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宿命

WG学園、北校舎前


「…蕗東、何故、こんな事をした?」

「何故、学園に刃向かった?」


「簡単な話だ!!」

「力が欲しいんだよ!!」


「「力」だと?」


「「扉」を見つけて、向こう側に行きたいって事だ!!」


「…違うな」


「あ?」


「「扉」を見つけたいなら、会長職に就いたまま、探れば良かったんじゃないのか?」

「何故、学園を飛び出した?」


「…生きてたからだよ!!」


「?」


「柳舞が!昔、殺した男が生きてたからだよ!!」


「…それだけか?」


「そうだ!!」

「俺の失態を残すわけにはいかないからなぁ!!」


爆笑する蕗東


「記録室は占拠した!!」

「もう少しで「扉」の場所も解る!!」

「そうすれば、学園にも用なしだ!!」


「…大人しく、撤退していくのか?」


「まさか!爆破するんだよ!!」

「そして、「扉」は、俺だけの物になる!!」

「最高の証拠隠滅ってワケだ!!」


「…だから、貴様は小物なんだよ」


白刃之が片手を広げる


「爆水気炎!!」


バァン!!


蕗東の顔面が爆発する


「…舞桜は、俺が捜す」

「お前はそこで寝てろ」

「一生…な」


「寝るのは、お前だ!!」


ゴッ!!


蕗東の蹴りが白刃之の頭部に直撃する


「…ッ!!」


「アハハッハ!俺にその程度の能力が効くとでも!?」

「甘いんだよ!!」


「何故…、効かない!?」


「俺は火属性!!」

「お前は水だろ!?」


「…それが?」


「単純な話だ!!」

「お前の属性は確かに水だが、攻撃時には火と化す!!」


「…?」


「その火を俺が吸収した!!」

「それだけだ!!」


「…何だと?」


「つまり!お前が俺に攻撃すればするほど、俺のエネルギ-は回復する!!」

「よって!お前に勝ち目はない!!」

「猿VS神みたいな物だ!!」


「…猿?」

「それは、お前だ」


ガァァァァァァァァン!!


「…え?」


蕗東の背後が、巨大な爆炎に包まれる


「お前が俺の能力を吸収できるのは、お前の方が俺の攻撃より精度が高いからだ」

「ならば、俺が精度を上げればいい」


「…馬鹿な!!」

「お前は鬼怒との戦いでエネルギ-を消費したはず!!」

「ここまでの力が…」


「お前のおかげだ」

「蕗東」


「あ?」


爆発し、影のみが残った文科の死体を指さす白刃之


「俺の能力は、エネルギ-の量より、媒体となる水素の量に関係してくる」

「お前の手下が爆発し、そいつの人体の60%の水が水蒸気と化した」


「…まさか」


「つまり、ここは俺に対してうってつけの場所だ」

「勝ち目がないのは、猿なのは、お前だ」


「…どうかな?」


「何がだ?」


「お前、どうして俺から攻撃を外した?」

「今の一撃で、殺せたはずだ」


「…チャンスを与えただけだ」

「今なら見逃してやる」


「…アハハハッッハッハハ!!」

「とんだ甘ちゃんだなぁ!お前は!!」


「…蕗東」


「俺は!全てを捨てたんだ!!」

「力のために!!」


「…そんなに、力が大事か?」


「無論だ!!」

「力!力!!力!!!力!!!!力!!!!!」


叫ぶ蕗東


「この世は全て力だ!!」

「金も!権力も!名声も!地位も!部下も!全てが力の元に集まる!!」

「俺は力が欲しい!!」

「そのために、学園を捨てた!!」

「仲間を捨てた!!」

「未来を捨てた!!」


「…お前は」


「これだけの代償を払って!何も無いなんて言わせねぇぞ!!」


「恐れてるだけだ」


「…あ?」


「お前は、恐れてるんだよ」


「何を!?」


「自分が弱いことを、恐れてるだけだ」


「…!!」


「何が、そんなに恐ろしい?」

「何が、お前を突き動かす?」


「お前は!アレを見て、そんな事が言えるのか!?」


「…「アレ」?」


「校長達だよ!!」

「奴達は人間じゃない!!」


「…確かに、強さは人並みじゃないな」


「違う!!」

「コレを見ろ!!」


蕗東が、懐から写真を取り出す


「俺はコレを見て、運命を決めた!!」


「…コレは」


その写真には、校長からメタルまで、全ての教員の写真が写っていた


「アメリカ支部…、ブラジル支部…、ロシア支部…」

「全ての支部の写真が有るな」

「本部は無いが」


「その写真の撮影日!!」


「…1900年11月30日」

「110年前!?」


「そうだ!校長達は姿形が変わってない!!」

「化け物なんだよ!!」


「…それで、学園を裏切ったのか?」

「この「化け物」が、自分を取って喰うかも知れないから?」


「…そうだ!!」


「この写真は偽造かも知れないんだぞ?」

「そんな小確率のために…」


「違う!!」

「俺は、この写真を渡されてから、学園生活の全てを写真が本物かどうかを調べるのに費やした!!」

「それで解ったのは、最悪の結果!!」


「…本物だった」


「確実にな!!」

「奴は言っていたさ!!」

「「強さを求めるのなら、こちら側に来い」と!!」


「…誰が言っていた?」


「お前に…」


蕗東が、途中で言葉を止める



「…出てきたのか!!」


北校舎から、舞桜が出てくる


「もっと、きつく縛っておくべきだったか」


「…アナタ、私に何をしたの?」


舞桜の背中が、かすかに光っている


「この背中…」


舞桜の背中には、蕗東の能力による紋章


「…気が付いたのか」

「まぁ、どうにもならないがな」


「…蕗東ィィィィィィィィィ!!」


蕗東に突っ込む白刃之



ガァン!!


白刃之が蕗東を殴り飛ばす



「アハハハハ!鬼怒が、お前に負けた時にかけさせて貰った!!」

「解除も!無効化も出来ない!!」


「何故!こんな事を!?」

「お前の目的は「扉」だろうが!!」


「…そうだ」

「「扉」と逆襲」


「「逆襲」!?」


「柳舞に対するな」


「!?」


「アイツは、俺の助言を無視した」

「「校長達は化け物だ」」

「「今すぐ、排除した方が良い」…と言う、俺の助言をな」


「それが舞桜と何の関係がある!?」


「アイツは言ったよ」

「「お前の言ってることは間違ってないかもしれない」」

「「だが、仲間と妹の命を、お前の恐怖との天秤にはかけられない」ってな!!」

「それで俺は思った!!」


蕗東が眼を大きく見開く


「「なら、その足かせを俺が外してやる」!!」

「「そうすれば、柳舞も俺の助言を無視した愚かさに気付くはずだ」ってな!!」


「…つまり、「妹と仲間を殺せば柳舞は自分の助言を認める」と?」


「その通りだ!!」


「…ゲスが」

「この一件は、自分の恐れと傲慢で起こした事ってワケか!!」


「違う…!!」

「違う!違う!!違う!!!」


「違わない!!」

「柳舞は、仲間を大切に思った!!」

「お前は自分を大切に思った!!」

「それが、お前と柳舞の差だ!!」


「違うぅぅぅぅうぅう!!」


叫ぶ蕗東


「あああああああああああああ!!」


両手を広げ、能力を発動しようとする



「馬鹿が…、刺激してどうする?」


「鬼怒!!」


鬼怒が蕗東の横を走り抜け、舞桜の横に行く


「無駄だぁああああ!解除も無効化も出来ないぃぃいぃいい!!」


「…どうかな?」


ビリリリリリリ!


舞桜の服を破る鬼怒


「!?」


「…耐えろよ?舞桜」


ベリッ


「ッッッッッッッッッ!!」


舞桜の背中の皮膚を剥がす鬼怒


「何をしてるんだ!?」


「もう少し…!!」


ベリッ


紋章部分の皮膚を完全に剥がす鬼怒


「はぁああ!!」


その皮膚を丸め込み、ハンマ-を構える


「鬼神爆炎!!」


ガァアアアアアアン!!


「ぐぅうううう!!」


爆風に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる鬼怒



ジュゥウウ…


鬼怒の技が、舞桜の皮膚を焼き尽くす



「無駄だって、言ってるだろうがぁああああ!!」


シュゥウウウ…


「…え?」

「え?え?え?え?え?え?え?え?え?え?え?」


不発の蕗東の能力


「お前の能力は、紋章を爆発させる事」

「つまり、その紋章もなければ、能力も発動しないってワケだ」


「…くそぉおおおおおおお!!」


舞桜に向かって、走り出す蕗東


「しまっ…!!」


爆風に飛ばされた鬼怒は、舞桜の所まで間に合わない


「ならば!顔面でも何処にでも!!」

「能力をかけてやるぅううううううう!!」


「無駄だ」


パシン


白刃之の手が、蕗東の手を掴む


「あああああああ!!」


もう片方の手を、舞桜に伸ばす蕗東


「今だ!亞幹璃!!」


パァン!!



ドスッ


蕗東の首に、麻酔弾が直撃する


「あが…」


倒れる蕗東


「…良くやった、亞幹璃」


蕗東の腕を放し、ため息をつく白刃之


「…手間かけさせやがって」


舞桜を抱きかかえ、鬼怒の方へ向かう


「職員室に行くぞ」

「椿姫が治療してくれる」


「…ああ、そうだな」


「それにしても鬼怒、もう少しマシな計画は立てられなかったのか?」


「文科という奴の能力で見張られていた」

「モ-ルス信号での伝達は、コレが限界だ」


「ハンマ-を地面に叩きつけることで、信号を送るなんて…」

「良く考えついたな」


「まぁな」


苦笑する鬼怒


「行くぞ」

「蕗東は、俺が背負っていこう」


「ああ、頼む」


舞桜を背負い、立つ鬼怒



「…馬鹿野郎が」

「この罪は背負って貰うぞ」


蕗東の腕を掴む白刃之


ボリン


「…あ?」


白刃之が持ち上げたのは、蕗東の腕のみ


「…しくじりやがって」

「このゴミが」


バキッ、ボキッ


背中から、6本の蜘蛛の足が生えた男が、蕗東を喰っている


「…お前のせいだ」

「ゴミ」


ドスッ


白刃之の腹部に、男の蜘蛛の足が貫通する


「がぁ…!!」


倒れる白刃之


「白刃之ォオオオオオ!!」


鬼怒が男に向かい、ハンマ-で立ち向かう


「面倒くさいな」


屋根に飛び乗り、そのまま逃げていく男


「また、機会が有ったら合おう」

「ゴミ共」


「く…!!」

「白刃之…!!」


白刃之と舞桜を背負い、職員室に向かう鬼怒





読んでいただきありがとうございました

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