第26話 Scene:望「翼のことが好きになっちゃったの」
あ……れ……れ……?おかしいぞ……?
みんな揃ったら楽しくなるはずなのに、暗くなってしまった……ぞ?
これって、私たちの友情がお亡くなりになったからなの?それが原因?……ん?
「オレンジジュース、ありがとー!あ、ふたつもあるよー?」
来るなり黙っちゃった颯に、一生懸命しゃべりかける。
「あぁ、俺は100%のがいいんじゃないかと思ったんだけど、翼が、果汁が少ないのが望が好きなやつって言うから、両方買って来た」
おぉー!飲み比べ出来るの楽しい。
「正解はあ~~~~どこどこどこどこ、じゃーん!翼、ピンポーン、颯、ブッブー」
「ほらな」
翼のどや顔、おもしろ。
「ほら、座ろーよ?んで、乾杯しよーよ?ね?」
コップを並べて、翼と颯はコーラ、光と私はオレンジジュースを入れた。
「光は100%の方だよねー、さすがだねー、颯は光の好きなものが分かるんだねー」
なんで?私、すごく一生懸命……
「ほら、こっち来てよー。私、お好み焼き作るの手伝ったんだよー、洗うのとか、混ぜるのとかー」
みんな、どうして?盛り上がってよ……
「4人でご飯食べるの久しぶりだよねー、えっと、ソースとマヨネーズかける人、てーあげ……て……ふぇーん」
あーあ。我慢できなくなっちゃった。
「ふ、ふ、えーん、ふぇ、ふぇん」
泣いちゃった。
「望、ごめん、な?」
なにが、ごめんなの?颯、どうして謝るの?
「なんっか、へ、変だよね?わ、私たっち、へんっだよね?」
どうしよう。ヒックヒックが止まんない。翼が私の肩に手を置いた。抱き付きたいけど、今は、我慢だよね。
「ずっと同じようにはいられないこともあるだろ?」
なに言ってるか、分かんないから、翼の目見た。
「私たっちの友情っが、お、お亡くなりになった?」
「お亡くなりにはなってない。友達じゃなくなるわけじゃない。けど、関係性は変わるだろ?」
「り、両想いの颯っと光は恋人っ同士ってこと?」
「「「……」」」
どうして、だれもお返事をくれないの?
「き……きっ、いっ、てっ、るっ?」
「ああ、聞こえてるし、望の言ってることは分かってるよ。上手く答えられないだけだ、ごめんな」
「つっばさ、ぎゅっぅって、しってもっいっ?」
「いいよ」
翼が手を広げてくれたから、胸に飛び込んだ。
昨日はそのまま寝ちゃって、朝、翼が起こしてくれた。
「ほら、学校行く時間だぞ」
「おーっ」
顔洗って着替えたら、翼がゼリーくれた。
ゼリー食べてたら、光が髪の毛やってくれた。
きゃは、お姫様みたい。
「はーやーてー、おーはーよー」
「おはよう、昨日はごめんな」
「べつに、いーよー」
実は、颯に話したいことがあるの。
「ちょっと、来てー」
颯の腕を掴んで、教室の端っこに行く。
「おい、あの二人は?」
「えー?」
振り返ったら、光と翼が、まーるい目でこっちを見てた。
「しょーがないよ、ふたりには言えないことなんだもーん」
「なんなんだよ。怪しまれるから、早くしろよ」
「あのね、私ね、翼のことが好きになっちゃったのー」
「まじで?!」
大きな声を出すから、慌てて口を塞いだ。
「ごめ、ごめ、本当かよ?」
「そーなの、もう、翼のことが気になって気になってしょーがないの。どーしよ?」
「そりゃ、おまえ、頑張るしかねえだろ」
「どーやって?」
「嫉妬作戦?」
「またそれー?なんか、上手くいく気がしないー」
「実は俺も」
なんだとー!てきとーなこと言ったな!睨む。
「怒んなよ、ちょっと時間くれ、考えるから」
「よろしくぅ。私も考えるからー」
席に戻った。
「颯となんの話してたの?」
隣に座ってる光に聞かれた。
翼のこと好きになったって相談したいけど、光は私と恋バナしない派みたいだからな……
「うーん、内緒」
「そっか」
光は颯が好きなんだよね。いつか、そーゆー話、一緒にできるといいな。
もう卒業近いし、最後の試験が大変そうだけど、授業にさっぱり集中できない。
てか、そもそも集中して聞いても分かってない、の、かもしれない。
3人は真面目だなぁ。右の方を見る。一番奥に翼が見える。いつもよりカッコ良く見える。
「望、どうしたの?授業終わったよ?」
「あ、ほんとだー」
「なんかボーとしてるね。体調悪いの?もう帰る?」
「大丈夫、大丈夫。あ、でも、次の授業、私あっち座ろうかなー」
「あっち?」
一番右の席。翼の隣がいい。
「うん。その方が……」
「その方が?」
「……よく見える……から……」
「あ、黒板、見え辛かった?」
「あ、うん!」
嘘ついちゃったけど、いつか謝れば許してくれるかな。光だもんね。




