任務責任
「…鬼怒さん」
「どうした?任務は終わったのか?」
「確か、任務で死んだ奴は居ないって、言ってましたよね」
「ああ、言ったよ」
「…竜山が撃たれました」
「GLが治療しただろう」
「どうして、それを?」
「普通、任務には治療員を1人以上連れて行くんだ」
「GLは治療術を使ってました」
「傷は治っただろう」
「しかし、竜山は死ぬところでした」
「死ななくて良かったじゃないか」
「…死人が出ない、と言うのは嘘ですか?」
「嘘じゃない」
「致命傷でも、すぐ治療すれば治る」
「…皆は何で、こんな危険な学校に居続けるんですか!?」
「お前は、今まで、能力を発動してなかったな」
「…はい」
「化け物、怪物、人の子ではない…、こんな事、お前言われたか?」
「いえ…」
「このWG学園は…、迫害されることが無い」
「皆、自分と同じ能力者」
「他の何処よりも安心できる所なんだ」
「ここに残っている奴達の理由は知らない」
「だが、能力をコントロ-ルするため、迫害されないため、大事な人を守るため」
「そんな奴達が、ここには居るんだ」
「だから、ここに居るため、闘う」
「それが、信念であって概念だ」
「…」
「GLを君に付けたのは失敗だったな」
「彼女は今日限り、任務から退いて貰う」
「彼女は何もしてません!!」
「いや、理由があるんだ」
「…何ですか?」
「治療員が足りない」
「彼女は、吸収するエネルギ-によって、基礎以外の能力が異なる」
「僕のエネルギ-は治療系だったんですか?」
「解らない」
「能力について何て、解らないことが、ほとんどなんだ」
「心配しなくても、寮は君の部屋だよ」
「いや…、仮にも女性なんですから…、別の部屋に」
「エネルギ-摂取はどうする?」
「…すいませんでした」
「次回の任務からは、GLは滅多に使わないことにする」
「治療員から誰か連れて行くと良い」
「解りました」
「あ、鬼怒さん!もう1つ、聞いて良いですか?」
「何だ?」
「天鹿和先輩って…」
「性格が変わっただろう?」
「はい、アレは何ですか?」
「表と裏だ」
「?」
「彼は本来、風紀員向けの能力者でね」
「…はい」
「精神崩壊の能力だ」
「しかし、彼はここに来たとき、「裏が出る!!」と言い出したんだ」
「二重人格だったんですか?」
「不安定な…ね」
「それで、精神崩壊の能力を自分に使った…と」
「それで完全に別れた」
「表と裏」
「表は真面目で優しいが、裏は…気をつけた方が良い」
「どういう事ですか?」
「とにかく、強欲なんだ…」
「怒りやすいし…」
「暴れん坊でね」
「天鹿和もコントロ-ルまでに、時間はかかったみたいだ」
「そうですか」
「さて、そろそろ竜山の治療も終わるだろう」
「寮に戻って休むと良い」
「…ありがとうございました」
「…忘れるな」
「俺達は能力者と言うことを」
「…はい」
…これがWG学園か
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