8 トンテキににんにく醤油ごはん、そして芋焼酎!
今日は肉が安く手に入った。
明日がチラシの特売日だから、買い控えが起きて安くなったのである。
セール当日は完売するからこのタイミングが良い。
分厚い豚ロース、脂身の配分も最高の品である。20%引きのシールが輝いている。
「こりゃトンテキにするしかないな」
夕飯のメニュー即決!
同じく肉コーナーにいた田口先輩は鶏むね肉大パックを手にしている。
「あら、栗田さんはトンテキ?」
「先輩は鳥料理ですか」
「あははは……息子たちには「鶏唐揚げ飽きた! 唐揚げ粉を変えても唐揚げは唐揚げだぞ!」って言われるから何か別のガッツリしたものを考えないとね。週3はやりすぎたかな」
「あーー、なるほど。じゃあ味噌漬け焼きなんてどうです? 味噌だれに漬け込んでフライパンで焼くんです。えーと、ネットにいい感じのレシピが乗ってますよ」
オススメのレシピサイトを見せると、田口先輩も目を輝かせた。
「あらいいわねぇ! これも、これも! 作ってみるわね」
「息子君たちがどう反応するか、結果聞くの楽しみにしてますねー」
アパートに戻ると、もう彩夏は帰っているようだった。階段を登っていたら彩夏が部屋から出てきた。
「栗さんおかえりー。今日はトンテキ作るんでしょ? お酒買ってきたよ! 芋焼酎!」
「気が早ーい」
笑いながら玲奈は部屋の鍵を開ける。
予約起動のエアコン様は今日もいい仕事をしてくれていて、開けたらそこは天国だ。
「あったかー! おじゃましまーす」
勝手知ったる我が家の顔で彩夏も入ってくる。
エプロンをつけて準備万端。
「まずは縮むのを防ぐために筋切りをするわ」
「はい! どうすればいい?」
「こうして切込みを入れるの」
「ふむふむ」
脂身を横断するように浅く切って、塩コショウをふりかける。
「サラダ油をひいたアッツアツのフライパンで焼くわ!!」
「焼く!」
ジュ!
と良い音をいわせて肉が焼ける匂いが部屋に広がる。じっくり両面を焼いたら、肉を皿に乗せる。
買っておいた千切りキャベツを添える。
「更にソースを作るわ。すりおろしのチューブにんにくと生姜をフライパンに入れる!」
「わー、いい香り! ああ、この匂いだけでごはん三杯イケる……」
「よだれ拭きなさい」
醤油とみりんと砂糖、酒を少々フライパンに入れる。
すぐに火を止めて、にんにく醤油タレをかける。
「完成!」
「わーい!」
茶碗に白米を盛っていざ実食!
「うんまあああああい! 肉汁が、肉汁が、もったいない! 醤油ベースだからトンテキなのにさっぱりいただけるのね!」
「落ち着け」
彩夏はおなじみのカップ二つに氷と芋焼酎を入れてあおる。
玲奈も芋焼酎を飲みつつトンテキをいただく。
噛めば噛むほど口の中に豚肉の濃厚な旨味と香りが広がる。
「くぅーー! ウメェ!」
「ごはんもう一杯もらっていい?」
「はやっ!」
匂いだけで三杯イケると豪語したとおり、彩夏はサッとこたつを出てもう二杯目のごはんを山盛り持ってきた。
キャベツを頬張りつつ肉も食べる。
「お店出せるよ栗さん。あたし毎日通う」
「そうかいそうかい。なら、そんな彩夏のために、フライパンに残ってるタレももったいないから、こうしてくれるわー!」
白米をフライパンに入れて、残っていたタレとからめて、再びごはん茶碗に。
にんにく醤油風味になった混ぜごはんをかきこむ。
「おいひーーー! 栗さんおかわり!」
食いしん坊バンザイ。
お残しすることなく何でも食べる娘、親御さんはさぞ食べさせ甲斐があったことだろう。
ロックの芋焼酎も更に飲んで、炊飯器はあっという間に空っぽになった。
トンテキにする豚肉はどれでもいいけどやはり豚ロースがトンテキに合うと思う(個人の感想でござい)
安いときに買って冷凍保存しとくとよろし
芋焼酎、純米酒、ビールも合うかな