裏切りと外道の武器
ロシア支部、最下層牢獄
「校長、イ-タ-が裏切った」
オキナ、アメ-ル、アオシが上から降りてくる
「…やはりな」
「裏切ったか」
「…予想してたのか」
「ああ、確信はなかったが」
「城牙の証言でハッキリした」
「…じゃぁ、どうするんだ?」
「戦場のイ-タ-および、ゼロを駆逐しろ」
「1人残らず…だ」
「ちょっと待て」
メタルが階段から校長に呼びかける
「戦場から様子見に来てみれば…」
「何を言っている?」
「言った通りだ」
「「イ-タ-および、ゼロを駆逐しろ」」
「…ロック、お前も気付いてるだろ?」
「ゼロは敵じゃない」
「城牙を取り戻そうとしてるだけだ」
「…解っているさ」
「城牙を差し出せば、こちらに協力してくれる事くらいな」
「じゃぁ、何でそうしない?」
「…1度、相手に頭を垂れれば、それは味方の士気を下げる事を意味する」
「簡単に言うと、「評価」だ」
「この戦争で、評価を下げられれば敗北は必須だ」
「…要するに、アレか?」
「「相手に頭は下げたくない」ってか?」
「…違うな」
「負けることが許されないだけだ」
「違うだろ」
「お前がゼロと共同戦線を組むのが嫌なだけだ」
「…違う」
「違わないさ」
「予想はしていたが、自分のせいで学園が危ない」
「イ-タ-が裏切ったから」
「そのイ-タ-と組む原因になったゼロと共同戦線は組みたくないだけだ」
「…」
「ガキの思想回路だな」
「恥ぐらい捨てろ」
「戦場じゃ、恥なんてゴミ以下だ」
「…」
押し黙る校長
「…オキナ、どうする?」
「言うまでもないな」
「…ロック、俺は評価どうこう言う奴より、信念をかけた奴に味方するぜ」
「俺達はゼロに着く」
「…好きにしろ」
「お前が学園の敵に回るのは初めてじゃないだろ?」
「いや、元は敵だっただろ?」
「…そうだな」
苦笑するメタル
「行くぞ!オキナ、アメ-ル、アオシ!!」
「おお!!」
階段を駆け上がっていく4人
ガチャッ
校長が携帯を取り出す
「…スカルか、メタル達が裏切った」
「全力で排除しろ」
「…了解」
パタン
携帯をたたむ校長
「…ずいぶんと、馬鹿な奴が仲間じゃないか」
「うるさいぞ、城牙」
「アイツ達の馬鹿さは今に始まった事じゃない」
牢獄周辺
ドォ-ン…、ドォ-ン…
響く爆音
その中に立つ、メタル達
「…メタルさん」
「何だ、スカルか」
「校長から排除命令が出てますよ」
「裏切ったから当たり前だろう」
「俺達も、全力で排除にかかるぞ」
「…誰をですか?」
「お前達を」
「…結構です」
「行きますよ」
構えるスカル
「離れてろよ?お前達」
メタルが金田達に指示する
「スカル!お前とやり合うのは何回目だ?」
「3回目です」
「1回目のように、また、剣を折りましょうか?」
「冗談言うなよ」
「2回目で俺に負けたのは誰だ?」
「…3回目で解りますよ」
ガァァァン!!
激しく衝突するメタルとスカル
「さて、俺達もやり合うか」
振り返るオキナ達と金田、ガルス
ボルト、ツキワ、ロ-ブ、コクト、トルアが5人の前に立ちふさがる
「…」
「裏切りやがったな?バカ共」
「…覚悟して」
「イェア!その通りだぜ!!」
「殺すぞ、裏切り者」
「…殺されるわけにはいかないな」
「それに、お前達がノコノコ俺達の相手をしていて良いのか?」
「…俺達でなければ、勝負にならない」
「違うか?」
「…そうだな」
WG学園、校舎裏
「糞が…」
傷だらけの天鹿和
「…弱くてヘドが出る-な」
「アンタ、誰だ?」
「イ-タ-の奴か?」
「俺-は、梵箭 亦裟-だ」
「お前、弱い-な」
「ケッ!キモイ水、ベチャベチャ吐きやがって…」
「俺の服がボロボロじゃねぇか」
「俺の唾液-は、酸で出来て-る」
「お前に-は、防げな-い」
「その延ばすしゃべり方をやめろ」
「うざいぞ」
「負け犬-の遠吠えにし-か、聞こえな-い」
「…殺す」
「やってみ-ろ」
「お前に、俺は殺せな-い」
「…どうかな?」
天鹿和が梵箭に突っ込む
「単純-だ」
ゴボゴボゴボ
梵箭の口から、酸が溢れ出す
「チィッ!!」
ビチャビチャビチャ!!
ジュゥウゥゥ…
「がぁぁあああぁ!!」
天鹿和の肩に、酸が直撃する
ビリ…
かすかに天鹿和の手鎧が梵箭に届く
「弱い-な」
「ぐぅううぅ…」
「俺の唾液は酸を含んでるんだ-ぞ?」
「手鎧で防げば良いだ-ろ」
「ふざけん…な!!」
息も絶え絶えになった天鹿和が、梵箭を睨む
「この手鎧はなぁ!俺を表した武器なんだよ!!」
「「表した」って何-だ?」
にやりと天鹿和が笑う
「外道、だ!!」
「意味が分からない-な」
「服を見ろ」
「…先刻、擦った-か」
服の裂け目は、妙な形に裂けている
「何-だ?コ-レ」
「そのうち解るさ」
「関係ない-の」
「解る頃には、お前は死んでる-ぞ」
「…どうかな?」
「それと、1つ聞きたい-の」
「何だ?」
「お前、本気出してない-の」
「俺には解る-の」
「…何故、そう思う?」
「天鹿和って言えば、表と裏の2重人格で有名な-の」
「しかし、お前はその「表」な-の」
「…ばれたか」
「当たり前な-の」
「俺にもそれぐらい、解る-の」
「じゃぁ、裏と戦うか?」
「当たり前だ-よ」
「お前は、もう相手にならない-よ」
「…そうか」
「気をつけろよ」
「何でな-の?」
「俺は、人が死ぬのは構わないが裏の殺し方は好きじゃないんだ」
「もし、裏がキレたら…」
「どうなる-の?」
「錠が外れる」
「錠って何-の?」
「簡単に言うと、封印かな?」
「やってみ-ろ」
「じゃ、お言葉に甘えて…」
下を向き、動かなくなる天鹿和
「何して-る?」
「早く、見せ-ろ」
いっこうに動かない天鹿和
「舐めてる-な」
「殺す-よ」
天鹿和に歩いて近づく梵箭
「「殺す」だと?」
「「殺されたい」の間違いじゃねぇのか?」
「!!」
梵箭の首を、左手で掴む天鹿和
「さっさと、俺を出せよ!表」
「コイツのしゃべり方にいらついてた所だ!!」
「甘い-の」
ベチャ!!
天鹿和の眼に、酸が放たれる
「痛いだ-ろ?」
「叫ぶが良-い!!」
「…あ?」
「!?」
平然と、酸で潰れた眼で睨む天鹿和
「心地良いね」
「最近、猿共の相手しかしてなかったんだ…」
「な、何で効かな-い!?」
「「効かない」?いや、効いてるさ」
「俺は痛みが好きなだけだ」
「そ、そんな奴が居るはず無い-ぞ!!」
「居るじゃないか」
「ここに」
天鹿和が、右手の手鎧を広げる
「さぁ、楽しもうぜ」
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