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悪意のある普遍的な思想

地獄を閉ざす一時の対価

作者: レー・NULL

 ただ一時、地獄から逃れようと足掻く身動きは、その瞬間を視界から閉ざすばかりであり、決して苦痛はその身を逃しはしないだろう。人が幸福を求めるとしても、その多くは自身の地獄を受け入れる事が出来ないだけだ。


 孤独を解消せんとすれば、後悔を募らせるばかりであり。後悔を持たないようにするのであれば、孤独に苛まれるだけであろう。ただ、安息は訪れることもなく、私は私の地獄の中を生きているだけ。


 その一瞬を閉ざす対価は、その一瞬では無いものを苛烈にするばかりだ。受け入れられない、受け入れたくないものたち。何れその重荷に耐えかねて、姿を眩まそうとも、それはその人だけの地獄だろう。


 しかし、不幸であるとは言ってはならない。人それぞれにその人だけの地獄があり、それを測ることなど不可能であるからだ。人は皆、地獄に焼かれる囚人であり、その有り様を比べたとして、虚しくなるばかり。


 空虚を解消せんとしたとして、焦りを募らせるばかりであり。焦りを持たないというのであらば、空虚に苛まれるだけであろう。一時の安息を望むが故に、私の地獄の中へ永遠に墜ちてゆくだけ。


 それを受け入れる為には、救われる事を望んではならないのだろう。その苦痛に耐え続け、何れその命を散らさなければならない。この世界はその人の為の地獄であり、蜘蛛の糸等は在る意味が無いからだろう。


 そうだとして、願うのは。この地獄のような夢から覚め、あらゆる意味を為さなくなったとしても、この微かな足掻きにどうか、少しばかりの痕跡だけは願わせて欲しい。


 ただ一時、地獄から逃れようと足掻く身動きは、その瞬間を閉ざすものでは無く、私の地獄の痕跡を確かに刻むものであって欲しかった。私の地獄は私のものであり、それぞれの地獄が在るばかりだ。


 結局、一時の安息を望むばかりに、その対価は無意味な足掻きとなるだろう。解るよね、貴方のどんな苦悩も、何れは何にも無くなってしまうんだよ。だって人はね、自分の地獄しか眼に映らないんだ。

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