研究所の戦い
「…「地獄の様子」?」
モミジか首をかしげる
「お前が、後一歩で行くことになった所だよ」
「私が…」
「で、メタル」
「どうだった?」
「ああ、酷かったな」
「獅師も手を焼いてるみたいだが…」
「ハジャは封印されてた」
「…そうか」
「ハジャは、封印が解かれない限り、大丈夫だろうが…」
「問題はヤグモだな」
「…そのヤグモだが」
「何処に居るんだ?」
「向こう側だ」
「向こう側?ああ、異世界のことか」
「追いやったのか?」
「金田とガルスがな」
「…先、越されたな」
「それで、金田達は?」
「…ヤグモの一味と戦ってる」
「…そうか」
ガタッ
立ち上がり、服を持つメタル
「何処へ行く?」
「金田達の所だ」
「アイツ達だけでは、ヤグモに勝てない」
ガチャ
武器を持ち、保健室を出ようとする
「世話になった」
「実験は勘弁だけどな」
苦笑するメタル
「行かせるか」
「メイス!!」
「はい!!」
ゴッ!!
「おぐ…」
ドサッ
気絶するメタル
「バカが」
「傷が完治していないだろう」
ため息をつくイトウ
「メイス!メタルをイスにでも乗せておいてくれ」
「解りました」
「まったく、メイスの鉄拳で気絶するのに、ヤグモと戦える物か…」
「お前の変わりは行ってる」
「…それと、モミジ」
「何だ?」
「お前も安静にしていろ」
「毒は消えても、傷は消えてないからな」
「…解った」
「さて、問題は秋雨君とGLだな」
「秋雨君はエネルギ-消費が異常に激しいし…」
「GLは…」
ブツブツと独り言を言うイトウ
「…何か、手伝えることはないか?」
「秋雨に、少しでも恩返しがしたい」
「「恩返し」?」
「それは違うだろう」
「?」
「お前、異世界で秋雨を助けただろう?」
「それで、お相子だ」
「…命までは救ってない」
「それに等しいさ」
「…」
異世界、イトウの研究所
「はぁ…!はぁ…!!」
ボロボロの金田と倒れたガルス
「情けないな」
「昔のお前達は、もっと強かったはずだ」
「平和ボケか?」
「よく言うぜ…!!」
「「月神の紋章」でエネルギ-純度を高めてるだろうが!!」
「…お前、何も知らないのか?」
「何が!?」
「この紋章は一部に過ぎない」
「後の紋章は…」
「5神と!WGカンパニ-の本部に有るだろうが!!」
「何だ?知っていたのか」
「では、コレが本来の力でも無いことも知っているだろう」
「…当たり前だ」
「俺は、体の中にブチ込まれたことが有るからな!!」
「月神の依り代、だったか?」
せせら笑うヤグモ
「…次、死ぬのはお前だ」
「ヤグモ!!」
「どうだろうな?」
「フハハッハハハハ…!!」
「その通りだ」
「!!」
ガァン!!
ヤグモが蜘蛛の足で短刀を弾く
「シャ-クか」
「…ヤグモ!!」
シャ-クが、ヤグモの後ろに立っている
「どうだ?輪禍とバムは?」
「強かったか?」
「…ああ、流石に2人同時はきつかったがな」
「負けた部下を爆破しやがって…!!」
「…シャ-ク!!」
シャ-クの片腕が無い
「お前…!!」
「金田、気にするな」
「大丈夫だ」
「だが…!!」
「フハハッハハ!片腕で、俺を相手にするのか!?」
「無謀にも程があるだろう!!」
「…そうかも知れないな」
「だが、国を守る義務が、有る」
「「国王には…」か?」
「古くさい台詞だな」
「…だったら、何だ?」
ガァン!!
シャ-クの蹴りがヤグモの顔面に直撃する
「コレで、少しは…」
「「少しは」何だ?」
「!!」
平然と立っているヤグモ
「話してなかったか?」
「俺は、コレを食ってる」
ヤグモが口を開ける
「それは…」
「能力記石…!!」
「そうだ」
「面白い代物でなぁ!!」
「俺の体を取り込んで行ってるんだぜ!!」
「お前…!命を捨てる気か!?」
「ハジャ様を復活させ!この世に安静をもたらすためなら、な!!」
「墜ちたな…!ヤグモ!!」
金田が叫ぶ
「「墜ちた」?それは違うさ」
「頂を目指すのならば!犠牲は厭わない!!」
「全ては!ハジャ様のために!!」
「…その「ハジャ様」は、どうした?」
「地獄に居るんじゃないのか?」
「そうだ!だが、地獄への扉は開く!!」
「カンパニ-も制圧し、五神の居場所も突き止めた!!」
「全ては!順調だ!!」
「…お前、五神が素直に紋章を渡すとでも?」
小さく笑う金田
「渡すさ!!」
「五神は、月神の再臨を欲している!!」
「ならば、どうして5神は復活させない?」
「それは…!!」
「危険だからだ」
「月神の依り代が無ければ、闇が来る」
「闇に勝てる物など、この世には居ない」
「フハハッハハハ!この俺が居る!!」
「この俺がな!!」
「能力記石に頼ったお前が、闇に勝てるとでも?」
「勝てる!勝てるさ!!」
「猿の浅知恵だな」
「バカでも解る」
「何が言いたい!?」
「ハジャは、俺を依り代にした」
「何故か?理由は簡単」
「ッ…!!」
「「ハジャでも闇には勝てない」」
「だから、俺を依り代にした」
「違うか?」
「黙れ!!」
「ルドネス!!」
「はい、は-い!!」
ガラガラガラ!!
大量のナイフが金田に向けられる
「死ね!!」
ガキィィイィィン!!
ナイフが全て弾かれる
「金田、挑発は納得しないな」
「無茶をしないでください」
「…遅いな」
「計画では、もっと早かったはずだが?」
「気にするな」
校長と教頭が立っている
「ロック…!スカル…!!」
「この状況下だ」
「戦うのか?」
「く…!!」
バァン!!
辺りに煙幕が広がる
シュゥゥゥウウゥウ…
引いていく煙幕
しかし、そこにヤグモの姿はない
「…逃げたか」
「金田!ガルス!シャ-ク!!」
「…何だ?」
「帰るぞ」
「お前達をイトウさんが治療してくれる」
「…解った」
「…ここからは、俺達の問題だな」
「スカル!3人を背負って帰ってくれ」
「校長は?」
「…スカルの報告にあった」
「本部を奪還する」
「…お気を付けて」
「解ってるさ」
イトウの研究所から出て行く校長
「スカル…、ロックは…」
「…気にしなくて良いですよ」
「あの人が決めたことですから」
「…そうか」
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