旅人達
煙草屋
「大丈夫か!?GL!竜山!!」
「秋雨…!!」
「…何が「大丈夫か」だ」
山中であった男が、平然と立っている
その男の目の前には、倒れているGL
「お前…!GLに何をした!?」
「正当防衛だ」
「この店に入った瞬間、蹴りかかって来たからな」
「…雷火、店の中で何をしている?」
和風が男を睨む
「だから、正当防衛だって言ってんだろうが!!」
「店の中を荒らしやがって…」
「落とし前はきっちり付けて貰うからな」
「仕方ねぇだろ!この女が蹴りかかって来たんだからよ!!」
「それはそれ、コレはコレ」
「あのなぁ…!!」
「雷火、やめろ」
「ノ-ス!ワンコ!遅ぇんだよ!!」
サングラスをかけた男と長髪の眼帯の男が店の玄関に立っている
「久しぶりだな、和風」
「俺の連れが迷惑をかけた」
「何千回、聞いたと思ってるんだ?その台詞」
「…お前達は、先日の」
「また、敵…!!」
構える秋雨
「そう構えるな」
「お前達と戦う気は無い」
イスに腰掛ける男
「俺はノ-ス」
「この男はワンコだ」
長髪の眼帯が一礼する
「僕の武器が、迷惑をかけたみたいで…」
「…?」
「ワンコ!そんな奴達に謝るな!!」
「虫ずが走る!!」
「でも…、襲ったのは僕だし…」
「お前をブっ倒したのは、そこの寝てるガキだろうが!!」
「それは…、雷火の言う正当防衛で…」
「違う!過剰防衛だ!!」
「いい加減にしろ」
「彼達と和風に迷惑だろう」
「だから!!」
「うるさい」
「睡眠爆弾」
雷火に爆弾を投げるノ-ス
ボン!!
「ノ-ス…、テメェ…」
「覚えて…ろ…」
バタァン!!
その場に眠り込む雷火
「迷惑をかけたな」
「しばらくは目覚めない」
「ノ-ス、店の修繕は後で良い」
「今日の用事は何だ?」
「煙草だ」
「切らしてしまってな」
「あ!イトウさんに頼まれてるんだった…」
「和風さん!イトウさんの分もお願いします!!」
「1人分なら、ここに有る」
和風が秋雨に煙草を手渡す
「あとは店の奥だ」
「取って来るから、待ってろ」
店の奥に入っていく和風
「あの…、大丈夫?」
「あ、ありがとう」
GLを起こすワンコ
「雷火は乱暴で…」
「本当は良い奴なんだけど…」
「どうかしら?竜山は殺しかけるし…」
「その竜山さん、大丈夫なの?」
「ええ、どうにかね」
「あのノ-スさんのおかげよ」
「ノ-スは、頑固だけど…、仲間思いだから」
モジモジと喋るワンコ
「アナタは?」
「ぼ、僕は…、特徴も無いし…」
「でも、危険を感じたらコイツが出てくるんだ…」
ワンコが背中から棒を取り出す
「何?コレ」
「鬼犬って言うんだよ…」
「呪われた武器みたいで…」
「呪われた武器?」
「持ち主に危険が迫ると、鬼犬が持ち主に憑依するんだ…」
「それで、昨日みたいに凶暴に…」
「昨日?秋雨が言ってた「野獣」って…」
「僕の事だよ…」
「昨日、変な集団が襲ってきて…」
「僕が、鬼犬に憑依されて、全員、倒したのは良かったんだけど…」
「そのまま、何処かに走り出しちゃって…」
「コントロ-ルは?」
「効かないんだ」
「意識は有るのに…」
「ふ-ん…」
「まぁ、良いわ」
立ち上がるGL
「アナタは悪い人じゃないみたいね」
「あ、ありがとう…」
「でも、雷火やノ-スも悪い人じゃないよ?」
「…どうかしら?」
「悪い人じゃないよぅ…」
泣きそうになるワンコ
「わ、解ったわよ!!」
「…君、異世界人か?」
ノ-スが秋雨に話しかける
「え?どうして…」
「それくらい解る」
「能力もないのに、エネルギ-だけ強い」
「その…、能力は無くしちゃって…」
「能力を無くす?使いすぎたのか?」
「何でも…、「地獄の闇」とかを封じ込めるときに…」
「…なるほど」
「君、何処で、それを封じ込めた?」
「これ以上は…、ちょっと」
「…視れば済む話か」
ノ-スが秋雨の頭に手を置く
「秋雨さん!エネルギ-を頭に集中させてください!!」
「視られます!!」
モッチ-が叫ぶ
「!!」
エネルギ-を頭に集中させる秋雨
「伊達に、闇を封じ込めたワケではない、か」
「無駄だが…、な」
ビクッ
ノ-スの体が一瞬震える
「コレは…!!」
「離してください!!」
ノ-スの手を振り払う秋雨
「…見ましたか?」
「…お前、メタルを知ってるのか?」
「金田やガルス、イトウにメイス、オキナ、アオシ、アメ-ルも…」
「…アナタ、誰ですか?」
「…旅人さ」
「ただし、力を持った…、ね」
「?」
「まぁ、メタル達とは古い友人さ」
「彼達の弟子?」
「弟子というか…、生徒です」
「「生徒」?ああ、WG学園の」
「知ってるんですか?」
「まぁ、知ってるよ」
「ロックが建てたアレだろ」
「は、はい…」
「…そうだった」
立ち上がるノ-ス
「カンパニ-にかんする情報が入って来たんだったな」
「和風に教えてやらないと」
「あの…、僕にも教えて貰って良いですか?」
「どうして、だ?」
「クラウンに言われてるんです」
「「カンパニ-についての情報が有れば、教えて貰えないか」と」
「…クラウンが?」
「はい」
「良い情報ではないんだが…」
ため息をつくノ-ス
「…カンパニ-が五神三聖から解放された」
「人質も無事だそうだ」
「良かった…」
「それじゃ、校長も…」
「…解放の理由は、五神三聖が壊滅的な状態に陥ったからだ」
「原因は、1人の男」
「校長ですね」
「…そうだ」
「ロックは周りの制止を無視し、カンパニ-に乗り込み、五神三聖を壊滅状態にまで追い込んだ」
「そして…」
目を閉じるノ-ス
「死んだ」
「…え?」
「流石に、ロックと言えど、人質を逃がしながらの戦闘には無理が有ったんだろう…」
「人質の証言では、カンパニ-の中で死亡したそうだ」
「そんな…!!」
「死体は見つからなかった」
「恐らく、五神三聖の奴達が破棄したんだろうな」
「クラウンに、何て言えば…!?」
「…有りのままを言うしかないだろう」
「事実は事実だ」
「校長…!!」
和風が店の奥から出てくる
「待たせたな」
「ノ-ス、煙草だ」
「…和風、言う事が有る」
「聞いてくれ」
「…?」
読んでいただきありがとうございました