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侵略者に愛されて……  作者: 尾岐多聞
第2章 美しき侵略者には夢がある

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第23話 影神団、光と闇の宴①

 ダークネスリング五人衆が日課のランニングに出発してから、景之・亜美紗・晶馬は今後のチーム運営について雑談形式の意見交換を再開したが、そこで影神団総帥は驚くべき見解を披露した。


「冴木君、おそらくキミの予想以上に不知火の動きは迅速なはずだ。

 実は先程言及した協力者たちからも興味深い情報が複数寄せられており、私自身は既に地上世界への攻撃準備が調っているからこそこうして表に出てきたのだと確信している。

 その内の1つがこのアカウントなのだが……重ね重ねで悪いが、【KeyBell】(国内でもトップシェアを誇る世界最大のSNSサイト)で火乃崎(ひのさき)舜矢(しゅんや)と検索してもらえるかね?」


「了解です──あ、これまた不知火と似たカンジの……」


 アイコンは何故かオレンジのテントの内部にて、茶髪のサーファーカットの美青年が琥珀色の細マッチョボディを赤いタンクトップにショートジーンズに包み、尤もらしく結跏趺坐して瞑想?している本人写真で、登録名の横に(キャンプ歴15年目・“エクスタシーキャンプサロン”ファイヤーメイツ代表)と記されてある。


「つまりコイツも不知火の一味=エクルーガの尖兵な訳ですね?

 でもキャンプマニアだから火乃崎って……不知火同様、当然これも()()ですよねェ?」


 一旦顔を上げて問いかける鳳凰陣ニューリーダーに、腕組みしたままの景之は意外にも首を横に振る。


「いや、それがどうも本名らしいんだ。

 しかも不知火とは異なりどうやら生粋の三次元人らしいんだが、何らかの手段によって心身共に完全に()()()()に取り込まれてしまっているものらしいな──プロフによると関西の大学に通う20歳(ハタチ)の青年で実家はかなりの資産家であり、ファイヤーメイツってのは大学のサークルじゃなくて彼が独自に主宰してる団体らしいんだがね……」


「う〜ん、臭いですね。

 不知火といいコイツといい、やはり敵の狙いは女性を中心とした若者をどんどんシンパとして取り入れて何らかの邪悪な計画に供するつもりのようですな……(スクロールしながら)投稿の殆どが今後のサークル活動と勧誘で占められてますし……もちろん実際のキャンプ画像や動画も鏤められてますが……」


「うむ、つまり組織の実態を把握するには実際に参加してみるしかない訳で、そこは既に手を打っている。

 目下、影神団で特殊な訓練を積んだ一人の女性メンバーが潜入しており、幸いにも?火乃崎にも気に入られて先日めでたく幹部会員へと昇格したという報告があったところだ……」


「えっ、女性がですか?……でもそれってかなりのリスクを伴いますよね……」


 影神団とはあくまで闘主の下に結集する異空遠征軍の1セクションと理解していた晶馬は、早くも新生DL=地上部隊が水面下で活動しているのを告知されて置いてきぼりにされたような焦りを覚えた。


「──ほほほ、心配は要らないわ。

 実は彼女は私の地元の後輩で最初期のDLメンバーでもあるんだけど、松島(パイン)に心酔して空手道場に通うほどの武闘派でバリバリの黒帯保持者よ……。


 尤もこれが残念ながら恋人同士じゃないのよねえ……パインの方はメロメロだったらしいんだけど、彼女真性(ガチ)同性愛者(レズビアン)だから……懐かしの夕星城(バンド)の天才キーボード奏者・巳琴嬢っていうれっきとした恋人(パートナー)が存在してて、祝福すべきことに未だ熱烈な関係を維持できてるみたいなんだけどね……」

  

「はあ、なるほど……そうなんですね……」


 必要以上に詳細な説明を受けて困惑気味の新遠征長は、今後敵とどう向き合うつもりなのかと上目遣いに総帥を窺う。


「ははは、何も思わせぶりな視線を送らなくても率直に訊ねたらいいじゃないか?

 ……別に手の内を明かすというような大仰な話でもないが、影神団の一員としての彼女は敬愛する久堂亜美紗君から熱き薫陶を受けつつ精進を重ねたことで、もはや遠征メンバーに何ら見劣りせぬ一廉(ひとかど)の戦士に成長している……。

 その証拠に、早速このいかがわしい団体の秘密の一端を掴んで報告してきてくれた。


 それによると、キミが慧眼によってみごと看破したように火乃崎はこれと見込んだ参加女性と次々に関係を持ち、口にするのも憚られるが卓越した手練手管によって強固な主従関係を結ぶことに着々と成功しているようだな……。


 なお、ご懸念の女性メンバーは予め自身の性向をハッキリと申告したお陰で()()()()()は何らの被害を受けてはおらぬようだ……。


 ま、コトがその範囲内に収まるのであれば我々外野が嘴を突っ込む問題でもないが、呪われしエクルーガの構成員がそれで収まるはずもなく、火乃崎家が複数所有している別荘の1つを完全にアジト化した上で黒ミサめいた淫靡な秘密集会が頻繁に催されているらしい……しかもその際に()()()として使用されるのが一般的なドラッグ類ではなく、ちょくちょく顔を出す不知火が故郷から持ち込んだ“魔薬”らしいのだよ……!」


「魔薬、ですって……?」


 ついに明らかとなりつつある侵略者どもの邪悪な試みに緊迫する室内……されど言葉を継いだのはまたしても“影神団の妖姫”であった。


「どうやらそれは、LSDやメスカリンがもたらす()()()()()()()()()()()ではなくて、一人の例外もなくまことに壮麗で厳格に秩序立ちつつも、異様な扮装に身を固めた住民と不可思議な形状の機械群が蠢く超現実的な都市へと使用者を導くそうなの……。

 

 そしてそこを当て()なく彷徨う内に、奇怪な鎧に身を固めた衛兵たちによって誇張なく小山かと見紛うほどの巨大な宮殿へと招き入れられ、その最奥部で瑰麗な赤い仮面と足先まで隠す装束でその身を隠した【界帝】を名乗る絶対者に対面させられるようなのだけど、どう考えても()()()()()()()()()()()()()()()()なんだと思わない……!?」


 


 


 


 


 

 


 


 

 

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