動き出す蜘蛛
亜門の家にクラウン達が着いてから、1日が経った
「それでは、ありがとうございました」
「もう、行くのかい?」
「はい、任務ですから」
亜門に別れを告げるクラウン
「お世話になりました」
「世話になったな」
「ばいば-い!!」
「また、遊びに来な!」
北の山中
「城牙…」
「何だ?竜山」
「その顔、どうしたんだ?」
「…昨日、もの凄いビンタを食らってな」
「跡が消えんのだ」
「へぇ…、大変だな」
「全くだ」
水無月を見る城牙
「ク、クラウン君!!」
「何ですか?水無月さん」
「次は、何処を目指すの?」
「はい、東です」
「東は治安も良く、気候も安定してます」
「安全な場所なんだな」
「はい、この国で、1番安全です」
「できれば、東で秋雨さん達を見つけたいですね」
「どうしてだ?」
「もし、東に居なければ…」
「南に行くことになりますから」
「南がどうかしたのか?」
「…治安は最悪です」
「WGカンパニ-ですら、迂闊に手が出せません」
「そうなのか…」
「では、東に行きましょう!」
「おお!!」
WG学園、校長室
「校長!単独捜査中のメタルさんが、ヤグモの一味を発見したそうです!!」
教頭のスカルが校長室に走り込んで来る
「本当か!?」
「現在、交戦中!!」
「場所は…」
「何処だ!?」
「…廃校です!!」
「何だと!?」
「出来る限り、「扉」に近づけないように戦っているようですが…」
「いつ、増援が来るか解りません!!」
「だが!「扉」の周りは、能力記石で…」
「いえ!結界は崩壊!!」
「!?」
「ヤグモの一味が、「月神の紋章」を使った模様!!」
「クソ…!!」
「どうしますか!?」
「俺が行く!!」
「スカル!お前も来い!!」
「了解!!」
廃校
「鋼斬・蝉時雨!!」
ガッガガッガガガ!!
「岩壁刀!!」
ガァン!!
メタルの技を防ぐヤグモの一味
「効かないか…!!」
「無論なり!!」
「拙者には、この程度の技は効かぬ!!」
「輪禍!お前は、獅師の手下だろ!!」
「どうして、ヤグモに着いてる!?」
「獅子殿は、ハジャ殿の手下!!」
「ハジャ殿も、獅師殿も死になされた!!」
「よって、ハジャ殿の手下であるヤグモ殿に着くのは、道理!!」
「お前!それでも武士か!?」
「無論なり!我は己が信条を貫くまで!!」
「お前の信条は!世界を崩壊させることか!?」
「否!主君に尽くす事なり!!」
「主君の目的が何であろうとも!!」
「この腐れ武士が…!!」
「今の言動!聞き捨てならぬ!!」
ガァン!ガァン!!
メタルと輪禍の刀が、激しくぶつかり合う
「鋼斬・閃光!!」
「破岩濁碗!!」
ゴォン!!
一進一退の勝負の中、2人の戦闘の中に、男が現れる
「八ツ手ノ大蜘蛛」
ギィン!!
メタルの刀を、男の技が封じる
「ヤグモ…!!」
「久しぶりだな」
「ゴミ野郎」
「生きていたのか!!」
「当たり前だ」
「あの時、お前はオレを殺したと思ったのか?」
「クソ野郎がぁぁぁぁぁ!!」
ガァン!!
ヤグモの足を弾くメタル
「輪禍、お前は戦いに熱中しすぎるのが、悪い癖だ」
「行くぞ」
「御意!!」
「待て!!」
「行かせないよ-!!」
「!!」
ドドドドド!!
メタルの腹部に、数十本のナイフが突き刺さる
「がぁああああああ!!」
「お腹-、ドス-ド-ス-」
「ナイフでグッサリ!!」
「ルドネス…!!」
「お久-!!」
「お前まで生きていたのか…!!」
「私だけじゃないよ?」
「皆、生きてる」
「…!!」
「ルドネス!ゴミは放っておけ」
「行くぞ」
扉に向かうヤグモ
「行かせるかぁああああ!!」
ヤグモに突っ込むメタル
「しつこい男は嫌われるぞ」
「八ツ手ノ魔毒」
ドスドスドス!!
ヤグモの蜘蛛の足が、メタルに突き刺さる
「魔毒に苦しめ」
「そして、死ね」
「ま、待て…」
「お前では、俺に勝てない」
「昔と違うんだよ」
「クソ…」
バタン
力尽きるメタル
「無様でござるな!!」
「その程度か!!」
「輪禍、ゴミは放っておけと言っただろう」
「行くぞ」
「御意」
「レッツ、ゴ-!!」
「扉」に入って行くヤグモ達
「向こうに着き次第、カンパニ-に向かう」
「予定通りなら、占拠しているはずだからな」
異世界、北の山中
「クラウン、この山は…」
「何ですか?」
「大きいな」
「いつまで経っても、終わりが見えない」
「もし、日が落ちるまでに越せなければ、野宿をします」
「急いでください」
「あの…、悪いんだけど」
「何ですか?水無月さん」
「ちょっと…、ね」
「?」
首をかしげるクラウン
「あ、なるほど」
何かに納得する竜山
「どうしたんだ?水無月」
「何でもないから…」
そそくさと草の茂みに入って行く水無月
「何なんだ?」
「さぁ…?」
「2人とも!あんまり言ったらダメだぞ」
「どうしてだ?」
「生理現象だから」
「…そうか」
「なるほど」
「キャァアアアアアア!!」
草の茂みから、水無月の悲鳴が聞こえる
「!?」
「何だ!?」
「水無月先輩!!」
草の茂みに飛び込む3人
「…失礼な奴だ」
「「ここは危険だ」と教えただけだぞ」
立派な身なりの騎士が、腰を抜かした水無月の前に立っている
「熊が出るからな」
「貴様達だけでは、死ぬのがオチだ」
「誰だ?貴様は」
「私は、国王護衛軍のエリム」
「軍隊とはぐれてしまったところだ」
「…信用ならんな」
「とりあえず、水無月から離れろ」
「む、失敬」
ゆっくり、水無月から離れるエリム
「で、お前達こそ、何を?」
「東に向かう途中だ」
「お前には関係ない」
ビッ!!
城牙の首に、エリムの槍が向けられる
「何のつもりだ?」
「戦うのなら、容赦はしないぞ」
「貴様…!南の密偵か!!」
「は?」
「東側より南に回り込み、母国に情報を持ち帰るつもりだろう!!」
「…何を言ってるんだ?コイツは」
「クラウン、説明しろ」
「…エリムさんと言いましたか」
「どういう事か、説明していただけますか?」
「貴様達!シラを切るつもりか!!」
「…こういうタイプは、話しても無駄だ」
「気絶させた方が早い」
「それは、ちょっと…」
「調子に乗るな!喉元に槍を突きつけられた貴様に、何が…」
ドゴッ!!
エリムの腹部に、城牙の拳がめり込む
「むぐぅ…!」
「寝てろ」
ドサッ
倒れ込むエリム
「竜山!運べ」
「え-!?俺が!?」
「お前以外に、誰が居る?」
「…解ったよ」
エリムを抱える竜山
「でも、コイツをどうするんだ?」
「まず、コイツを人質に北の王国に入る」
「人質に?」
「そんな事しなくても、入れるんじゃ…」
「それに、目的は東だろ?」
「いえ、城牙さんの言ってることが正しいですね」
「先刻のエリムさんの言動からして、南と北は、すでに戦争状態なのでしょう」
「国王を説得し、戦争を止めていただかなければ…」
「どうして、そこまでするんだ?」
「と言うか、何でこんな状態に?」
「まず、戦争が起きると、秋雨さん達や柳舞さんの身に危険が及ぶし、僕達も動きにくくなります」
「それに、戦争の原因は、恐らく五神三聖でしょう」
「何で?」
「亜門さんが言ってた様に、カンパニ-は中立的な立場」
「戦争などの仲介などもしてました」
「よって、そのカンパニ-が五神三聖によって制圧されて機能しなくなり、国と国との状況が悪化したわけです」
「…なるほど」
「って、事は、五神三聖の目的は…」
「断定は出来ませんが、戦争を起こす事でしょう」
「何より、国王を止めなければ」
「…予定変更だな」
「東ではなく、北の王国が目的地になるわけだ」
「そうなりますね」
「それじゃ!さっさと行こうぜ!!」
歩き出す竜山達
「ちょ、ちょっと!!」
「どうしたんですか?水無月さん」
「…起こして」
「はい?」
「腰、抜けちゃった」
「…クラウン」
「何ですか?城牙さん」
「背負え」
「え?僕がですか?」
「そうだ」
「…ビンタは来ませんよ」
「…黙れ」
その後、クラウンは水無月を背負うことになった
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