表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
侵略者に愛されて……  作者: 尾岐多聞
第3章 総力戦の果てに待つもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/44

第33話 最凶鳥人来襲!!③

 早くも勝利を確信していたラージェスの後頭部と首筋を凄まじい激痛が襲ったのは悠然と地上に舞い降りようとしたまさにその瞬間であった!


「──ぬぎゃおッッ!?」


 その原因があの奇怪な機械蜘蛛であることは理解しつつも、完璧に(かわ)しきったはずの毒牙を食らってしまったらしいという事実が最凶鳥人に多大なショックを与えていた。


「お、おのれ猪口才なッ……!

 (後頭部に回した指先の鋭い爪で小さな刺客を一匹摘んで引き剥がそうとするものの既に2本の牙は根元まで皮膚に食い入っており、加えて同様の激痛が次々にハネ上がったことで被害者は悲鳴に近い呻き声を上げながらも渾身の力を込めて蜘蛛を自身から毟り取る。


「ぎぐわあぁッッ!!」


 ボディそのものは取り除けたものの折れた(或いは意図的に脱落した)牙は既に体内に侵入しており、対エクルーガ人に特化した致死性猛毒ウイルスを拡散させながら更に深く埋没してゆく──それに呼応するかのように、景之が指摘したよりも1匹多い8匹=つまり残り7匹の棘蜘蛛たちも14本の毒牙を体内へと発射したのである!


「るぐおおおぉッ……ぜ、全身がシビれてきた上に視界まで霞んできおったッ……!

 む、むろん強化措置によってノーマルな鳥人族の十倍近いはずの我が免疫機構がフル作動して忌わしい魔毒を吸収分解してくれているはずだが、ここまで大量だとかなりの時間が必要……よもやその前に心臓がパンクするようなことはあるまいが、果たして回復するまで私の意識が保つか……!?」


 その懸念とは別に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()久堂亜美紗を抱いている以上、とりあえず着陸することが何より先決──かくて必死の思いで地面に降りたラージェスは、等身大の鉛の人形ほどに重く感じた影神団の妖姫を静かに横たえてからバッタリと倒れ伏したのである……。


          ✦


「──やはり嗅ぎ付けおったか……自他共に認める楽観主義者(オプティミスト)たる私も、よもやこのまますんなりと玄空羅刹を完成できるとは見ておらなんだが、まさかラージェス本人が襲撃隊を率いて乗り込んで来ようとは想定外であった……!

 しかも痛恨にも亜美紗さんを人質に取られてしまった今、棘蜘蛛の猛毒によって一時的に昏倒させ得ても親衛隊が彼奴を庇護しておる以上迂闊に救出にも出られん……」


 地下研究室兼秘密工場の壁に嵌め込まれた縦2.5メートル×横4.5メートルの大型スクリーンは山荘内外に設置された合計17台の監視カメラ映像を伸縮自在の画面分割によって全て映し出すことが可能であり、目下のところは中央で二分されて前庭に横たわる鳥人族の戦鬼と三次元人の美女及びリビングで待機中の不気味な有翼戦士団にフォーカスしていたが、彼らも当然棘蜘蛛落下の標的となることは免れなかったものの全身を隈無く青光りする装甲戦闘服で包み、顔面も青白い半透明のカバーで保護されているお陰でノーダメージらしく、ひとまず青みがかった銀色の翼を羽撃かせて部屋の四隅に退避してからお返しとばかりに絶対零度(-273℃)レベルと推測させる極冷凍嵐を床に放射して“ミクロの防衛隊”を機能停止に追い込むと、次々に窓外に飛び出してゆく。


「くッ、やるな……!

 ──ですが、ラージェスの挙動から判断しますに、彼奴らは久堂副(遠征)長へ危害が及ぶことを何よりも忌避したがっているようですね……ということは、我々三人が迎撃の挙に出ても彼女の生命が脅かされるということだけはなさそうですが……!?」


 “侵略者(エクルーガ)殲滅軍”勇気の翼の事実上の首領・シュネビムから派遣された三名の中で最も若く血気盛んな目に鮮やかなコバルトブルーの体色を有するディルドが声の響きでリーダー格の最年長者・バローギに出動許可を求めるが、“深謀熟慮を重ねた上での電撃的行動”を信条とする落ち着いた色調のジェイドグリーンに彩られた団長(チームリーダー)は軽挙妄動を抑制された声色で諌める。


「──まあ待て。キミも理解しているように我々の地上における活動はこと兵器製造については景太郎博士、そして戦闘面に関しては景之総帥の指示によって進行することを厳命されている。

 そして久堂副長立ち会いの下で今朝の影神団会議が行われたからには当然総帥はこの異常事を把握されており、もうすぐ【時空移送機】によってここへ到着されるはずだ。

 となれば戦力は4対4の五分となり、勝利の可能性は更に強固となるではないか?

 されどこれはあくまでも私見だが、あの親衛隊(れんちゅう)の正体はどうやら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ゆえ、尚更総帥に攻撃強度の決定を判断して頂かねばならぬ……つまり彼らを殺めることなく捕獲して治療を施すことで勇気の翼(遠征軍)への復帰が叶うのであれば万難を排してでもそうすべきであるし、不幸にも不可逆的障害によって殺害に及んだ場合、狡猾なエクルーガはそのやむにやまれぬ事情を恣意的に歪曲して親衛隊員たちの古巣に伝達し、影神団への熾烈な報復感情を煽り立てるという奸計を弄するおそれが多分にあるのでな……!」


「……」


 一応納得した若武者(ディルド)に代わり、三人の中では170センチ余りと最も小柄で地味な栗色(マルーン)に色づくナスタが控え目な口調でこう発言する。


「しかしながら地上でいうところの瞬間移動(テレポーテーション)に極めて近い時空移送中には当然ながら外界情報を取得することは不可能ですから、総帥は移送機で設定された到着地点、つまりこの研究所の前庭に到着されるはず──ならばその瞬間にあの四体の刺客が一斉攻撃に出るでしょうから、防衛用天眼鳥を全て撃墜されてしまった以上、スタンバイだけはしておかねば……。


 実はここでわたくしに提案がございまして、総帥を無事お迎えし本格交戦に突入するまでの空白の時間を埋めるべく、艦長から命じられて地上戦用に開発しました【龍拳鬼】を解き放ちたく思うのですが……!?」

 





 






 


 

 


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ