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6 二日酔い予防にかんたん卵スープ!

 彩夏は今日、新人歓迎会という名の宴会があるから夕時に来ない。


 そんなわけで、久しぶりに一人の夕食だ。ひき肉マシマシにした麻婆豆腐を深皿に盛り付けていたら、祖母から電話が来た。


『ーー玲奈、久しぶりだねぇ。元気てやっとるか』

「ばあちゃん久しぶりー。元気も元気よ。店はいいの? かき込み時じゃない」

『従業員雇うことにしたからね、配膳と注文取るのは全部おまかせしとるんよ。紹介するから、あいてるとき帰ってきなさいな』

「はいはーい。私も今度友達と店に行こうと思っていたからちょうどいいわ。それじゃ、配膳さんがいるとしても、あんま長く話すと仕事に差し障るでしょ、切るわよ」


 電話を切って、ホカホカの白米と麻婆豆腐、簡単ネギのお味噌汁の夕食をいただく。

 おかずは麻婆豆腐のみだが、コイツがあるだけで白米が進むからいいのさ。作る本人が食べるんだから、充分。

 

 大食い対決バラエティを見ながらいただく。東京の三郎系1キロ超えのラーメン。

 若い頃はお腹がはち切れるほど好きなものを食べたいと思っていたけれど、30過ぎてから普通量でいいなという考えにシフトした。

 太る太らないでなく、胃もたれしそうである。


「静かだなぁ」


 もともと一人で食べていたからこれが普通なのに、すっかり彩夏がいる賑やかな夕食が馴染んでしまっている。

 実家にいた頃の夕食というと、祖母の店で、常連客のおじさんおばあちゃんたちに囲まれてたわいないことを話しながら食べていた。



 のんびり過ごしていると、九時半をまわったくらいでチャイムがなった。宅配なんて来る予定はない。


「たらいまーーー!」

「彩夏!」


 へべれけな彩夏が帰ってきた。


「あんた今日飲み会だったんでしょ。帰って寝るだけじゃないの?」

「エリアマネージャーの『俺の若い頃は』語りが始まったから逃げてきた。オジサンの自慢話聞きながら飲むお酒は美味しくないもん」

「ウワァ……。同情するわぁ」


 酔いのまわった年配者の過去語りほど面倒くさいものはない。中身がないのに同じ話を無限リピートするから、さらにたちが悪い。



「なんか食べる?」

「うーーん。さっぱりするものがほしい」


 とりあえずこたつに入ってもらって、水を出す。


「スープを作るからちょっと待ってて」

「はぁい」


 二日酔い予防によくて胃に優しいスープにしよう。


 小鍋にお湯を沸かして、顆粒中華スープのもとをまぜる。溶き卵を回し入れたら火を止めて、水溶き片栗粉を加えて塩と醤油で調味したらできあがり。

 器に盛り付けて刻んだ小ねぎをちらす。

 酒を飲んだあとには水分補給とタンパク質補給が重要だ。



「はい、できたよ彩夏」

「いただきまぁす。ふー、胃にしみるわぁ。あったかー。おいひー! おかわり!」

「飲むの早!」


 お疲れモードの萎れた花みたいな彩夏がちょっと回復して、しゃきっとしてきた。


「私もいただきます。ふー。卵スープってお手軽だけど美味しくていいわよねぇ」

「いいねえほんと…………ふぁああ」


 こたつで眠りそうだったから急いで叩き起こす。


「彩夏、彩夏。ほら、家に帰ってちゃんと布団で寝なさい」

「ふへー。カギ、カギ、どこだっけ」


 引っ張り出して自分の部屋に帰らせる。

 ほんのちょっと顔を出しただけなのにやっぱり賑やかだったなと、ひっそり笑った。

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