囚われのリ-ダ-
ロシア支部、牢獄内
「…おい、校長」
「何だ?城牙」
「先刻の話からしても、メタルの言うことが正しいと思うぞ」
「確かに、アンタに言うことにも一理あるが、それでもメタルが正しい」
「…解ってる」
「だが、アイツの言った「ゴミ以下」を守り通さなきゃならんのだ」
「…解らないな」
「今、俺を引き渡せばゼロは味方に付く」
「そうすれば、イ-タ-を殲滅することも可能だろう」
「…」
沈黙する校長
ズズズズ…
城牙の影に、毀棄梨が来る
そして、静かに言う
「迎えに来たぞ」
「「迎え」は不要だ」
ガァァァン!!
牢獄ごと、毀棄梨を吹っ飛ばす校長
「クラウンの目を逃れ、ここまで来たのは賞賛に値するが…」
「影から出る瞬間が、お前の能力の弱点だな」
「く…!!」
壁に叩きつけられ、動くことも、ままならない毀棄梨
「城牙、その拘束具を付けている間は、お前は能力は使えない」
「観念するんだな」
「…待て」
毀棄梨が校長を呼び止める
「ロック、と言ったか…」
「私達の情報では、学園がイ-タ-の襲撃を受けている…」
「…信じられんな」
「敵の情報を信じる馬鹿は居ない」
「いや、そいつの言ってることは本当だ」
「…金田」
金田が牢獄内に降りてくる
「確かに学園は襲撃を受けている」
「お前達はツキワ達が迎え撃ってるはずだが?」
「勝負は付いた」
「かなり苦戦したがな」
「…そうか」
「だが、裏切った、お前も敵だぞ」
「信用は出来ない」
「学園が襲撃されているのを、黙って見ているのか?」
「お前も感づいているだろう?」
「「蕗東が、学園の守護を買って出たのは、学園を襲うため」だと」
「…」
「奴も「扉」が目的だ」
「学園に無いとすれば、学園をも壊滅させるだろう」
「…学園には鬼怒達も居る」
「心配はない」
城牙が話に入る
「生徒を信じるのも結構だが…」
「柳舞の話だと、1年前の事件に鬼怒も絡んでいるのだろう?」
「蕗東からすれば、絶好の標的だと思うぞ」
「…その通りだ」
「鬼怒が本来の力を出せるとは限らない」
「…」
「どうする?ロック」
「学園を見殺しにするか、詰まらない意地を張るか」
「…俺は」
「学園を守るのが指名だ」
「そのために、今も詰まらない意地を張っている」
鬼怒が携帯を取り出す
「…ミナモか」
「全兵に伝えろ」
「「ゼロと手を組む」」
「「イ-タ-を殲滅させるぞ」とな」
「ロック!!」
ロックの肩を叩く金田
「…お前達は、いつも戦場をかき回すな」
「勘弁してくれ」
「アハハハ!解ってるさ」
「ただし、今から戦場は地獄に変わるぞ」
「ミナモ、もう1つ、伝えてくれ」
「「上級戦闘員は、全員本気を出して良し」だ」
「解りました-!」
携帯をたたむロック
「日本支部の援護は、すぐ行ける」
「ただし、「扉」は別だ」
「アレを見つけるのは許さない」
「…ロック」
金田がロックに銃を突きつける
「何のつもりだ?」
「悪いが、秋雨君達が「扉」を見つけるまで、大人しくしていてくれ」
「…出来ない相談だ」
ドゴン!!
ロックが金田を蹴りで吹っ飛ばす
「効くなぁ…!!」
立ち上がる金田
「アレを食らって立てるのか!?」
「毀棄梨、お前は解らないのか?」
城牙が毀棄梨を背負う
「あの2人の恐ろしさが」
ゼロ、本陣
「…くそったれ」
携帯をたたむレイド
「何だ?終了か?」
ボロボロのメタルと、平然と立つレイド
「残念だが、共同戦線命令だ」
「行くぞ!メタル」
「…無茶苦茶、言うなよ」
「こっちは「真眼」まで、使ったんだぞ!!」
「じゃぁ、そこで、くたばってろ」
「俺は行くぞ」
「だぁ-!解ったよ!!」
「俺も行けば良いんだろ!!」
戦場へ走っていく2人
「あの2人は化け物か…!?」
呆然とするゼロの戦闘兵
2人の戦った後には、巨大な隕石が衝突したかと思われるクレ-タ-と、海だった陸地が広がっていた
WG学園、日本支部
渡り廊下
「キツイな…!」
先刻から、何人ものイ-タ-の戦闘兵を倒してきた竜山
「おぉおぉお!!」
飛びかかってくる戦闘兵
「ッらぁ!!」
どうにか、なぎ払う竜山
しかし、次から次へと戦闘兵が出てくる
「くそ…!!」
「ぐぅあぁっぁあ!!」
いきなり悲鳴を上げ出す戦闘兵
「!?」
困惑する竜山
「がぁ…!!」
他にも、縛り上げられ、吊される戦闘兵や次々に斬られていく戦闘兵
「何だ!?何だ!?」
辺りを見回すが、味方の姿はない
「まさか…!!」
「その通りです」
いつの間にか、夜風と首狩、水無月に骸瀧が竜山の後ろに立っている
「夜風!首狩先輩!水無月先輩に骸瀧先輩!!」
「救援です」
「待たせたね」
「大丈夫!?」
「もう、心配は要らないよ」
「た、助かったぁ~」
安堵のため息をつく竜山
「貴様達!どこから沸いて出た!?」
「私の能力です」
「皆さんを一気に運ぶのは苦労しました…」
「夜風ちゃんに皆で触るのは苦労したが…」
「中々、良かったよ」
微笑む骸瀧
「くそ…!!」
ジリジリと下がる戦闘兵
「行くぞ!!」
首狩を筆頭に、戦闘兵に突っ込む竜山達
職員室
「早く、避難してくださ-い!!」
非戦闘員を職員室へ誘導する鏡燕
「鏡燕君!!」
「椿姫さん!」
鏡燕の元に、椿姫が走ってくる
「どうしたんですか?血相を変えて」
「今、役員から報告がありました!!」
「「鬼怒君と白刃之君が戦っている」と!!」
「…そうですか」
「止めに行かなくて良いですの!?」
「白刃之君は、何の為に学園を裏切ったと思ってるんですか!?」
「…」
「鬼怒君は知りません!」
「白刃之君が義眼のワケを!!」
「…そうでしょうね」
「止めに行きましょう!!」
走り出す椿姫
ガシッ!
その腕を掴む鏡燕
「…鬼怒も、知らなければなりません」
「会長が、裏切った理由を」
「…ですが!!」
「北校舎で、舞桜ちゃんも人質に取られているそうですわ!!」
「恐らく、鬼怒君は脅されて白刃之君と戦闘を…!!」
「…そうですか」
「それは見逃せませんね」
椿姫の腕を放す鏡燕
「…俺が行きます」
「椿姫さんは、非戦闘員の手当を」
「しかし!!」
「…お願いします」
頭を下げる鏡燕
「…解りましたわ」
「舞桜ちゃんを、鬼怒君を、白刃之君を、お願いします!!」
「…はい」
そう言って、鏡燕は北校舎に向かっていった
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