後悔と目的
和風の畑
「ここで薬草を栽培してるんだ」
目の前には大量の草
「凄いですね」
「世話は、俺のペットがしてる」
「ペット?」
「ああ、俺になついてる」
ガブッ
「俺のペット」
巨大な草の化け物が和風の頭に噛み付いている
「可愛いだろ?」
「…食われてますけど」
ガジガジガジ
「アハハ!じゃれてるだけだよ」
メキメキメキメキメキ
「メキメキ言ってますけど」
「心配ないさ」
ボキン
何かが砕ける音がする
プラ-ン…
垂れ下がる和風の腕
「和風さ------ん!!」
それから、しばらくして…
「心配かけたね」
「…大丈夫ですか?」
「心配ないよ」
「薬草も、すぐ取れる」
「はぁ…」
「実は、君を連れてきたのには理由があるんだ」
「「理由」?」
「長い事、商売をしてると人の感情が見えてくるんだよ」
「人と人の関係とか、ね」
「「関係」…、ですか」
「憎悪、嫉妬、感謝、尊敬、友情…、恋愛とか、ね」
「「恋愛」…、ですか」
「その言葉に、興味が有るはずだろう?」
「誰かは知らないが、GLともう1人の女の子、どちらにするか迷ってるんじゃないかい?」
「!!」
「図星だね」
「この話をするために連れてきたんだよ」
「…皆には」
「言わないさ」
「個人的関係を崩すのは好きじゃない」
「…ありがとうございます」
「良ければ、相談してくれないかな?」
「君達の関係性に興味がある」
「…「GLともう1人の女の子」、女の子は水無月さん、って言うんです」
「GLとは、よく任務にも行くし、同じ部屋なんです」
「…それで?」
「水無月さんは、先輩だし、同じ生徒会に所属してます」
「…難しい関係だね」
「…はい」
「まぁ、今、話したのが全ての関係ってワケじゃないだろう?」
「…」
「決めるのは君だ」
「俺も関係性を視ることが出来るだけで、思考までは解らない」
「俺の助言できた物じゃなかったのかも知れないね」
「…そうですか」
「そんな俺が、1つだけアドバイス」
「悩みすぎて、結局、気持ちを伝えられなくて後悔、だけはしない事だね」
「…はい」
「…昔話をして良いかな?」
「俺のじゃない」
「…誰のですか?」
「まぁ、匿名希望だ」
和風が腰を降ろす
「その男は、愛した女性が居て、幸せな家庭を築くつもりだった」
「しかし、そんな男に事件は起こった」
「…何が有ったんですか?」
「愛した女性が殺されたんだ」
「男は、ずっと泣き続けた」
「ずっと、ずっと、ずっと…ね」
「…」
「そうして、決意した」
「「これから、この様なことが無いように、組織を作ろう」
「「困った人を助けることが出来る組織を…、」ってね」
「それって、もしかして…」
「解っちゃったかな?」
「俺の友人だよ」
ため息をつく和風
「その男が、今でも後悔してることがある」
「愛した女性に思いを伝えられなかった事、だ」
「…そうなんですか」
「…昔から馬鹿な奴でね」
「目的のためなら、手段を選ばないことも有った」
「組織を作ったときも、仲間を集った」
「敵の手下から、闇の闘技場で戦ってた女、捨て子や、身寄りのない子供、特殊能力を持った者を…ね」
「…それで、出来たのが?」
「君の予想通りの組織さ」
「あのバカの目的は、君達の敵に似ている」
「…どうして知ってるんですか?」
「その「バカ」が、何日か前に、ここに来てね」
「煙草を買って行ったよ」
「その時に?」
「俺に伝言を頼んでいったよ」
「「今から死にに行くから、伝言を学園に頼む」」
「「学園のことは、スカルに任せる」…ってね」
「…校長ですね」
「敵の本拠地に行くんだ」
「相手は人質も取ってる」
「ロックは自分の命と引き替えにカンパニ-を取り戻すだろう」
「人質も救い出して…、ね」
「どうして、僕に話したんですか?」
「ロックは言ってたよ」
「「悔いが1つだけ残った」」と」
「俺が「何だ?」と聞くと…」
「「彼女に気持ちを伝えられなかった事だ」と言ったよ」
「…愛した人ですか?」
「そうだね」
「最後まで言ってたよ」
「「彼女は天国に行っただろうか?もし、そうなら俺は合えないな」」
「「俺は地獄行きだろうな」…、と」
「ロックは、自分の気持ちをいつ伝えるかを決めかねていた」
「そして、伝えられず…」
「…「その人は死んだ」」
「…だから、それが「後悔」だ」
「ロックの…、ね」
「しかし、目的でもある」
「愛した女性に、たった一言を伝える事が…、ね」
悲しい目をする和風
「で、俺から頼み事」
「?」
「伝言を学園に伝えてくれないかな?」
「その後、ロックのバカを殴ってきてくれ」
「…え?」
「俺は店を離れられないからね」
「俺の変わりさ」
「…どうして、僕に?」
「似てるから」
「僕が、校長に?」
「力を持て余しすぎて、自分の気持ちを殺してる」
「「自分の気持ち」を…」
「正直に生きなくても良い」
「でも、自分に嘘をついてはいけない」
「…はい!!」
「さて、薬草を採りに行こう」」
「すぐ、そこだ」
歩き出す和風
ガブッ
ガジガジガジガジガジ
メキョッ
「和風さ-----ん!!」
煙草屋前
「まったく、後でお仕置きが必要だね」
薬草を持った和風
「無事で何よりです…」
「心配かけたね-」
「秋雨さん!!」
「モッチ-?」
モッチ-が2人の下に走ってくる
「どうした?」
「店に…!この前に人達が!!」
「…!!」
「…何だか知らないけど、急いだ方が良さそうだね」
「モッチ-!行くよ!!」
「はい!!」
そうして、3人は煙草屋に走っていった
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