和睦結婚
北の城、教会
「…ここで、式を挙げるのか」
協会を眺める城牙
「はい、そうです」
「妹を、よろしくお願いします」
頭を下げるシャ-ク
「いや、即離婚だ」
「形だけだろうが」
「いえいえ!妹は、「ずっと一緒!!」と張り切っていますが」
「…あのジジィ!!」
教会裏
「秋雨!!」
「竜山!!」
「お前!心配かけやがって!!」
「アハハハ!悪い悪い」
2人は、久々の再会に笑い合っていた
「それで、GLは?」
「それがな…」
「この世界に入っても、目が覚めないんだ」
「熱は下がったんだけど…」
「そうだったのか…」
「まぁ、心配かけたな」
苦笑する秋雨
「あ!それと、もう1つ聞きたいんだけど…」
「何?」
「お前、モミジって人と結婚するのか?」
「いや、しないよ」
「妹のツバメって子は、「結婚する」って言ってたぞ」
「確かに、モミジには世話になったけど…」
「結婚はないよ」
「そうか…」
「水無月先輩は、それを聞いてすねてるぞ」
「え?水無月さんも来てるのか?」
「ああ、来てるよ」
「他に、ゼロのリ-ダ-の城牙とアメリカ支部のクラウンが来てる」
「凄いメンツだな…」
「アハハ…」
「あ!秋雨さん!竜山さん!!」
「何だ?クラウン」
「式が始まりますよ!!」
「急いでください!!」
「あ、ああ!!」
教会
「それは、式を始めます」
教会には、秋雨と竜山、意識のないGL、水無月、モミジ、シャ-ク、ティルリア、クラウン、そのほかに北と南の有権者達が居た
「水無月さんは?」
「あそこ」
秋雨とかなり距離を取って、水無月が座っている
「…嫌われたかな?」
「さぁ?どうだろ」
「あの人がモミジさんか」
「ああ、そうだ」
「その横で寝てるのがGLだな」
「良かった…、GLも無事だったか」
「ああ、勿論だ」
「柳舞さんは?」
「…居ない」
「僕と同じ所には落ちなかったんだろうか…?」
「そうか…」
「それでは!新郎新婦の入場です!!」
パチパチパチ!!
大きな拍手
「結婚式なんて、首狩さん以来だなぁ…」
「そう言えば、首狩さんの結婚式、行ったんだっけ?お前」
「勘違い結婚式だったけどな」
苦笑する秋雨
「新郎新婦の挨拶です」
司会が式を進行させる
「え-、この度は俺とツバメのために集まっていただき、ありがとうございます」
「ツバメは、俺が幸せにしますので、よろしくお願いします」
パチパチパチ!!
「私は、夫に幸せにして貰います!!」
パチパチパチ!!
「適応能力有るな、城牙さん」
「流石だな」
「それでは、新郎新婦に、誓いのキスを」
その一言に、城牙は険悪の表情になり、ツバメは喜びに満ちあふれる
「…」
中々、キスをしようとしない城牙
ざわつき出す教会
「どうするんだ?城牙の奴」
「…竜山」
「何だ?秋雨」
秋雨が後ろを指さす
「…あ」
後ろでエリムが「国のため」と言うカンペを掲げている
「はぁ…」
小さくため息をつく城牙
そうして、誓いのキスが行われた
「え-、次は…」
それから式は進行し、終了した
北の城、王室
「さぁ、離婚だ」
城牙が離婚届を持ってくる
「ツバメ!判を…」
辺りにツバメの姿はない
「…クラウン、ツバメは何処だ?」
「居ませんよ」
「「離婚なんて、絶対に嫌だ!!」って逃げました」
「あのガキィ~~!!」
バァン!!
部屋から全力で出て行く城牙
「…で、秋雨さん」
「何だ?クラウン」
「GLさんと柳舞さんは?」
「GLは意識がないままだし、柳舞さんは見てない」
「この世界に来てから、ずっとモミジと一緒だったから…」
「そうですか」
「それでは、現実世界に帰りましょう」
「え?柳舞さんは?」
「GLも意識を取り戻してないし…」
「柳舞さんは、別の捜索隊を編成します」
「GLさんは、エネルギ-が急に回復したため、弱っているだけです」
「いつもの状況に戻れば、心配はありません」
「なら、良いけど…」
「良いですか?今はヤグモという男が、いつ襲ってくるか解りません」
「それに、数々の人々が命を狙われています」
「そうなのか…」
「ですから、ある程度の人を現実世界に連れて行きます」
「大人数の移動ですから、気を抜かないでください」
「…解った」
「これから、イトウさんの研究所に移動します」
「ティルリア国王の船を使いますから、大した時間はかかりません」
飛行場
「今から、移動します」
「イトウさんの研究所に着いたら、速やかに「扉」に向かってください」
「了解!!」
浮遊船
「不思議な作りですね」
「そうじゃろう!そうじゃろう!!」
得意げなティルリア
「…秋雨、来い」
「何?モミジ」
「話がある」
「?」
秋雨がモミジに着いていく
浮遊船、貨物室
「あの水無月って言う子、お前が好きなのか?」
「な、何を言い出すんだ!?」
「いや、私には解る」
「ツバメに聞いたんだ」
「何を?」
「ツバメはイタズラ好きでね」
「水無月をからかったんだろう」
「恐らく「モミジ姉さんと秋雨が結婚する」というネタでね」
「あの子が?」
「そんな子なんだ」
「確かに、北の王子と結婚を裂けるために替え玉にしようとしたが…」
苦笑するモミジ
「良いか?私が誤解を解く」
「秋雨は、水無月に告白するんだ」
「え!?」
「そうすれば、完全に誤解は解けるだろう?」
「それは、そうかも知れないけど…」
「でも…」
秋雨の脳裏にGLが浮かぶ
「何を悩んでいるんだ?」
「…何でもない」
「誤解を解くのは、現実世界に行ってからの方が良い」
「ややこしい問題をここで起こされたくないからね」
「…解った」
「そうか」
「では、先に行っててくれないか?」
「モミジは?」
「…少し、考え事」
「?」
バタン
貨物室から出て行く秋雨
「…私はバカだな」
「本当の気持ちも伝えられないなんて」
「それどころか…、応援さえしているのか」
「本当に…、バカだ」
モミジの頬には涙が伝っていた
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