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風呂騒動

竜山達は、亜門の家で食事を終わらせていた


「ごちそうさまでした」


「口に合ったかい?」


「はい!おいしかったですよ」


「そりゃ、良かった」

「さて、皿でも洗うかね」


「あ!手伝いますよ!!」


「おお、悪いね」


皿洗いをする亜門と水無月




「クラウン、聞きたい事が有る」


「何ですか?城牙さん」


「次は何処を目指すんだ?」


「カンパニ-に行きたい所ですが…」

「目的は秋雨さん達の捜索です」


「良いのか?」


「…私用で、人命を見捨てるわけにはいきません」


「無理をするな」

「そんな状態では、戦闘にも支障が出る」


「…はい、解ってます」

「しかし、学園に帰れば、ロックさんが手を打ってくれるはずですから」


「…そうか」






WG学園、日本支部


校長室



「…ヴァトラ、城牙も行ったし、聞いても良いか?」


「何を、だ?」


「アメリカでの事件だ」

「お前も関与してるんだろう?」


「何の事件だ?」


「アメリカで、死体が見つかった」

「恐ろしく老朽化した…、な」


「…その能力は、凩の物だ」

「何故、俺に聞く?」


「凩は「何も知らない」と、言っていた」

「確かに、アイツの記憶の中に、その事件の情報は無い」


「…」


「…お前、ヤグモから「月神の紋章」を取り返しに来ただけじゃないだろう?」

「目的が他にもあるはずだ」


「…「月神の紋章」を取り返しに来たのは本当だ」

「そもそも、紋章が取られたのには、理由がある」


「だろうな」

「五神三聖も、そうそう簡単に取られたりはしないはずだ」


「…月神を復活させようとする一派が、五神三聖の中に居たんだ」

「その一派によって、紋章は奪われた」


「…そうだったのか」


「俺に与えられた任務は、紋章の奪還と異世界に逃げた一派の討伐」

「その討伐のために、凩の能力を借りただけだ」

「俺自身で殺すのは、不可能だったからな」


「…「借りた」?」


「俺の能力でな」

「相手の能力を、コピ-できる」

「しかし、使うのには、俺の生命エネルギ-を激しく放出する」

「膨大な、エネルギ-反応が有っただろう?」


「…確かに有ったが」

「お前の眼は聴覚の特化だろう」

「眼と違う能力を持ってるのか?」


「…五神三聖の教えに有る」

「「異とする能力を持つ者、神より愛されし者なり」…だ」


「…つまり、お前は」


「三賢者になる予定だ」

「ユウリ様の後を継いでな」


「…アメリカの事件で死んだ男が言っていたな」

「「神よ、我を導きたまえ、五神と三賢者の御心のままに…」」


「「神」は月神」

「と、言うことは…」


「…そう言うことになるな」


「…面倒くさいことになったな」

「月神の復活…、か」


「それが、ヤグモの狙いかも知れない」

「月神の復活は、地獄への開門を意味する」

「地獄には…」


「ハジャが居る、か」


「…一刻も早く、ヤグモを見つけなければ」


「そうだな」



異世界、亜門の家


「城牙、竜山!お風呂を沸かせてくれるかい?」

「薪も割って」


「…「薪」?」


「裏口にあるから!」


「…むぅ」


「はい!」



裏口


「城牙、割るぞ」


「「薪」か」


「うん、「薪」」


「何だ?それは」


「知らないのか?」


「風呂は、ウチの能力者が沸かせていたからな」

「「薪」なぞ、使わん」


「へぇ…、能力って、便利だな」

「まぁ、良いや」


置いてある薪を取る竜山


「コレをこうやって…」


日本刀を振りかざす竜山


パァン!!


「割る」


「なるほど」

「こう、だな」


薪を一気に放り投げる城牙


スパパパパン!!


ガラガラガラ!!


大量の薪が出来上がる


「凄いな!」


「どうと言う事はない」


「で、コレをこうして…」


薪を炎の中に放り込む竜山


「火は…、能力で良いか」


ボン!!


「お、着いた」


パチパチ…


燃える火


「ここに息を吹き込む」


「それは、俺がやろう」

「簡単だ」


フゥ-…


息を吹き込む城牙





「…そろそろ、安定してきたな」


火を見つめる竜山


「解っている」

「竜山、お前は戻っていろ」

「後は、俺がしよう」


「いや、俺も手伝…」


竜山の声を遮るように、亜門の声が響く


「風呂-!入るよ-!!」

「人数が人数で薪も足りないから、誰かと一緒に入れ-」


ダッ!!


恐ろしい速さで走り去る竜山


「…何なんだ?」


呆然とする城牙



中から、声が聞こえてくる


「水無月先輩!一緒に入りませんか!?」


ドッゴン!!


鈍い音と共に、竜山の声が消える


「…」


無言で火に息を吹き入れる城牙



「クラウン-!さっさと準備しな!!」


また、家の中から声が聞こえる


「「準備」って、何ですか?」


「風呂だよ!!」

「入らないのかい?」


「あ、それじゃ失礼します」


ガララララ


風呂場の扉が開く音


「ふぅ…」


ザ-ン…


風呂の湯が、クラウンが入った事で溢れる


(クラウンが入ったか…)

(後で、この作業も変わって貰わんとな)


息を吹き入れながら、考える城牙



ガラララ


「うぃ-!お待たせ!!」


「あ、亜門さん!?」

「何してるんですか!?」


「「何」って…、入浴だけど」


「いや!そう言う問題じゃなくて!!」


「昔は、よく一緒に入ったじゃないか!!」

「気にしないで、さ!!」


「昔の話です!!」


「あれぇ-?そう言うお年頃かなぁ?」


「ち、違います!!」


「ミナモちゃんに言っちゃおうかな?」

「「クラウンが、小さい頃、ミナモの事を…」」


「あ-!あ-!!」


大きな声でかき消すクラウン


「アハッハハ!昔から、変わらないね!!」


「やめてください!!」



30分後…


「はぁ…、はぁ…」


「仕方ないね、コレで勘弁してやるよ」


ガララララ


風呂場から出て行く亜門


「僕も出なければ…」


ガラララ


風呂から出て行くクラウン


(苦労しているな、アイツも…)

(コレは、変わって貰うのは無理か)



ガララララ


風呂場に誰か、入ってくる


「痛てて…」

「水無月先輩、本気で突いてくるんだもんな…」


(何だ、竜山か)


「ふぃ-…」

「良い湯だな」


「竜山、風呂から出たら、湯沸かしを変わってくれ」


「あ!城牙、言い忘れてたけど…」


「何だ?」


「風呂は、もう沸かさなくて良いぞ」

「亜門さんが言ってた」


「それを早く言え」


「いや-!水無月先輩を誘ってたから、忘れてた!!」


「…」


フゥ-!!


思いっきり、息を吹き入れる城牙


「熱ちゃあぁあああああああ!!」


風呂場には、竜山の叫び声が響き渡っていた…




亜門の家


「むぅ、流石に冷えるな…」


肩に積もった雪を払う城牙


「あ!城牙!!」


「…亜門か」

「何だ?」


「風呂、あと一回しか入れないから」

「急いでね」


「薪を入れれば良いだろう」


「いや、コレからの分を考えると、入れれないんだ」

「我慢してくれる?」


「…そうか」

「解った」


「竜山も、もう少しで出るだろうから」

「入りな」


「ああ、そうだな」



風呂場


「…」


風呂に入る城牙


(良い湯だ…)

(しかし、何かを忘れているような…)


ガララララ


風呂場に、水無月が入ってくる


「ああ、お前は入ってなかったな」

「変わろうか?」


「…!!」


プルプルと震える水無月


「どうした?寒いのか?」

「なら、早く入ると良い」


「い…、嫌ぁあああああ!!」



パァ-ン!!


風呂場にビンタの音が鳴り響く




脱衣場


脱衣場では、亜門とクラウンが聞き耳を立てている


「…亜門さん、コレ、狙ってたでしょう?」


「あれ?解る?」


「…アナタの考えそうな事ですよ」

「アナタのせいで、竜山さんが泣いてますよ」


「アハッハ!見物だね」



風呂場


「…」


無言で頭を洗う城牙

その顔には、真っ赤に水無月の手形が着いていた


「あ、あの…」

「先刻は、ごめんなさい…」

「びっくりしちゃって…」


「…構わん」

「俺が、お前を襲うとでも思ったか?」


「…はい」


「フン、俺にそんな趣味はない」

「毀棄梨や暴祖と同じにするな」


「…ごめんなさい」


「…まぁ、お前が捜す秋雨と言ったか」

「アイツはどうかは知らないがな」


「あ、秋雨君は、そんな趣味は…」

「…無い、と思う」


「どうだかな」


小さく笑う城牙


「…1つ、聞きたいんだけど」


「何だ?」


「柳舞さんって、どんな人?」


「良い奴だ」

「責任感も、信頼もある」

「ゼロの次期リ-ダ-だな」


「…今、一緒に旅してるけど」

「ゼロと学園って、また、対立するのかな?」


「…そうだろうな」

「所詮、ゼロは犯罪組織」

「対立は必然的だろう」


「…城牙さんは、砂漠でも助けてくれたし、悪い人じゃないよね?」

「対立は…、したくない」


「…そうは行かない」

「秋雨達と柳舞を見つければ、お前達との関係も無くなるからな」


「でも!犯罪組織って言っても、皆を助けるための物で…」


「…甘い事ばかり、言ってはならない」

「苦しい事も、世の中にはある」


「…解らないよ」

「どうして、仲間にならないの?」

「どうして…」


「…ゼロは、な」

「学園には入れなかった能力者の集まりだ」


「!!」


「いや、ゼロだけではない」

「能力者犯罪組織のほとんどはそうだ」


「そうだったんだ…」


「学園には入れなかった能力者が、社会に適合するのは難しい」

「…俺も、学園には入れなかった」


「…」


「少し、昔話をさせてくれ」

「古くさい話だ」


読んでいただきありがとうございました

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