緊急参加
東北の道
黙々と道を歩き続ける3人
「…秋雨、柳舞の情報はカンパニ-で手に入るんだよな?」
「はい、恐らく」
「もし手に入らなくても、誰かが見たことがあるはずです」
「…そうか」
「キキキ!!」
「…何だ?」
コウモリのような鳴き声が響き渡る
「コウモリか?」
「いや、今は昼だ」
「この世界のモンスタ-だろう」
「キキキ!!」
ガタガタガタ!!
秋雨達の足下が揺れる
「来ます!!」
「飛べ!!」
バッ!!
飛び上がる3人
「キキィァ-!!」
ガガガ!!
3人の足下から、仮面を付けた化け物が出てくる
「コレは…!?」
「解らん!!」
「キキャ!キキャ!!」
バン!バン!!
大きな両腕で地面を叩く化け物
「どうする!?秋雨!!」
「逃げましょう!無駄な戦闘は…」
「…無駄みたいだぜ?秋雨」
3人の周りから、仮面の化け物がぞろぞろ出てくる
「しまった…!!」
「秋雨君!やるしかないよ!!」
「ぶっ殺そうぜ!!」
「天鹿和の言うとおりだ」
「…戦闘は最小限でお願いします!!」
「優先目的は逃げることです!!」
「解った!!」
「OKだ!!」
ザッ!!
別々の方向に走る3人
「キキキ!!」
「誘爆破殺!!」
天鹿和が化け物の顔を掴む
「おらぁ!!」
ボンッ!!
化け物の顔面が、軽く爆発する
「…キ?」
「どうだ!?化け物!!」
「キキキィ-!!」
化け物が天鹿和に飛びかかる
「所詮は、猿知恵」
「死ね!!」
ゴッ!!
天鹿和が化け物を殴って吹っ飛ばす
「キキ…!!」
「さて、頃合いだな」
パチン!
「キ…」
バァァァァァン!!
吹っ飛ばされた化け物の顔面が爆発する
「先刻の爆発とは、比べものになんねぇだろ?」
「誘爆破殺は、1度目の攻撃で爆弾を仕込み、2度目で爆発させる」
「キキィァ-!!」
跳んだり跳ねたりして、天鹿和を威嚇する化け物達
「来いよ、猿共」
「俺が相手だ!!」
「むん!!」
ガァン!!
凩が時計を地面に突き刺す
「Stop time」
ズゥウウゥウウン…
「キィ…」
動きが休息に遅くなる化け物達
「遅い、遅すぎるぞ」
「High speed time」
ズゥウゥン…
凩の周りだけが、青い光に包まれる
「はぁ!!」
ババッバッバババババババ!!
もの凄い速さの鉄拳で化け物をなぎ倒していく凩
「キキキ!!」
その瞬間、敵の動きが元に戻る
「「Stop time」が解除されたか…」
「では…」
ブォン!!
時計を空高く放り投げる凩
「Gravity time」
ゴォォォォォォン!!
「キキィ…!?」
メキメキメキメキ!!!
地面にめり込む化け物達
「…逃げる必要性は無いみたいだな」
「弱すぎる」
ため息をつく凩
パン!パン!!
銃を乱射する秋雨
「数が多い…!!」
「キキャァ-!!」
一斉に秋雨に走ってくる化け物達
「仕方ない…!!」
バン!!
地面に手を当てる秋雨
「強制変換!!」
ボコボコボコ…
地面が紅く染まっていく
「キ!?」
ジュゥ-…
「キキィアキャァアアア!!」
地面はマグマのようになり、化け物を溶かしていく
「これで良し…、と」
「逃げましょう!天鹿和さん!凩さん!!」
「ん?何か言ったか?」
「あれ…?」
天鹿和と凩が化け物を一掃している
「「優先目的は逃げること」って言いましたよね!?」
「結果オ-ライだ」
「心配ない」
「そう言う問題じゃ…」
「まぁ、良いじゃないか、秋雨君」
「凩君の言うとおり、結果オ-ライだよ」
「これ以上、グダグダ抜かすと殺すぞ」
(ややこしい…)
呆然と立ち尽くす秋雨
「ちょっと!何してるの!?」
「え?」
怒鳴りながら、男が走ってくる
「その動物は!予選参加者のテスト用だよ!!」
「アンタ達、未参加者だろ!?」
「「予選」?」
「何のことですか?」
「ああ!もう!!」
「何も知らないのかぁ…」
頭を抱える男
「今回、開かれた大会で、使われる動物だよ!!」
「3匹倒したら予選突破で、本選への出場権が与えられるんだ」
「何かの大会ですか?」
「知らないの!?」
「まったく!最近の子は、新聞もニュ-スも見ないのか…」
「だから!何だって聞いてんだろ!!」
「戦闘大会だよ」
「優勝者には、エネルギ-を高める代物が渡されるらしいよ」
「「エネルギ-を高める物」?」
「そうだよ」
「…秋雨、天鹿和、ちょっと来い」
「何ですか?凩さん」
秋雨と天鹿和を手招きする凩
「良いか?「エネルギ-を高める代物」とは、コレからの戦闘に役に立つだろう」
「その上、大規模な大会のようだし、リ-ダ-の情報も得られるかも知れないぞ」
「…戦闘は目的ではありませんし、大会に出なくても、カンパニ-があります」
「停止寸前のカンパニ-より、大会の手練れ達から情報を聞いた方が早い、と言ってるんだ」
「なるほど」
「頭、良いですね、凩さん」
「…解りました」
「何とか言って、大会に参加しましょう」
「そうだな」
「どうしたの?」
「僕達も、大会に参加して良いですか?」
「「参加して良いですか」って…」
「確かに、かなりの実力者のようだけど…」
「ダメですか?」
「う-ん、僕の独断じゃ、ね…」
「後で、社長に掛け合ってみるよ」
「ありがとうございます!!」
「それじゃ、車に乗って」
「え?」
「全ての予選用動物を殺したんだ」
「代わり用の捕獲を手伝って貰うよ」
「…えっと、飼育員さんですか?」
「そうだけど?」
「天鹿和さん」
「何?」
秋雨が天鹿和に耳打ちする
「よし、来た」
天鹿和が飼育員に近づく
「…予選動物は、仲間割れを始めて自滅した」
「事故だった」
「…はい、その通りです」
目が虚ろになる飼育員
「はい!精神暗示、完了!!」
「…結構、黒いことを考えるな、秋雨」
「…仕方がなかったんです」
「さぁ!会場に車で送ります」
「行きましょう!!」
車に乗り込む飼育員
「…行くか」
「そうですね」
ブロォォォォオォオ…
そうして、秋雨達を乗せた車は大会会場に向かった
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