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幼馴染みの恋愛模様  作者: あおあん
踏み込む勇気

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35/59

第35話 Scene:光「翼が女とキスしたー」

 泣きじゃくる望を抱っこして、翼が帰ってきた。


「なにしたの!」


 思わず叫ぶ。


「ふぇーん、怒んないでぇ、翼、悪くないからぁ、ふえーん」

「あ、そなの?ごめん、つい……」


 翼に謝る。


「いいよ。俺が悪いんだよ」

「なにがあったの?」


 リビングのソファに座らせて、二人にお茶を持って行く。

 落ち着いてきた望の背中を撫でる。


「大丈夫?」

「うん」


 お茶を手に取った望が「オレンジジュースがいい」と言ったので、翼が「俺が」と言って、キッチンに取りに行った。


「どうしたの?」

「翼が女とキスしたー」

「へ?」


 思わず兄を見る。


「だから、話を端折り過ぎだって。現場でセリフ貰って、出ないかって言われたんだよ。一言だけど。その前にキスシーンがあるなんて書いてなかったから知らなくて」

「そういうこと」


 望はそれを見ていたわけか。


「翼もわざとじゃないしね?許してあげて?」

「違うのー」


 ああ、ああ、また泣き出しちゃった。


「なにが違うの?」

「す、好きなひとがぁ、め、目の前でぇ、キ、キス、するのぉ、見るの、こ、んな、つ辛いって思ってなくえぇー、えーん、ふぇーん」


 翼がオレンジジュース持って、走ってきた。


「え?俺がキスしたのが嫌で泣いてるんじゃないのか?」

「い、嫌だけどー。それは、嫌なんだけどー。の、望がキスしたの、ま、えに、翼、み、見てたからぁー、ごめーん」


 あ、翼の痛みを思い知って、自分の胸を痛めてるわけね。望らしい。


「そっか、そっか」


 翼に抱っこされて泣いてる望の頭を撫でてやる。

 こりゃ、たまらんね。翼は今、望への愛情で胸がいっぱいになってるに違いない。


「俺もあの時は辛かったけど、あのお陰で望とキスできたからな」

「うん、でもぉ」


 さすがに身内のこんな話はこっぱずかしいから、退散しようかな。


「私、颯と約束あるから、失礼するね」

「送って行くか?」


 私の気遣いに、気を遣わんでよろしい。


「いらない」


 一目散に家を出た。





 もう夜だけど、颯の家まで徒歩で行く。

 今日はバイトって言ってたから、一人で部屋で待たせてもらおうと思う。


「ん?明かりつけっぱ?」


 鍵を挿す前に一応ドアノブを回す。


「開いてる?」


 ゆっくりとドアを開ける。女性のパンプス……


「え?誰?」

「ひ、光?」


 颯が立ち上がってこっちに来る。

 体が咄嗟に走って逃げる。


「勘違いすんな!」


 颯に腕を捕まれる。


「先輩なんだ、俺の内定貰ってる会社のいっこ上の」

「だとしても、二人で部屋にいる意味わかんない!それに、今日はバイトって嘘……」

「嘘じゃない!バイト行ったけど、暇で、金髪一人でいいって事になって、帰ってきた!」


 そんな、都合のいい話ある?どうしよう、信じられない。


「たまたま帰りに先輩に会って、部署のこととか話を聞いてただけだ!」

「でも……」

「信じられないのかよ?」

「だって……」

「俺が嘘ついてると思ってるのか?」

「それは……」

「ショックだよ」


 ショックを受けたのは私の方なのに、颯は何でこんなことを言うの?


「とりあえず、部屋戻るわ。先輩、呼び止めたの俺だし」


 颯は行ってしまった。

 とぼとぼと公園に向かう。家には帰れないし、颯の家に行く勇気もない。

 昔、みんなでよく遊んだ公園。今でも、たまにベンチでジュースを飲んだりするけど、今日はブランコに座る。


 本能では分かっている。颯があの先輩と何かあるはずがないって。

 だけど家に招き入れるという行為自体が、裏切りに思えてならなかった。

 喧嘩はしたくないし、仲直りができるならしたいけど、私から謝るのは嫌だな。


 さっき見た、望の綺麗な涙を思い出して、自分が汚れてるって感じる。

 相手の痛みを思って泣いた親友、最愛の彼の行動を信じ切れずに責める私。


「はあぁ~」


 深いため息が出る。


「いたー!」


 望の声がした。

 望はいつも一生懸命走っていて、一見早そうに見えるんだけど、実はすごく足が遅い。


「見ぃつけたー!」

「探してくれたの?」

「颯がねぇ、大慌てで電話してきてねぇ、一緒に光のこと探してくれってー」

「お騒がせしてゴメンね」

「どうしたのー?」


 望が隣のブランコに座る。


「颯の部屋に女がいた」

「さいてっー!」


 端折って話すと、なんかスッキリするね。ちょっと笑ってしまった。


「誤解なのは分かってるの」

「そなのー?」

「だけど、許せなくって」

「あるあるー」

「私は謝りたくないの」

「なら、謝んなくていー!」

「「ははは」」


 望がブランコを大きく漕ぐ。私もつられて大きく漕いだ。


「なんか楽しー!」

「久しぶりだもんね」

「ブランコじゃなーい!光と恋バナしてるって、なんか楽しー!」

「ほんとだね」


 颯の話を避けて来たから、こんなこと言ったことなかったね。


「望、今までごめんね」

「いーよー、これから、いっぱい話してくれたらそれでいー」

「うん。これからは全部、ちゃんと話すからね」




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