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ある朝のことだった。
「たまみさぁん! 好きです~!」
「おわっ!?」
クーラーの効いた部屋で気持ちよく寝ていたら、布団の中に何かが入ってきた。下着姿のいずみんだった。
「夜這いパーティーは双子VTuberとやってもろて」と俺はいずみんをベッドから降ろした。
「いやで~す。珠海さんとじゃないといやなんで~す。でへへ」
いずみんは、なんか焦点が定まっていないようだった。
「なんだお前、もしかして酔ってる?」
「酔ってませんよ~。単なる深夜のテンションです。なんせ50時間連続配信してたんで……えいっ」
そう言って倒れるようにして俺に抱きついてくる。
「たしかにお前、臭いな。まあマニアは興奮するんだろうけど」
「興奮してくれてもいいですよ~。ていうかお互いの初めてを今ここで解消しちゃいますかね……」
「どこ触ってんだよ」
いかがわしい場所に伸ばしてきたいずみんの手を払いのける。
「たまには私とデート行きませんかぁ? 明日でいいんで」
「とりあえず今日は一日中寝てろ。すごい顔してるぞお前」
目の隈がひどいのはもちろん、体全体が痩せ細っている。以前よりひどくなってるような気がするな……。
「はーい。その前に一緒にお風呂に入りましょう。珠海さんも臭いんで」
「俺は臭くねーよ」
多分。
でも一緒にシャワーを浴びることにした(は?)。というのも、申し訳ないがいずみんはひとっかけらも好みじゃないから、妹と同じ認識なんだワ。だから下着だろうが裸だろうが平気。んで、二人も妹がいることもあって女性の大事な部分も見慣れているから、対象が好きな子でもない限り、それもなんとも思わないっす(ほんとー?)。
というわけで俺が先に入って適当にシャワーを浴びていると、後から入ってきたいずみんが頼みもしないのに俺の体にボディーソープを塗りたくって勝手に背中を洗い始めてそのうち手が前に伸びてきて、
「わ~、朝立ちってこんなに長く続くものなんですねぇ……」
と、ほざいて余計なサービスをし始めても俺は無視無感情を貫きましたね……(頬をヒクつかせながら)。
「溜まってるってやつなんですかね……。じゃあ私が解消してさしあげますね?」
「……」
いずみんが俺の体に何かしている最中、ふと脱衣所の方に目をやると人影が見えた。
「誰かいるのか?」
「いませんよー。美人絵師が冴えない男子に手でしてあげる様子を配信したりなんかしてませんからねー?」
「……」
「安心してください。配信で流してるのは音だけですから。つまりリアルサウンドです。映像はありません」
「なんでもいいから早くしてくれ~」
「早くするのは珠海さんの方ですよ。ホラホラホラホラ、早くイっちゃってイっちゃってイっちゃって」
「いきますよーいくいく……ヌッ(完全演技)」
「あっ、出た……と思ったら唾吐いただけじゃないですか。こんなんじゃ撮れ高になんないんだよ。この前みたいに炎上レベルのセクハラを私にしてホラホラ」
「お前一人でやってろ」
俺は素っ裸のいずみんを持ち上げてお湯が張られた浴槽に投げ入れた。
「溺れる! 溺れる!」
本当に溺れたかのように手足をばたつかせる。大げさだな、と思ったけど、そういや徹夜明けだったな。俺は急いでお湯から引き上げた。
「んああああ死ぬかと思ったっ!」
裸なのに俺に抱きつくいずみん。ガリッガリで肋骨が浮き出ていた。
「罰として人工呼吸してくださいね?」
「はいはい」
俺は半ば自棄になっていずみんの唇を奪った。
「~~~~っ!?」
さすがに舌は入れなかったが、だいぶ長い時間唇を塞いでいた。
「これで気が済んだか?」
「全然足りないです! 今度は舌の口をお願いしますっ!」
そう言っていずみんはそういう体勢を取り始めたが、さすがに俺はサッと目をそらしてそそくさと退場した。
そしたら脱衣所に予想どおりスマホを手に持っている莉茉がおりましたとさ。
「お兄さん、今日の配信のコメント欄は見ない方がいいですよ。前以上にみんなの怒りを買ってますから……くひひひ」と莉茉は小悪魔な笑みを浮かべた。
それから数分後、愛美からメッセージが届いた。
『幻滅しました。タマくんと別れます』




