地獄の闇
廃校、地下
ガタガタ!!
現実世界に飛び込む秋雨達
「早く来きてください!!」
「!?」
校長と教頭が全員を引っ張り、廃校の外の出る
廃校、周辺
「ふぅ…」
「皆さん!無事でしたか!?」
「こ、校長に教頭」
「…秋雨君とGLさんは見つかったみたいですね」
「残念ながら、柳舞さんの捜索は、しばらく後にします」
「どういう事だ?」
城牙が立ち上がる
「柳舞の捜索を後にするだと?」
「そうです」
「ヤグモの一味が、異世界に向かいました」
「捜索は…」
「…俺、1人でも行く」
「柳舞はゼロに必要だ」
「…今、金田さん達がヤグモの殲滅に当たっています」
「それより、怪我人の治療を」
「モミジ!!」
水無月がモミジに向かって叫んでいる
「…そう、怒鳴らないでくれるか?水無月」
「でも!私を庇って…」
「…偶然さ」
「気にしなくて…」
ビクン
「くぅ…」
バタッ
倒れるモミジ
「モミジ!!」
「アハハ…、限界みたいだ」
「秋雨、ツバメ、来てくれ…」
「モミジ…!!」
モミジに駆け寄る秋雨とツバメ
「モミジ、イタズラは程々にね…」
「後、シャ-ク兄さんによろしく…」
「そんな…!!」
「秋雨、言いたいことがある…」
「何だ!?モミジ!!」
「…大好きだ」
「ありがとう…」
ガタッ
力尽き、地面に落ちるモミジの手
「モミジ!!」
「姉さん!!」
「学園に行きましょう!!」
「イトウさんなら…!!」
WG学園、保健室
「…」
モミジを調べるイトウ
「…残念だが」
首を横に振る
「モミジ姉さん…!!」
「うわぁぁぁああああん!!」
泣き叫ぶツバメ
「モミジ…」
拳を握りしめ、立つ秋雨
「モミジぃ…!!」
水無月も顔を押さえ、地面に座り込む
「イトウさん、モミジさんは…」
「クラウン、この子に傷を負わせたのは?」
「ルドネスです」
「…そうか、死因はメタルと同じだな」
「…え?」
一瞬、その場の空気が凍り付く
「メタルさんが…?」
「異世界に向かうヤグモを止めようと…、な」
「葬儀は、明日だ」
「そんな…、あのメタルさんが?」
「それで、だ」
「秋雨君」
「…何ですか?」
「メタルとこの子の死因は同じ」
「ヤグモの毒だ」
「ルドネスの武器にも、ヤグモの毒が塗ってあったんだろう」
「…そうですか」
「生き返らせてくれ」
「…僕は神じゃありません」
「生き返らせるのは…」
「出来る」
「俺の考えが正しければ…、ね」
「!?」
「…ティルリア王殿」
「何じゃ?」
「他に、竜山とクラウン、水無月、ツバメ以外は席を外してくれ」
「どうして?」
「…理由がある」
「頼む」
「俺は残らせて貰う」
「城牙…、君も出るんだ」
「もし、生き返らせるのが可能なら…」
「俺も頼みたいことがある」
「…どうしても、か?」
「無論だ」
「…そうか」
「他の皆は出て行ってくれ」
「…?」
バタン
保健室から出て行くティルリア達
「皆に出て行って貰ったのは、いろんな理由があるが…」
「それよりも、メタルとモミジの治療が先だな」
「出来るんですか?そんな事が…」
「先刻も言っただろう」
「君の能力を持ってすれば、可能なはずだ」
「さて…」
シャ-
イトウがベットのカ-テンを開ける
「ここにメタルが居る」
「治療してくれ」
「…どうやって?」
「俺がサポ-トする」
「良いか?気を抜けば、2人の体は腐り果てるかも知れない」
「覚悟しろ」
「はい…!!」
2人の死体を並べるメイス
「コレで良いですか?」
「ああ、十分だ」
「メイスも出て行ってくれ」
「はい」
バタン
部屋から出て行くメイス
「秋雨君、手をかざして」
手をかざす秋雨
「能力、発動!!」
ズズズズズズ…
2人の体から、黒い煙が上がる
「ヤグモの毒…、だな」
「その調子だ」
ズルズルズル…
「!!」
2人の体から、黒い塊が出てくる
「秋雨君!能力を強めて!!」
「来る!!」
「な、何がですか!?」
「地獄だ!!」
ガァァァァァ!!
「ヴヴヴヴヴ…」
うめき声が黒い塊から聞こえてくる
「ガァァァァァ!!」
ガァン!!
黒い塊から、巨大な血色の爪が出てくる
「くぅ…!!」
「秋雨君!耐えるんだ!!」
「奴が出てくる!!」
「「奴」!?」
「闇だ!!」
「説明してる暇はない!!」
イトウが秋雨の背中に触れる
「今から、エネルギ-を流し込む!!」
「そのエネルギ-を、全て能力に使うんだ!!」
「は、はい!!」
シュゥゥウゥゥウゥウ…
秋雨の体から、蒸気のような物が溢れ出す
「ぐぅがぁああああ…!!」
「耐えるんだ!!」
ドゥン!!
秋雨の能力が、いっそう強くなる
「ぐぎぎぎっぎぎいぃ!!」
悲鳴を上げる闇
「ぐがあああああああ!!」
グォン!!
一気に黒い塊から出ようとする
「情けないぞ!耐えろ!!」
城牙が秋雨の背中に手を当てる
「秋雨君!頑張って!!」
水無月も手を当てる
「秋雨!あと少しだ!!」
竜山も手を当てる
「うぉおおおおおおおおお!!」
ググググググググ…
「ウガガッガアガア!!」
「あああああああああ!!」
バン!!
黒い塊が空中で破裂する
「はぁ…!はぁ…!!」
腰を着く秋雨
「苦労するね、本当…」
「ど、どうですか…?」
「成功だよ」
「ギリギリだったけどね」
「良かった…」
「説明しておくけど、あの出てきたのは「闇」だ」
「地獄から来た」
「「地獄」…?」
「…詳しいことは、知らない方が良いんだけど」
「…聞かないでおきます」
「それが良いね」
笑顔のイトウ
「…ん?」
「やっとか、遅いぞ」
モミジとメタルが起きる
「あれ?生きてる…?」
「モミジ姉さん!!」
ガタァン!!
「ツ、ツバメ!?」
モミジに飛びつくツバメ
「良かった…!良かった…!!」
「…心配かけたね、ツバメ」
「モミジ!!」
「水無月!」
「無事だった?」
「バカ!私を庇って…」
「アハハハ…、モミジが無事で何よりだよ」
「バカぁ…!!」
「…秋雨、頼みたいことがある」
城牙が秋雨に頭を下げる
「お前の能力で、魂を呼び戻すのが難しいのは、よく分かった」
「だが!後、1回、魂を呼び戻してくれないか!?」
「はい…」
バタン
倒れる秋雨
「…反動が来たね」
「メタル!退いてくれ」
「うわ!先刻まで、地獄にいたんだぞ!?俺!!」
「扱い酷くねぇか!?」
「初めてじゃないだろ」
「退け」
「酷いな…」
渋々、ベットから退くメタル
「竜山君、秋雨君をベットに」
「は、はい!!」
秋雨をベットに乗せる竜山
「しばらく、安静にさせるから、君達は出て行ってくれ」
「は、はい!!」
「ああ、モミジは残ってね」
「…?」
モミジ以外、全員が部屋から出て行く
「…どうだったかな?地獄は?」
「何だか…、解らないんだ」
「暗くなったと思ったら、次の瞬間、光が見えたから」
「…地獄には行かなかったみたいだな」
「良かったじゃねぇか」
爆笑するメタル
「メタル、久しぶりだね」
「その男みたいな言葉遣い、「やめろ」って金田に言われなかったか?」
「…そうだっけ?」
「まぁ、良い」
「イトウさん、他に用は?」
「…モミジはもう良いが、メタルには聞くことがある」
「…大抵、予想は出来てるさ」
「ハジャだろ?」
「…そうだ」
「良いぜ」
「話してやるよ」
「地獄の様子を」
読んでいただきありがとうございました