【黄昏の夢】
これは、ただの少年が黄昏時の夢を見てしまったお話。
女がナイフを持って迫ってくる。
俺はあいつから逃げるため全力疾走している。
そんな光景を見ていた。いや、”体験していた”
と言った方が正しいか。
逃げて、逃げて、逃げて、逃げた。
塀も乗り越えた、石も投げた、死角に入った。
それでもあいつは追ってきた。
いつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでも。
そして黄昏時、午後6時頃になったところ・・・
俺はあの怪物に追いつかれてしまった。
逃げ切れなかった。生きられない死にたくない死にたくないしにたくないシニタクナイ
でも現実とは非情なもので、奴はゆっくりとナイフを近づけてくる。
ナイフとの距離が10cmほどになったところで一気に刺され___。
「うわあああああ!!!!!」
僕は夢を見ていた。
それはとてもとても怖いものだった。
ストーカーに追いかけられて最後には刺される夢だ。
でも今は大丈夫!僕にはとっても優しい彼女が居るから!
僕の彼女、花はとっても可愛くて優しくて僕を甘やかしてくれるんだ!
しかも家事全般できて美人な非の打ちどころのない子なんだ!
『●んトウに●うカ?』
ぐっ!なんなの今の?
頭が痛い・・・
花に甘やかしてもらお
「花~」
「どうしたの●●くん?」
「頭痛い~」
「あら~●●くん大丈夫~?いつものする?」
「する!」
「「痛いの~痛いの~飛んでいけ~♪」」
「なおったー!」
「お~よかったねー●●くんっ♪」
やっぱり花の呪文は効くな~
『オ前はマチがってイる』
ぐがっ!?
今度は何?
夢とか頭痛とか考えてたら眠くなってきちゃった・・・
花に膝貸してもらお・・・
「はな~」
「今度はどうしたの~●●くん?」
「ねみゅいかやひじゃかして~」
「ん~わかったいいよ~♪」
「んう~」
僕がたまたま寝た時間は、皮肉にも夢と同じ、黄昏時だった__。
ちゃんと寝てくれたかな?
よしよし、ぐっすりだね♪
ちょっと洗脳が解けかけた時はびっくりしたけど・・・
許容範囲で安心安心♪
また追い掛け回すのは体力的にキツいからね♪
できれば追いかけまわすのは●●くんの精神的にもやめておきたいから。
今日も思い出しそうになっちゃったし、また洗脳しないとな~♪
ちゃんと睡眠薬も効くみたいだし♪
さーて、●●くんには一生私を必要としてくれなきゃ・・・
そうじゃなきゃ私の●●くんじゃない
私は●●くんがいなきゃ生きていけない、だから●●くんも私が居なきゃ生きていけないはず
だって私たち、”両想い”だもの!
ね?そうでしょ?●●くん?
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とある女の化け物は黄昏時に現世に姿を顕しこう云った。
「やっと見つけた。”両想い”の子」と。
其の怪異、黄昏時のみ姿を顕すモノなり。
其の怪異、日が最も長く昇る一日、月の昇らぬ時姿を顕し続ける。
其の怪異_______。
”両想い”と称す寄生先を捜し続ける。
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そして”両想い”の男は・・・
死 ぬ ま で 洗 脳 さ れ 、 寄 生 先 に さ れ る 。
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「ずぅ~っとずぅ~っと、一緒だよ♡」
「死ぬまで、ね・・・♡」
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『最後まで気付かなかった、か・・・』
『まだ生きたまま解剖されないだけマシなんだろうけどな』
『怪異の手に人間が侵されるのは、いつだって胸糞悪い話だ』
『お前らも見えないところで見られているかもな』
『怪異の餌にされたくなくば、夜や夕方、とくに”黄昏時”には気を付けろ』
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僕は、俺は___。何なんだ?
彼女?花?誰だ?違う、花はかわいい僕の彼女だ
そんな訳ない!俺には気持ち悪いストーカー女しか・・・
[●●くんっ♪]いやだ!記憶を失うのはいやだ![じゃあ、反抗しなければいいじゃない♡]
お前が俺を攫うかr[”反抗しないで”ねっ♪]がっ・・・
[ゆっくりおねんねすれば、こんな黄昏の悪い夢なんて忘れられるわ]
[だから、今はもう寝て、明日すっきりしてからめいっぱい遊びましょ♡]
[私の”両想い”の子___。]
チョモランマ山崎です。
早速連載のほうのアイデア無くなって単発小説に逃げました
ヤンデレあまあま共依存を書こうとした結果、
こちらの微ホラーが出来上がりました。
回避ぶっぱはぼちぼちやるんで許して下せえ