惨劇の結末
「恐ろしさぁ~!?」
「ああ、過去に過激派集団を1時間以内に5つ潰したんだろ?」
「所詮は、能力も使えないゲスの集まりだろ?」
「…違うな」
「あ?5つも潰してないってか?」
「あの時は、少女が人質に取られてた…」
「殺されたがな」
「バカだねぇ!ドジ踏んだのか!!」
「まったく、あの時以来だよ…」
「こんなに怒りを覚えたのは」
ゴォン!!
ぐちゃ…
真っ二つに潰れる蕗東の足
「あう゛ぁう゛ぁう゛ぁぁ!?」
「どうだ?痛いだろう?」
「「苦痛」…を、知ってるか?」
「柳舞が受けた痛みだ」
「舞桜が受けた痛みだ」
「白刃之が受けた痛みだ」
「俺が受けた…痛みだ!!」
ゴォォォン!!
鬼怒がハンマ-を振り下ろす
「ひぃ!?」
間一髪で、鬼怒のハンマ-を避ける蕗東
ドゴォン
地面が裂ける
凹む、割れる、ではなく裂ける
「---!!」
言葉にならない悲鳴を上げる蕗東
「…強い」
「そりゃ、そうだろ」
「アイツが1時間以内に滅ぼした過激派集団の数は、5じゃない」
「25だ」
その後の勝負は一方的だった
逃げる蕗東に対し、追撃する鬼怒
まさに、虎と兎の戦い
ガァン!!
蕗東が袋小路に追い詰められる
「わ、悪かった!俺が悪かった!!」
「…」
無言でハンマ-を蕗東に向ける鬼怒
「や、やめてくれぇぇ!!」
「…」
ガゴン…
ハンマ-を、ゆっくり降ろす鬼怒
「…決着は付いた」
「お前の負けだ」
「…殺さないのか?」
「「勝負が見えた時点で終了」だろう?」
「まぁ、殺す価値も無いがな」
「く…!!」
「糞がぁぁぁ!!」
銃を取り出す蕗東
「…「糞」だと?」
「鏡でも見るんだな」
ゴキン
ドサ…
恐る恐る、横を向く蕗東
先刻まで、銃を持っていたはずの自分の腕
先刻まで、有ったはずの自分の腕
「…あぁう゛ぁっう゛ぁ!!」
「あああああああああああ!!」
「…前言を撤回しようか」
「殺す価値は無いが…、生かす価値も無い」
「死ね」
ハンマ-を振り上げる鬼怒
「待て、鬼怒」
鬼怒の肩を掴む白刃之
「…殺すな」
「殺せば、そいつと同じに成り下がる」
「…どうでも良い」
「柳舞を殺したコイツを、生かしておく理由は無い」
「…殺す理由も無いはずだ」
「…」
「蕗東!お前は会長の職に就け」
「ひぃ…!?」
「そして、悔いろ」
「お前が殺した人間が、どのような重荷を背負ってきたかを実感するんだな」
「糞…!!」
「…帰るぞ」
「学園に」
その後、蕗東は会長職に就いたが、1週間と経たないうちに学園を去った
WG学園、校長室
「…どういう事か、説明していただけますか?校長」
校長室には、鬼怒と白刃之が居た
「…君達が、今回の事件を起こしたのは知ってる」
「真犯人も誰なのかを、ね」
「…ならば、何故ですか!?」
「何故、今回の事件の記録を抹消するのですか!?」
「…柳舞も死亡ではなく、行方不明扱いになるんだろう?」
「…そうだ」
「何故ですか!?」
「…学園内での事件は、全面的評価へ繋がる」
「ここは、君達のために崩して良い評価じゃないんだ」
「そんな…!!」
「…この事件に関わった、最上級生は全員留年して貰う」
「鬼怒、白刃之、椿姫、鏡燕の4人はね」
「!?」
「俺と鬼怒は解ります!しかし、椿姫と鏡燕は関係ないはずです!!」
「…あの2人も、君達が心配で独自に調査を行ってたみたいだよ」
「それが理由だ」
「そんな…!!」
「…すまない」
「こちらの理由で、君達に迷惑をかけることになる」
「…今年は、会長は不在のままで良い」
「…来年は、白刃之君が風紀委員会長、椿姫ちゃんが治療委員会長、鬼怒君は生徒会副会長だ」
「…そして、鏡燕君は風紀委員副会長、風華ちゃんは生徒会会長について貰う」
バァン!!
鬼怒が机を強く叩く
「…それだけは反対だ」
「風華ちゃんの事かい?」
「そうだ」
「柳舞のことを思い出すだろう」
「…だからこそ、だよ」
「彼女でなければ、会長職は務まらないはずだ」
「誰よりも、その重みを知っている彼女なら…ね」
「…」
「解ってくれ」
現在
「あの事件で、柳舞は死んだ物かと思っていたんだがな」
「ですが…、生きて居らした」
「お前達には、迷惑をかけたな」
「すまない」
鬼怒が頭を下げる
「何、お前が誤ることではない」
「…蕗東、奴は、この事件に関与しているのか?」
「解りませんね」
「何より、俺は奴が許せない」
「…鏡燕君、彼を生かした鬼怒君の気持ちも考えては?」
「…そうですね、すいません」
「構うな、鏡燕」
「…気にはしていない」
「…この話はこれぐらいにしておこう」
「舞桜はどうなっている?」
「…この前、休暇を取ってから顔を見てないな」
「GLも最近は合ってない」
「…そうか」
1年寮
「…GLお姉ちゃん、大丈夫?」
「うん…、心配ないよ、火衣良ちゃん」
先日から、高熱を出しているGL
(今まで、こんな事無かったのに…)
(急に、どうしたんだろう?私…)
「ただいま-」
「お帰り!秋雨お兄ちゃん!!」
「ただいま、火衣良ちゃん」
「GL、大丈夫か?」
「うん…、何とか」
「ゆっくり休めよ?」
「うん、ありがとう…」
廃墟ビル
「皆、集まれ」
ビルの広間に、全員を集めるヴァトラ
「…ボスからの伝言だ」
「全員に言っておく」
「シシシシシ!何だ!?」
「私も聞きたいな」
「俺も聞きたい」
「その前に…、だ」
「…毀棄梨、そのガキは何だ?」
「ああ、寺冬と言うんだ」
毀棄梨の足下には、縛られ、目隠しされた寺冬
「いや、また誘拐してきたのか?」
「誘拐ではない!」
「シシシシ!心配すんな!ヴァトラ!!」
「誘拐だから」
「結局…か」
「先刻、着せ替えで楽しもうとしたら酷く暴れてね」
「まったく、何がいけないんだか…」
「お前の全てだよ」
「でも、ヴァトラ!全員って言っても、白珠は?」
「凩も居ないし…」
「白珠はアメリカ、凩はイタリアだ」
「2人とも、作業が終わり次第、戻ってくる」
「そっか!なら、良いんだけど」
「で、伝言って?」
「「行動を始める」」
「「我達の目的は、城牙の奪還、および扉の発見にある」」
「「最終目的は、皆が知っての通りだ」…、だそうだ」
「シシシシシシ!やっと暴れられるぜ!!」
「ちょっと待って欲しい、ヴァトラ」
「何だ?毀棄梨」
「「扉」とは、何だ?」
「最終目的に必要なのは、城牙だけじゃないのか?」
「俺にも解らないのだ」
「「扉」…とは、何か」
「でも、柳舞が必要としてるなら、それで良いんじゃない?」
「城牙が認めた男だよ?」
「…そうだな」
「それと、その柳舞…、いや、ボスだが…」
「?」
「今は、WG学園に行っている」
「アレに合いに…な」
「アレって、リ-ダ-の元能力?」
「そうだ」
「新しい能力を得てるのに、古い能力を必要としてどうするの?」
「さぁな」
「俺には解らない」
「…そうなんだ」
WG学園、門前
「…久しい空気だ」
「舞桜は元気かな?」
読んでいただきありがとうございました