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無能力者の末路

「俺は学園からの推薦を受けて、学園に行った」

「まぁ、試験の結果は言わなくても良いだろう」


「…落ちたの?」


「落ちたさ」

「だが、俺はそれで良かった」


「どうして?」


「元々、能力だの属性だの解らなかったからな」

「普通の生活を送れるのなら、学園なんて、どうでも良かった」


「…」


「俺には妹が居た」

「名前は榮實エミ

「両親は6年前に他界」

「いつも、2人一緒だった」

「妹を残して、学園に行くつもりも無かったしな」


「…優しいんだね」


「…「優しい」か」

「だから…、榮實エミは」


3年前、城牙の家


「お兄ちゃん!行ってきま-す!!」


「ああ、気をつけろよ」


城牙は、学園には入れず、「能力者」と言う理由だけで、普通の学校にも行けなかった


「さて、バイトに行くか…」



デパ-ト


「城牙!こっちも頼む!!」


「はい」


城牙は、先輩に頼まれ、荷物を運んでいた


「ふぅ…」

「コレで終わりか」


「君、城牙君かな?」


「そうですけど…?」


荷物の上に、ボロボロの服を着た男が立っている


「能力者なんだって?」

「ウチに来ない?」

「能力者組織なんだけど…」


「いえ、今はバイト中ですし…」

「それと、荷物の上に乗らないでください」


「あ、ゴメンゴメン」

「で、どうするって?」


「いや、入りませんよ」

「断らせて貰います」


「良いの?学園に復讐したくない?」

「君も落ちたんでしょ?」


「そうですけど…」

「別に困ってませんし」


「ありゃ-!そう?」

「残念」


額を叩く男


「出口、何処かな?」


「俺の後ろです」


「どもども!」


出て行く男



「あ、言い忘れてた」


男が、城牙の肩に手を置く


「後悔するぞ」

「クソガキ」


「…?」


出て行く男


(何なんだ?一体…)



城牙の家


「ただいま」

「榮實!晩ご飯は…」


荒らされた部屋の中

スプレ-で「後悔しろ」と部屋中に書き殴られている


「…っ!!」


部屋の中を走り回り、榮實の姿を捜す城牙


「榮實!榮實!!」


しかし、榮實の姿はなく、有ったのはメモ用紙のみ


「コレは…」


メモ用紙には「妹は山に居る」と書かれていた


「榮實…!!」




「…」


山には、大勢の不良

全員が城牙を睨んでいる


「お!やっと来たね」


城牙がデパ-トで有った男がドラム缶の上に座っている


「榮實は何処だ!?」


「榮實ちゃんは、後ろの小屋に居る」


「榮實…!!」


小屋に向かって走り出そうとする城牙の前に、不良が立ちはだかる


「お前が、俺達の「魔無死」に入れば、榮實ちゃんは返してやる」


「…!!」


「どうする?」


「…解った」

「入ってやる」


「よし!良いだろう」


小屋から、榮實が運ばれてくる


「榮實…!!」


「じゃ、新しい仲間を歓迎しようぜ!!」


爆笑する男



「…?」


城牙が榮實の異変に気付く


「榮實?」


「お…兄ちゃん…」


地面に立てない榮實


「どうした?榮實…」


「あ!言い忘れてたけど…」

「榮實ちゃんの足の筋肉は焼き切ったから」

「能力で、痛みは感じないようにしてるがな」


「…!!」


「榮實ちゃんの足を治して欲しければ、俺達に尽くして貰うぜ?」


「どうして、ここまで…!!」


「ムカつくから」


「…?」


「俺達は、社会から切り離された能力者」

「なのに、お前は幸せに暮らしている」

「だから、だ」


「そんな理由で…!!」


「理由なんて、どうでも良いだろ?」

「榮實ちゃんを治して欲しければ、俺達に尽くすんだな!!」





それから、榮實は病院に入院した

城牙はバイトを辞め、魔無死の奴隷同様に働いた




「さて、今日は学園に関わってる要人を殺してきてくれ」

「解ったな?」


「…」


「返事は?」

「お前の榮實ちゃんがどうなっても良いのか?」

「足を治すにも、金が無いしなぁ!!」


「…行ってくる」



路地裏


「あ-ら、よっと」


酒に酔った要人は、ふらつきながら歩いている


「…許せ」


「へぇ?」


ザシュッ


要人の首を斬り、荷物を漁る城牙


「…金を貰っていく」

「榮實の入院代が必要なんだ」


そのまま、城牙は立ち去っていった



病院


「榮實、お見舞いに来たぞ」


「お兄ちゃん…」


「具合はどうだ?」


「…うん、良いよ」


「メシは、ちゃんと食べてるか?」


「…お兄ちゃんこそ、食べてる?」


「あ、ああ、食べてるよ」


「…そっか」


「さて、次の仕事があるから、俺はもう行くぞ」


「うん、ありがと」


「じゃぁな」


病室から出て行く城牙


「…嘘つき」

「私の入院代で、何も食べてないくせに…」

「私の…せいで…」




「任務、ご苦労様」

「さて、次の任務だが…」

「学園の情報を握ってる奴の暗殺だな」


「…解った」

「その前に、病院に行ってくる」


「榮實ちゃんの見舞いか?」

「精が出るな!!」


爆笑する男



病院


「榮實、今日は果物を…」

「榮實?」


病室に榮實の姿はない


「じ、城牙さんですか!?」


「そうですけど…?」


病室に看護婦が走り込んでくる


「え、榮實さんが…」


「え…?」



病院の裏庭には、ビニ-ルシ-トに包まれた死体


「榮實…?」


「榮實さん、ここ数週間、悩んでいたみたいで…」

「食事もロクに食べずに…」


顔を押さえる看護婦


「ベランダから…」

「飛び降りて…」


「そんな…」


呆然とする城牙


「君、城牙君かな?」

「警察の者だが…」


警察の男が、手紙らしき者を渡して来る


「榮實さんの部屋から見つかった」

「君宛だ」


手紙には「お兄ちゃん、苦労させてゴメンね」と書かれていた


「…」


歩き出す城牙


「何処に行くのかね?」


「…野暮用です」

「すぐに戻りますから」





ドラム缶の上に座り、酒を飲んでいる男


「早いな!暗殺は…」


ゴッ


ガァアアアアアン!!


その男を殴り飛ばす城牙


「…死ね」


「き、貴様!榮實ちゃんが、どうなっても…」


「榮實は死んだ」

「お前達のせいでなぁ!!」



その後、魔無死を1人で壊滅させる程、暴れた城牙

城牙の服には、服の色を赤に染める程の返り血が付いていた



病院


「…」


無言で病院に帰り着いた城牙


ガァン!!


ゴミ箱に、返り血の着いた服を投げ込む


「クソ…!!」


手を目に当て、イスに座り込む


「榮實…!俺が…、無力だから…!!」

「榮實…!!」









現在、風呂場


「…コレが、俺の過去だ」

「長たらしく話して、すまなかったな」


「そんな事が…」


「榮實の死体は、葬式にも出せなかった…」

「金が無かったんだ」


ザァ-ン…


泡を流す城牙


「その後、ヴァトラと知り合って、ゼロを作った」

「凩が榮實の死体の腐敗を止めてくれたしな」

「凩も、流石に死体を治すのは無理だそうだ…」


「榮實ちゃんは…、城牙さんの事…」


「…どうだろうな?」

「兄のせいで命を捨てる事になったんだ」

「…恨んでいたのかもな」


「そんな事、無いよ!!」

「絶対!無いよ!!」


「…今となっては、単なる昔話だ」

「榮實は生き返らない」


「…ごめんなさい」


「構わん」

「俺も、少し気が楽になった」

「礼を言うのは、俺の方かも知れないな」


「榮實さん、生き返るのかな?」


「…お前も、無茶を言うな」

「死人は生き返らない」


「秋雨君の能力なら…、もしかしたら」


「そのガキの能力とは何だ?」


「確か、「細胞の強制変換」だったと思う」

「何でもかんでも変換できるから…」

「もしかしたら…」


「不可能だな」

「いくら、能力でも…」



脱衣場


「不可能じゃないですね」

「秋雨さんの能力ならば…」


呟くクラウン


「死人さえ、蘇らせる能力かい?」

「命は最も尊く、絶対な物」

「もし、その命を呼び戻せるのなら…」

「神すら、超えかねないよ」


「…そうかもしれません」

「秋雨さんの能力は、僕達の常識を越えてますから…」



風呂場


「話してくれて、ありがとう」

「…何だか、城牙さんの気持ちが分かったような気がする」


「…そうか」


立ち上がる城牙


「よっと」


風呂に入る城牙


「…!!」


「2人は、少しきついな」

「まぁ、入れるのに変わりは無い」


「わ、私、出るから!!」


風呂場から急いで出る水無月


「見えてるぞ」


「~~~~!!」


パァ--ン!!


水無月のビンタの音が、亜門の家に響き渡っていた

読んでいただきありがとうございました

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