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下剋上制度

「ただいま、戻りました」


「…鏡燕君ですわね」


鏡燕を椿姫、白刃之、鬼怒が待ち構える


「どうしたんですか?皆、揃って」


「…過去の事件について話していた所だ」


「…そうですか」


「あの事件は…、偶然だったんだ」

「ただ、奴と規則が有っただけだったんだ…」


呟く白刃之


「…構わなくて良い、白刃之」


「…そうか」



「柳舞は、生きているのか?」


「生きている…はずだ」


「ならば、何故、戻ってこない?」


「…この学園を恨んでいるのか」


「アイツが、か?」

「あの学園主義のバカが…か」


「あの規則を作ったのは俺だ」


下を向く鬼怒


「…柳舞、何処に居て、何をしてるんだ?」




1年前


生徒会室


「さてと!今日の作業は終わり!!」


生徒会長のイスに、のんびり座る柳舞


「…柳舞、もう少し威厳を持ったらどうだ?」

「お前は生徒会長なんだぞ」


柳舞に鬼怒が呼びかける


「え~!どうでも良いじゃん!!」


「良くない」

「キサマがそんな態度のせいで、最近は生徒会の雰囲気もたるんでいる」


「…それはまずいな」


「その通りですわ!!」


「あれ?椿姫ちゃん」


入り口にお嬢様立ちで立つ椿姫


「その呼び方はやめなさい!」


「へいへい」


「柳舞君!アナタも会長なのですから、威厳を持って…」


「副会長の椿姫ちゃんが何してるの?」


「その呼び方…!!」


わなわなと震える椿姫


「ああ、ゴメンゴメン」


「…まぁ、良いですわ」

「書記の蕗東君は居らして?」


「いや、任務に出かけてるよ」


「…そうですの」


「どうかした?」


「最近、彼について悪い噂が絶えないですのよ」

「能力者犯罪組織のイ-タ-に、内通してるとか…」


「それを確かめに来たのか?」


「そうですわ」


「確かに、アイツは、任務からの帰りも最近、遅くなってるし…」


「まぁ、待てって」


「どうした?柳舞」


「仲間を疑うのはイケねぇな」

「信じてこそ仲間だろ?」


「…だが」


「ああ!お前の長い説教はもう良いよ」


「あのな…」


「まぁ、良いや!あいつが帰ってきたら、俺が聞いておくよ」


「…そうしてくださいませ」



数時間後


「お-い!蕗東、居るか?」


「何ですか?会長」


「お前、イ-タ-って組織と内通してるの?」


「してませんよ!失敬な!!」


「アハハ!そうか!してなければ良いんだ!!」


爆笑しながら、作業に戻る柳舞


「…少し、トイレに行ってきます」


「ああ!いってらっしゃい」


トイレで席を立つ蕗東


男子トイレ


「…そうだ、計画を早める」

「ばれたかも知れない」


ガチャ


「糞会長が…」


「…今の、どういう事?」


男子トイレの入り口に立つ舞桜


「…単なる愚痴ですよ、舞桜ちゃん」


「愚痴って…、今、計画を早めるって…」


「ああ、その事は後になったら解りますよ」


「…そう?」


「それより、ここは男子トイレですよ?」

「何してるんですか?」


「あ、ゴメンなさい…」


走り去っていく舞桜


「まったく、兄が兄なら、妹も妹だな…」





風紀委員会室


「失礼します」


「どうした?鬼怒」


「鏡燕か、白刃之は?」


「白刃之議長なら、任務で出て行ったぞ」

「また、お前の所の会長と任務達成数で勝負だとよ」


「はぁ~、あの2人も良くやるな」


「まったくだ!」


微笑み合う鏡燕と鬼怒



数週間後…


「会長!失礼ながら、ご提案が…」


「何だ?蕗東」


「この頃の生徒会は、空気がたるんでいます!!」

「そこで、下剋上制度はいかがでしょうか?」


「下剋上制度?何だ?それは」


鬼怒が話に入る


「ええ、名前通りに、下の物が上の物を倒してのし上がる制度です」


「つまり、役員の座を奪い合え…と?」


「まぁ、危ない言い方をするならそうなりますね」


「何か、危なっかしいな…」


乗り気ではない柳舞


「良いんじゃないか?会長」


鬼怒が切り出す


「そうか?」


「蕗東にしては、良いことを言うな」


「「蕗東にしては」って、何ですか?」


「確かに、このたるみきった空気を治すには、良い規則かも知れない」

「どうだ?柳舞」


「ん-、まぁ、やってみるか!」

「でも、危なっかしすぎるのもダメだな」


「相手との勝負は一対一!勝敗が見えた時点で終了…ってのは、どうだ?」


「それが良いな!じゃぁ、決定!!」


こうして、下剋上制度が決定された




「この前、言ってたのはコレなの?蕗東先輩」


「そうですよ、舞桜ちゃん」


「ゴメンなさい!変な勘違いしてたみたいで…」


「いえいえ!俺も「糞会長」とか言ってましたし…」


「糞会長って…」


ため息をつく柳舞



治療委員会室


「まぁ!そんな危なっかしい制度を?」


「そうか?中々良いんじゃないか?」


椿姫と鬼怒が話し合っている


「腑に落ちませんわ…、蕗東君の実力では、鬼怒君にも勝てなくてよ?」


「何、アイツもそんな事は解ってるはずだ」

「悪い噂がある奴だが、この学園を支えていく1人じゃないか」


「…そうかしら?」


記録室


無人の記録室には、舞桜が居た


「通信記録…と、有った!!」


書類を、居取る舞桜


「この前、蕗東先輩が話してた相手は…」


「これって…!!」


「糞ガキが、大人しくしてろよ」


「!!」




生徒会室


「おい、柳舞、居るか?」


「何だ?白刃之じゃないか」


「キサマ、下剋上制度というのを始めたらしいな」


「ああ、流石に情報の回りが早いな」


「…当たり前だ」


「で、何の用?」


「お前の妹、舞桜が居ただろう?」


「ああ、それがどうした?」


「アイツも、会計の職に就いてるだろ?」


「就いてるな」


「その制度で、傷ついたらどうする?」


「アハハ!傷つきはしねぇよ!!」

「そんなに柔な妹じゃない」


「だがな…」


「あれ?心配してんのか?」

「まぁ、昔から、よく遊んでてくれたしな…」


「小さい頃、お前、舞桜に告白したんだっけ?」


「…うるせぇ」


顔をしかめる白刃之


「俺の妹を傷つける奴は許さないが…」

「舞桜も、そんじゃそこらの奴には負けないさ」


「…それもそうか」


プルルルル


電話が鳴る


「はい、こちらWG学園生徒会室」


「会長!助けてください!!」


「どうした!?蕗東!!」


「舞桜ちゃんと任務に出ていて、廃工場にいるんですけど、イ-タ-の連中が…」


ガシャン!!


ツ-ツ-ツ-…


電話が破壊され、通信が途絶える


バァン!!


一気に立ち上がる柳舞


「俺も行こう」


「いや、良い」

「俺が会長だ」


そうして、柳舞は廃工場に向かっていった



読んでいただきありがとうございました

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