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幼馴染みの恋愛模様  作者: あおあん
鈍感な友達

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19/59

第19話 Scene:望「いたずらが過ぎるぞ!」

 昨日から翼が送ってくれた台本を必死で読んでる。

 脇役とは言え、ほぼ毎話、出番があるし、セリフも少なくないよーな……


「ちゃんと頭に入ってるか?」

「おう!ばっちりよー!」


 やる気満々、テレビドラマだしね。華々しいデビューだよね。


「よろしくお願いしまーす!」


 大きな声で挨拶する。常識だよね。


「お前の方が、光よりやりやすいかも」

「ホント?私、めっちゃ、頑張るからー!」

「ああ、分かってるって。望はいつも頑張ってるよな」


 こういうこと言ってくれる翼、好き。


「それでは収録始めまーす!」

「行ってくるねーっ!」


 セリフはちゃんと言ったけど、テンションが違うってやり直しをくらってしまった。

 でも、2回目にOK出た。ほっ。


「初のNGだな」

「初めては誰にでもあるもーん」

「その通りだな」


 翼はずっと見ててくれる。

 途中でいなくなっちゃったら、ちょっぴり不安かも。


「ずっと居てくれて、ありがとねー」

「どういたしまして。楽しんでるよ」

「私のこと、見てて、楽しいのー?」

「楽しいよ。目指してたって言うだけあって、芝居、上手いのな」

「ホントー?」

「本当、本当、光のは冷や冷やして、見てらんなかった」


 わーい!褒められた!嬉しいなっ。


「ねぇ、それさ、颯にも言ってよー」

「は?」

「私のお芝居上手って、颯にも教えてあげてー」

「分かった。今度、言っとくよ」


 最初からやる気は満々だったけど、さらに頑張るぞーって気になってきた。

 それから時間を空けて、呼ばれて芝居して、また時間を空けて、呼ばれて芝居して、を繰り返してやっと解放された時にはもうヘトヘトだった。


「動けるか?」


 翼が優しい。


「おんぶして」


 ダメもとで言ってみた。


「ほれ」


 翼がしゃがんで、こっちに背中を向けている。


「わーい」


 翼の背中に乗った。

 眠くなってくる。もう、少しも動きたくない。

 車の前で降ろされて、後部座席に乗せられそうになった。


「助手席がいー!」

「分かった、分かった、はい、どうぞ」


 ドアを開けて待ってくれてる翼は、執事のようだ。

 座ってからは意識が飛んで、さっぱり覚えてない。


「のぞみ、のぞみ」


 何度も呼ばれて、目を開けた。


「着いたけど、俺んちでいい?遅いから、お前んち、連れてけないわ」


 いいよ。


「おい、起きろって」


 むり。


「のぞみ」


 抱っこして、連れてってよ。

 そう思ってたら、なんか、ふわっって、脇と膝の後ろを持ち上げられて……ちょっと、怖くなって、翼の首に手を回した。落っことさないでね。


「なんだ、起きてるのかよ」


 無視。


「別にいいけど」


 この匂い好き。くんくん。


「おい、それ、やめろ」


 やだね。


「落っことすかもだから」


 それはまずい。


「光が寝てるから、静かにな」


 頷く。顔は首にくっつけたまま。


「空いてる部屋あるから、そこで寝ろ」


 動かない。


「聞いてんのか?」


 動かない。


「寝たのか……?」


 私をお姫様抱っこしたまま、鍵を開けたのが分かった。


「靴、脱げるか?」


 足をバタバタして、靴を脱ぐ。


「なんだ、起きてんじゃねえか」


 バレてしまった。


「なんか食うか?」


 無視。


「風呂入るか?」


 無視。


「じゃ、そのまま寝ろ」


 ドアを開けたのが分かった。

 私をそっと、ベッドに置いた。


「ほら」


 翼の首に回した手をほどかない。


「寝ろ」


 絶対に放さない。


「いい加減にしろ」


 だって、ずっと、こうしていたい。


「放せって」


 いやだね。


「いたずらが過ぎるぞ!」


 翼が強く言ったから、放しちゃったじゃん。


「いたずらじゃないもーん」

「だったら、これも颯に言っていいのか?」

「それはだめー」

「そういう事だろ。後悔することはやめとけ」


 いたずらじゃない。噓じゃない。ずっとああしてたかった。でも颯には言って欲しくない。

 いろんな思いがぐるぐるって胸の中で回って、どうしたらいいのか分かんない。光に話したい。相談したい。だけど、聞いてもらえないよね。光は好きな人のこと、私には話してくれないんだもん。




「おはよ」

「ひーかーりー!」

「昨日、遅かったんだって?」

「うん。翼がね、お姫様抱っこして、ここまで連れて来てくれたんだよー!」

「そっか」


 光と翼と一緒に朝ごはん食べて、一緒に学校に行った。

 授業の合間に、翼が私に言った。


「今日、お前んち寄っていい?」

「なんでぇー?」

「おばさんに望がこっちで生活していいか聞いてみるわ」

「え?いーの?」

「まだちょっとしか経験ないけど、撮影の時間っていつ終わるか分かんないんだよ。昨日みたいに夜中に送って行けない時間になると困るからさ。せめて撮影が続く間、家で一緒に生活していいか聞いてみる。光もいるし平気じゃね?」


 それって、お嫁さんになったみたいじゃない?




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