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幼馴染みの恋愛模様  作者: あおあん
鈍感な友達

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24/59

第24話 Scene:颯「ぎゅっとしてやろうか?」

「連絡先教えてもらっちったー」


 浮かれたバイト仲間の金髪に話しかけられた。


「よかったな。誰に?」

「望ちゃん」

「望かよ?!」

「お前の彼女じゃないくせに、お前、ちっとも紹介してくんねーから、自分から声かけたわ」

「いつ?」

「今さっき」


 望のやつなに考えてんだよ、って……あいつは、なんも考えてないよな。

 この一見チャラいこの男は、同性の俺から見てもゲスイ野郎で、最低だ。


「望はやめとけ」

「なんでだよ?彼女じゃないけど、大事な存在ってか?」

「そうだよ」

「お前の彼女はあのセクシーなのだろ?知ってんのかよ?」

「公認だよ。彼女も望の親友だ」

「そーかよ」


 まったく仲良くはないが、シフトが一緒のことが多いからよく話す。別の大学に通うこいつは、望に相応しくない男だ。翼に言っておかないとな。





 昨日は双子に避けられたと感じたけど、今日はいつも通り4人で並んで座った。

 席順は、最初の並びに戻り、望、光、俺、翼だ。よかった。右隣の翼に話しやすい。


「昨日、望がナンパされてた」

「なっ!」

「俺のバイト先の、ほら、金髪のヤベェの」

「まじかぁ」

「連絡先交換したって。気を付けた方がいい」

「だな」


 翼がずっと守ってきてたのに。俺が光の嫉妬作戦なんかに巻き込んだせいで、望がこんなことになって、すまない。


「望はそっちに帰るのか?あの金髪、今日シフト入ってるんだよな……」

「実家に帰るよう言ってたけど変更する。コンビニに近付くなとは言えないしな」

「シフト表確認したら、また教えるな」

「サンキュ」


 望は人の気も知らないで、のん気に光とおしゃべりをしている。

 バンドの活動が無くなって、それぞれにバイトだの就活だの、望や翼に至っては、もはや仕事始めてるようなもんだから、全員で集まることが減ってしまった。


「光、この後、時間ある?」


 嫉妬作戦なんて回りくどいことはやめて、ちゃんとしよう。


「うん。もうバイト辞めたから」

「そっか。芸能は?仕事、続けてんの?」

「うん、ヘアケアのCMの会社が、マスカラとか、メイクのCMもって言ってくれて続きを撮ってる」

「よかったな。そんでさ……」


 突然、Tシャツを背中からぐいーんって引っ張られた。首が締まる「ケホッ」。


「光ちゃーん、今日はどーお?」


 前に光と話してた男が割り込んできた。


「どおって、忙しいけど……」

「そんなことばっか言ってー、たまには付き合えよなあ?」

「ごめんね。今日は、約束があって……」


 そう言って、光は俺の腕を組んで歩き出した。光の手が汗ばんでいるのが分かる。


「ちょっと、待てよ!」


 光の肩に強引に手を掛けた男に、カッとなった。


「触んなっ!」


 男の手を力いっぱい振りほどく。


「お前、なんなんだよ、どけよっ」

「お前こそ、どけ。俺の女に手出すな」

「え?あ、そゆこと?」


 男が光を睨みつけた。うん、うんと激しく頷く光。素直でよろしい。


「っんだよ!弄んでんじゃねーよっ!」


 男の捨て台詞は間抜けに聞こえた。


「ありがと、颯」

「あんなのに絡まれて、我慢してたの?」

「我慢なんてしてないよ。ずっと思いっきり断ってたよ」

「はは。そうだったのか」


 光が少し震えてるみたいだった。


「ぎゅっとしてやろうか?」

「え」

「彼氏じゃなくて、友達として」

「お願い」


 両腕を開いたら、光が飛び込んできた。

 ああ、久しぶりだ。この感じ、光だ。


「望はいいの?」

「望?なんのこと?」

「最近、仲良かったじゃん?」

「ああ、もう、翼に返した」

「なにそれ」

「望じゃなくて、光がいいんだ。俺は。前からそう言ってるだろ?」


 光のハグが少し強くなった。


「行くか」

「そだね」


 並んで歩いた。手は繋がない。


「今日の夜は、望、そっち行くぞ」

「そうなの?」

「俺のバイト仲間にナンパされて、実家には帰さないって、翼が」

「えっ!まさか、あの金髪の人?」

「そ」

「私、あの人、なんか嫌い」

「俺も、なんか嫌い」

「望は嫌いじゃないの?」

「さあ?連絡先教えてたんだって」


 溜め息をつく光……お前も、さっきの男に連絡先を教えたんだろ?

 そう聞きたいけど、聞いてどうなることでもない。


「家、寄ってく?」


 もうすぐそこだ。


「ううん。このまま帰る」

「そうか」


 やっぱりだめなのか。まだ、心の溝は埋まってないんだな。


「またね」

「ああ、またな」


 光が家に寄らなくなり、楽しかった思い出が逆に辛く感じる。


「俺も、実家に戻るかなぁ……」


 秘密のない秘密基地は何の意味もなさない。




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