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我が愛しの守護天使様  作者: ハタケ


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32/33

Bエンド

 ところが本当の俺に裕福な実家などなかった。二人の妹もいなかったし、南愛美も架空のヒロインだし、中野美加子は存在したが、話したこともない。ただの高嶺の花。もちろん和泉夢衣とかいう非現実的な天才絵師も存在しない。唯一存在したのは親友の赤坂だが、彼とは高校卒業後、一度も会っていない。

 とにかく、すべては俺の創作だったのだ。遺書代わりのただの怪文書、それがこの『我が愛しの守護天使様』だ。

「遺書代わりに小説書くんだったら、もう少しマシなものを書けばよかったじゃないですか」

 ゴミ箱の中のような部屋で仰向けになる俺を見下ろす金髪の少女、リマエル。

「帰れ」

「どうやって帰れと? 私はあなたの一部だというのにね……くひひひひひひひ……」

「お、そうだな。でもお前ももうすぐ消えるから。なぜなら俺がもうすぐ消えるからな」

「クソみたいな遺作(笑)を書き終えたことですしね」とリマエルはニヤリ。「でも最後に反省会をしませんか? 来世こそ充実した人生を送れるようにするために」

「もうどうでもいいです。何も考えたくないっす。成功とか失敗とか敗者とか勝者とか、もう一切考えたくないです。どっか行ってください」

「まあそう言わずに。では私からアドバイス。身の丈に合った生き方をしましょう」

「そんなことわかっとるがな。消えろ役立たず」

「自分の悪口乙。でもこのすばらしき遺作を書いている最中、楽しかったでしょう? 何せ自分の理想を詰め込んだのですからね……くひ」

「それがまったく面白くなかったんだよなぁ。ひたすら面倒くさくて苦痛だったよ。やっぱワイ、小説書くセンスなし。……いや、違うな、情熱がなし、だな。結局俺、何かを作るの、嫌いだわ。というか全てが嫌いですね。そして今が一番幸せですね。なぜなら、大嫌いなこの人間の人生が今ようやく終わるからです。うぇ~い」

「よかったですね、楽になれて。図らずもゾラの居酒屋と同じようなエンディングになりましたね。まさに底辺の最期」

「まあでも、小説書いてる時はまるでその中に自分がいるようだったな……。ずっと再会したかった赤坂とまたバカやったり、欲しかった生意気な妹二人、音楽に理解のある彼女、そして最後はずっと憧れていたあの人と結ばれる……。って、なんだこの苦痛に満ちた夢は。ひどすぎる。覚めたら地獄になるだけじゃないか……。まさに悪い夢……いや……いい夢……だった」

「そんな無理して名言引用しなくてもいいですよ。それにしてもこいつまたレトロゲーネタとか言いだしましたよ。やっぱ好きなんすねぇ」

「そのとおり。俺にはゲームしかなかった。なのになぜアニメやラノベやVTuberなんかにうつつを抜かしたのか……ものすごい後悔している……時間返せ……大っ嫌いだね、あんなもん、くっだらねぇな……。ゲームこそ俺の全てだ。それに早く気付くべきだった」

「選択ミスしたあなたが悪いとしか。まあそろそろ時間なので、パトラッシュと共にさっさと天に召されましょうかね」

「はーい、よーいスタート(棒読み)」

 それが俺の最後の言葉だった。

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