能力のために
「…行くかな」
ゆっくり歩き始める柳舞
「GLは何処だ?」
「久しぶりとは言え、記憶を消したからなぁ…」
「ん?誰だ?君は」
岩角が柳舞に鉢合わせる
「何処かで見たような…」
「君は岩角君かな?」
「あ、ああ、そうだが」
「俺を覚えてない?」
「ここの卒業生?」
「まぁ、卒業はしてないけど…」
「?」
「まぁ、良いや」
「舞桜…、もとい、会長を知らないかな?」
「ああ、会長なら長期休暇を取ってるよ」
「何だか、お兄さんが生きていたらしくて、ショックを受けてるそうだけど…」
「そうなのか」
「じゃぁ、GLは?」
「1年寮にいるよ」
「何でも、風邪を引いてるそうだけど…」
「能力が風邪なんか引くのかな?」
「そっか、ありがとう」
「ああ、どういたしまして」
そう言って、1年寮に向かっていく柳舞
「…ん?去年の会長に似てなかったか?」
「お-い!そこの…」
「って、居ない…」
1年寮
「GLの部屋は…」
「ここか」
コンッコンッ
扉をノックする柳舞
「はい、どちら様ですか-?」
出てきたのは火衣良ちゃん
「お、可愛い子だね」
「お兄さんも「ろりこん」なの?」
「いきなり、凄い質問をぶつけてくるね」
「竜山お兄ちゃんが「出会ったときに、可愛いとか言う奴はロリコンだぞ」って言ってたもん」
「ん-、間違ってはないね」
「で、「ろりこん」なの?」
「違うよ」
「俺の趣味は同年代」
「そうなんだ-」
「で、GL、居るかな?」
「うん!GLお姉ちゃんは寝てるよ」
「そうか、失礼するよ」
部屋へ入っていく柳舞
「いらっしゃ-い!」
「お邪魔します…、ってね」
GLの居る部屋へ向かう柳舞
「…GL」
「寝てるな」
「お兄ちゃん、GLお姉ちゃんを知ってるの?」
「ああ、元主人だからね」
「そうなんだ-」
「火衣良ちゃん!その人、誰!?」
「秋雨お兄ちゃん」
秋雨が奥の部屋から出てくる
「GLお姉ちゃんの元主人なんだって-」
「GLの!?」
「元主人です」
「主人って…、GLの能力者!?」
「そうなるね」
「えっと…、「死んだ」って鬼怒さんに聞きましたけど」
「ん-、まぁ、生きてたんだけどね」
「それで、何か用ですか?」
「いや、GLの様子を見に」
「それが、高熱を出して寝込んでるんです」
「…そうか」
GLの額に手を当てる柳舞
「…やはり、限界か」
「秋雨君…と言ったかな?」
「はい、秋雨 紅葉です」
「鬼怒がGLにエネルギ-を与えてるのかな?」
「いえ、僕ですけど…」
「君?」
「はい」
「こっちに来てくれるかな?」
「?」
秋雨の頭に手を当てる柳舞
「…そっか」
「君も特殊か」
「?」
「いや、それなら良いんだ」
「それと、言っておきたいことがある」
「何ですか?」
「その前に、そこのお嬢ちゃんは向こうに行っててくれるかな?」
「どうして-?」
「難しいお話だから」
「…うん!解った!!」
「良い子だね」
火衣良ちゃんの頭をなでる柳舞
向こうに走っていく火衣良ちゃん
「さて、言いたい事って言うのは」
「…GLは消える」
「!?」
「能力者が居なくなった能力は、どうなるか知ってるかい?」
「いえ…、知らないです」
「空気内のエネルギ-と混ざり、浄化され、空気の一部と化すんだ」
「高熱はその初期段階」
「!!」
「…解決方法が有るんだけどね」
「何ですか!?」
「「扉」を見つけること」
「「扉」?」
「君、この世界に何で生命エネルギ-や能力が有るか知ってるかい?」
「…知りません」
「天国、地獄…、その両方とも取れない世界が有るんだ」
「?」
「黄泉の国…、とでも言うのかな?」
「まぁ、そんな所」
「そうなんですか…」
「そこからエネルギ-はやって来た」
「そうして、この世界に広がり、能力者を生み出した」
「…」
「その世界に通じる「扉」が、何処かの支部に有るんだ」
「解った?」
「…で、その「扉」を見つけてどうするんですか?」
「GLに、そこに行ってもらう」
「!?」
「そこは、エネルギ-が溢れてる」
「エネルギ-の結晶のGLも回復するだろう」
「…それが、解決方法ですか」
「そうだよ」
「その「扉」は何処に?」
「…解ってないから、調査中」
微笑む柳舞
「君にも、手伝って欲しいんだけど」
「はい!協力させてください!!」
「何のために?」
厳しい表情になる柳舞
「…GLを、GLを救うためです!!」
「よく言ったね」
微笑む柳舞
「よし!それじゃ、GLを連れて、俺の基地に行こうか」
「え…」
「あれ?何かマズイ事を言ったかな?」
「会長に許可を取らないと…」
「何処に行ったか知ってるのかい?」
「…知りません」
「じゃぁ、副会長さんに取りに行けば?」
「そうですね!」
「って、副会長さんって誰?」
「鬼怒さんです」
「…そっか、鬼怒か」
「?」
「まぁ、良いや」
「俺は先にGLを連れて行くから、君は後でこの住所に来てくれるかな?」
「解りました!!」
「それじゃ、お先に」
GLを抱え、部屋から出て行く柳舞
「さて、鬼怒さんに会いに行こうか…」
秋雨も、生徒会室に向かっていった
公園
「コレですね」
「不審な死体というのは」
公園で、不良の死体を調べる夜風と首狩
「…夜風、何か解るか?」
「いいえ、皆目見当も付きません」
「う-ん、困ったなぁ…」
頭を抱える首狩
「そこの2人」
「?」
大量のたこ焼きを持った白珠が、2人に声をかける
「何?」
「アナタ達って、特殊?」
「いや、俺は風だな」
「夜風は特殊だけど」
「ふ-ん、じゃぁ、そこのお姉ちゃん」
「?」
「一緒に来て」
「どうしてですか?」
「勧誘だよ」
「勧誘ですか」
「うん、勧誘」
「何のだい?」
「ゼロって言うチ-ムの」
「!!」
「敵…ですか」
「そうみたいだな」
「わわわ!構えないでよ!!」
「?」
「私、戦闘能力あんまりないから…」
「そうでしたか」
「夜風!簡単に敵の言うことを信じちゃダメだぞ!!」
「す、すいません…」
首狩に叱られ、肩を落とす夜風
「ひど-い!そんなに怒鳴らなくても良いじゃん!!」
怒る白珠
「そのお姉ちゃんだって、私が敵じゃないって思っただけでしょ!!」
「怒鳴らなくたって良いじゃん!!」
「え、いや、そう言うわけには…」
首狩に、泣きかけの夜風の視線と怒った白珠の視線が向けられる
「…すいませんでした」
「解れば良いの!!」
「で、どうするの?」
「…行こう、夜風」
「首狩さん!?」
そっと夜風にささやく首狩
「情報では、ゼロに寺冬が捕らわれてるそうだ」
「助ける良いチャンスかも知れない」
「…確かにそうですね」
「やった-!それじゃ、行こっか!!」
「そうしましょう」
「そうだな」
そうして、首狩、夜風、白珠は廃墟ビルに向かっていった…
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