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幼馴染みの恋愛模様  作者: あおあん
踏み込む勇気

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34/59

第34話 Scene:翼「光と結婚したいって言ったら、怒る?」

「クリパの準備ありがとな」

「どういたしまして……ってのは変だよな。こちらこそ、いろいろありがとうな」


 颯と学食で昼飯。

 俺は肉野菜炒め、颯はチキンカツ定食。


「あの後、光と仲直りできたのか?」

「バッチリ」


 それは良かった。

 光と企てた望の告白計画で、こいつには散々な目に合わせてしまった。

 光が「一旦別れる」と言ったときには肝を冷やしたが、結果的には正解だったのかもしれない。仲の良い俺らに隠しながら付き合ってきた3年間は、どういう気持ちだったのだろう。こいつらがそれを喜んでやっていたとは到底思えないだけに、心中を察する。


「お姫様たちは?」

「冬休みに入る前に就職課に行ってくるって。お前は行かなくてよかったの?」


 チキンカツの衣を剝いでる颯に聞いた。バラバラに食べるのが好きらしい。今度、望の作ったのを食わせてやろうと思う。あいつは不思議なほど衣をつけるのが下手だ。


「俺、内定、一社貰ってるから」

「そうなの?どこ?」

「第三志望くらいの商社、言ってなかったっけ?」

「聞いてない」


 色恋のことで頭がいっぱいだった。すまない。


「お前は?このまま芸能事務所のマネージャーすんの?」

「まあな。望一人で現場行かせられないし、光の仕事も無くなったわけじゃないしな。薄給だけど、家はとりあえず住み続けて構わないって、親が言ってくれてるし」

「家賃かかんないのはでけぇよな」

「光はどうするか聞いてるか?俺には何も言わねぇんだけど」


 光にはちょこちょこ聞いてはみるが、いつもはぐらかされてしまう。芸能活動をする気はなさそうだし、かと言って、積極的に就職活動をしているようにも見えない。


「俺にも話してくれねぇんだけど……」

「ど?」

「光と結婚したいって言ったら、怒る?」

「まっ!じで?!」


 耳まで真っ赤になった、こんな颯を見たのは初めてだ。


「まだ本人は言ってないから、内緒な。俺さ、別れてる時、痛感したんだよ。光がいない生活には耐えられないって。だから、プロポーズしたら……オッケーしてくれると思う?」

「いや……それは、俺に聞かれても……」

「応援はしてくれるだろ?」

「そりゃあ、もちろん」

「よっしゃ」


 喜んでいいところなのか分からないが、上手くいくことは願っている。

 食い終わった食器を返却して、就職課に向かった。

 二人のお姫様に声を掛ける。


「上手くいったか?」

「全然だめー。望、就職できないかもー」

「就職するつもりだったの?」


 てっきり芸能一本で行く気だと思っていたので、驚いた。


「だってぇ、光のおこぼれの仕事だよ?もぅ次ないかも知れないもーん」

「意外と現実見てんのな」

「いがいー?」

「いや……」


 暗い顔をして突っ立っている、妹に声をかける。


「何かあったか?」

「なんも」

「やりたい事とかあんの?」

「……ある、と言えばある……」


 こちらも意外な返事が返って来たな。お前はそういうの無いものだと、勝手に決めつけていた。わるい。


「見つかんないのか?」

「うん。ここには無いみたい」


 聞いてみたい気もするが、あまり根掘り葉掘り聞くと黙っちゃうからな。自然と話したくなるまで待つことにしよう。


「ほら、望は撮影があるから、もう行くぞ」

「わーい」

「なんか食ったのか?」

「まだー、車でパン食べていいー?」

「ああ。学食で買って行くか」





 光がバックレて、望がピンチヒッターで入ったテレビドラマの収録もあと僅かだ。

 次の仕事はどうやったら貰えるのか事務所に確認してみたが、これといった返事はもらえなかった。


「月岡君、ちょっと」

「俺ですか?」


 現場監督に呼び止められた。走って行く。


「なんでしょうか?」

「あのさ、君、ちょっと、出てくんない?」

「はい?」

「この前、エキストラで出てもらったじゃないか、覚えてる?」

「はい」


 喧嘩の野次馬の後方に突っ立てただけのやつだ。


「視聴者からね、ずいぶんとかっこいい人が映ってたって反応があってね」

「はあ」

「セリフ、一言だけなんだけど、やってくんないかな」

「はい」


 台本を1ページだけコピーした紙を渡された。


「花里さんと被らないように声かけるからさ、待機しててよ」

「はい」


 車に置いてきた望の元へ戻る。


「セリフもらった」

「えー?翼がー?すごーい!どれどれー?『それは違うんじゃないですか?』だってー、むずぅ」

「だよな、前後があんま分かんないから、どんなテンションで言えばいいのかが分かんないよな……」


 望の隣で、いろんなパターンの『それは違うんじゃないですか?』を思い浮かべる。


「たぶんだけどー、主演の女優さんとこの前の生意気なおばさん年下女優が平手打ちして喧嘩するからぁ、その後のセリフになってる、と思うー」

「平手打ち……修羅場……じゃんか……こわ……」

「望の台本にはそのセリフ無いからぁ、たぶん、急遽追加されたんだねー?がんばれー」

「ああ」


 望の「たぶん」は半分当たってて、半分外れてた。


 主演の女優が彼氏を振る、この前、車で一緒に待機した女優と主演が平手打ちの往復をする、ここまでは望の言ってた台本通りだった。そのあと、主演の女優さんが俺に近付いてきて、キスをされた、ここで『それは違うんじゃないですか?』を言わされた。


 唖然と俺のシーンを見てる望。ごめん、知らなかったんだ。




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