言わせるな」
「…何度でも言う」
「考え直せ」
ガァン!!
オキナを吹っ飛ばす炎鬼
「黙ってろ」
「…考え直せ」
「黙ってろ!!」
北の国、洞窟
「うぐ…!!」
「大丈夫か?2人とも」
「紋章を渡しやがって…!!」
「すまない…、俺のせいで誰かが死ぬのは、もう嫌なんだ」
「アオシ、解ってあげようよ」
「ケイジも辛いんだ」
「…フン!!」
「心配しなくても、他の皆は渡さないよ」
「絶対に…!!」
「それなら良いが…」
読んでいただきありがとうございました