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侵略者に愛されて……  作者: 尾岐多聞
第3章 総力戦の果てに待つもの

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第44話 狂獣児 STARTINGOVER⑦

 室内を支配する重い沈黙を破ったのは、白琅狂真の固い声音による呟きであった。


「……これで納得できた。

 どうして景之があれだけ遠征軍内で幅を利かせているのか、そしてシュネビムをはじめとする鳥人族どもがあれほどまでにへりくだるのかが……!


 ですが、エクルーガ軍としてはリオルグさん単独で奴を(たお)せると見込んでいる訳なのですか……!?」


 軍器開発副長官と統衞官が互いに発言を譲り合うかのような数秒の間を置いて、「これに関してはわたくしから……」とドゥゼル=リゴレックが口を開く。


「結論から申し上げますと、ユフェルス遠征隊長の使命は界帝様のご意思を“選ばれし地上の民”に伝達し、エクルーガと三次元世界の未来へ向けての友好的な交流を続けることにあります──ですが、たとえ同行した()()()()ラージェスと共闘しようとも闘主と一体化したあの男に勝利するのはかなり厳しいと予想され、それゆえにある特殊任務を担っているのです……!」


「──目覚めしラージェス……?」


 この疑問に、間髪入れずルギロスが答える。


「呪われし鳥人族として生を受けながら、あらゆる自然法則の敵対者である創造主=闘主の邪悪さを唯一看破して正義の使徒として覚醒した勇者です。

 むろん当初は我々も敵性スパイの疑惑を固持して対応にあたったのですが、あらゆる身体及び心理テストをクリアし、最終的に界帝様への謁見を経て入軍を認められたという訳です……」


「じゃ、オレと(おんな)じ立場だ……。

 だが知らなかったな、そんな漢があの鳥人族にいたなんて……。

 でもそんなツワモノ二人が組んでも景之(アイツ)に勝てないだろうとは……」


「いいえ、むろんそうと決まった訳ではありません──何しろユフェルス隊長は我が軍にあっても上位五人に確実に入るほどの強者であるのは衆目の一致するところですし、片やラージェスも仮にシュネビムと一騎打ちするならば、最悪でも相討ちに持ち込めるだけの力量は有しております。


 ですが界帝様はこう宣言されたのです── 

 

“余はこの戦いで長らく続いた闘主との抗争に完全な終止符を打つ心算(つもり)だ。

 そのため彼奴の依代である阿津間景之……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 よって、両名(リオルグ&ラージェス)の任務は相手の唯一の弱点というべき想い人(久堂亜美紗)を帝都(ここ)へ拉し来たることにある……そうなれば必ずや阿津間は現れる。


 むろん我が股肱のリオルグなれば景之と五分に渡り合い、あわよくば勝利する目算も立とうというものだが、たとえそうであっても酸鼻を極めた長期戦となるは必定ゆえ、地上世界に甚大な被害を発生させる公算が大──よって因縁の清算は()()()にて決行されるのが筋というものであろう……”


 ──と」


「ということは……少なくともオレが景之(ヤツ)を討ち取る機会は無くなったってことだな……。

 かくなる上は標的をシュネビム一本に絞れるって訳だ──却って集中できてよかったのかも……」


 ドゥゼルとゼスターが同時に頷き、統衞官がかつてない総攻撃が目前に迫ったことを高らかに宣言する。


「対阿津間景之(闘主)につきましては界帝様に、そして影神団を核とする【闘主軍地上部隊】(ブレイブスターズ、天空の剣、青い雷)壊滅はユフェルス隊長とラージェスに委ねることに致しますが、シュネビム率いる鳥人族軍は言うに及ばず、それに従属する地上人主体の異空遠征軍ももはや矯正不可能な段階まで闘主の奴僕化している以上、エクルーガの総力を結集して今度こそ完全に殲滅せねばなりませんッ!


 そして大勝利の後にこれまで次元を異にしてきた友人たちと悠久の絆を築き上げ、力を合わせて計りしれぬほど広大で豊饒な〈平和の王国〉を築き上げるのです──!!」


          【完】


 




   


 


 





 







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