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幼馴染みの恋愛模様  作者: あおあん
双子の思惑

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第14話 Scene:光「頼むよ、行かないで」

 望と翼が出て行った。

 颯に手を捕まれてる。


「俺のこと嫌いになったわけじゃないんだろ?」


 もちろん好きだけど、そうは言えないでしょ。


「望にはもうバレたんだよ。堂々と付き合おうぜ」


 そんなこと、出来るわけないでしょ。


「きっと望も応援してくれるって、俺たちのこと」


 そんなこと、願っちゃダメなんだよ。

『颯は望の気持ちに気が付いてないんだな』この前、翼に言われて、まさかって思った。颯がそこまで鈍感とは思ってなくて、だって、誰がどう見たって望の好意はバレバレだったのに。


「な?光、これで、正式に付き合えるよな?」

「ごめん、今は……ちょっと……」


 そう言って、立ち上がった。

 颯が後ろから抱きしめてくる。


「頼むよ、行かないで」


 そう言って、首にキスしてくる。


「ごめん」


 今、離れないと、動けなくなる!

 頑張って振りほどいて、家から逃げてきた。


 もう……どうしよう……どうなっちゃうんだろう……せっかくフェスをいい形で終えて、卒業まであと半年、みんなと仲良くやりたいだけなのに。


 マンションの下で翼に会った。


「望、大丈夫だった?」

「すげぇ怒ってて、最後、声掛けらんなくなって」

「ごめんね」

「いや、お前のせいじゃないだろ」


 暗い顔して、二人で帰宅。

 それぞれの部屋に入る。

 お腹は空いてないし、今日はもう、このまま寝るかって思った。


「光、ちょっと来て」


 声がして、翼の部屋に行く。


「次の仕事のオファー、これ来たんだけど、どうする?」


 これまで翼は受ける仕事を私に相談したことが無い。


「ん?」


 資料を覗き込んでみる。


「座ってちゃんと読んで」


 そう言って、椅子を譲られた。


「テレビドラマ……?ずいぶん大きな仕事だね」


 そう言いながら、配役のセリフを読み進める……あ。

 ちょっとエッチなシーンがある。


「受ける」

「ちゃんと読んだか?」

「読んだよ。やる」

「分かった」


 投げやりな気持ちじゃない。どちらかというと、投げやりになりそうな気持ちを立て直す意気込みだ。私に来たオファーを、真面目にお受けするんだ。





 新学期、学校に行っても、望は目を合わせてくれなかった。

 私は翼と、望は颯と授業を受けた。


「颯、完全に取られちゃったな」


 分かってるよ。自分で選んだことだもん。仕方がない。


「なんか、言い返せよ」


 翼が気を遣ってくれてるのが分かる。


「ありがとう、優しいね」

「思ってたのと違うな」

「どうせ私はバカだからね」


 長い夏休みが終わって、後期の授業が始まって早々、二分してしまった私たちはそれぞれに学校生活を始めることになってしまった。


「今日、飲み会あるけど行く?」

「翼行くの?」

「ああ、誘われてるから」

「私も行っていいの?」

「いいよ」


 こう言うのはあまり好きじゃなくて、避けてきてたんだけど、翼が一緒だし行ってみることにした。


 オシャレなバーのような飲み屋に、私たちを入れて全部で8人。男女半々。


「突然来て、ごめんなさい。大丈夫でしたか?」

「ウェルカム、ウェルカム。もうさ、ずっと光ちゃん連れてきてって翼に言ってたんだけど、やっとだよなぁ?!」

「そうそう!やっぱ、綺麗だよなぁ!」

「マジで、俺も思った。さすが、芸能人は違うよなぁー!」


 あまりの盛り上がりに驚いてしまう。

 いつも、ボディガードのように側にいるはずの翼は、知らない女子達に囲まれて話している。


「ねえ、ねえ、芸能界って怖いところじゃないの?」

「別に……私、芸能人ってわけじゃないし」

「そうなの?こんなに美人なのに?」


 隣の人が肩に手を回してくる。顔が近くて気分が悪い。


「えっと……」


 そっと振りほどいて、お尻をずらすと、反対側の人にぶつかった。


「こらっ!お触りは無しだぞ!」


 そう言って、両側の人たちがグッと体を近付けてきた。

 知らない人たちに挟まれて、とうとう動けなくなってしまった。


「あの、ちょっと、お手洗いに……」


 必死に輪から抜け出す。


「はぁ……」

「懲りた?」


 トイレから出たら翼が立ってた。


「え?」

「世の中の男の大半は今日みたいなのだと思った方がいい。こう言っちゃなんだけど、お前も望も世間知らずなんだよ。俺と颯がいつも一緒に居たから、あーゆーのに縁遠いまま大人になっちゃった的な?」

「……」


 どうしろって言うの?

 これまで、大切に守っていただいて、ありがとうございます、とでも?

 ご親切に、現実を教えていただき、感謝いたします、とでも?


「いつ帰るの?」

「お前が帰りたくなったら、いつでも」

「あ、そ」


 勇気をふり絞って、さっきの輪に戻る。


「光ちゃーん、お帰りー」

「た、だいま」

「お酒ないよー?次、なに飲む?」

「え、お酒はもう……」

「じゃ、これにしな、ね?」


 オレンジジュースみたいなのが出てきた。


 それから、どうやって帰ったのかは記憶にない。




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