完成。これより始動。
「出来た!やった!ついに出来たよ!」
「おぉ!ついに出来たのか!」
シリルは大きな装飾が施された宝玉を月明かりに掲げ叫ぶ。
定期的に彼の下に通ってはや半年。
遂にその成果が完成へと至った。
「見てて。土よ!盛り上がれ!-テラスモ-」
シリルが呪文を唱えると土が盛り上がる。
「成功だよ!」
「あぁ!」
シリルが僕に抱きついてくる。
まさか本当に出来るとは。
彼が作っていたのは魔法を増幅する道具。
これがあれば少ない魔力で強大な魔法を行使出来るという。
やった。これが世界を変えていく第一歩だ!
「ほう。これはこれは。」
突然の僕達の声ではない誰かの声が静かな夜の空気に解けるように響いた。
小屋のドアの方を見るとそこには-
「父上。」
僕は驚愕の感情と共に声を上げる。
教皇にして聖王国国王シパー·スーキ・ディリージュが月光に照らされながら小屋の中を覗いていた。
僕の呟きにシリルがすぐさま膝を突き、頭を垂れる。
「ほー。時々ノエル殿下が魔石や書物を持って城を抜け出していると耳に挟んでいたのですが...」
突然誰も居ない所から声がしたのでそちらに顔を向ける。
そこにはこの国の魔法大臣であるフェアー·クリィー·ラブニィアーが魔法で光を作り今までの研究資料を読んでいる。
「ふむ。素晴らしい!魔法を強化する道具ですか。これをお作りになったのは...」
「僕です!」
ラブニィアー卿の発言を遮るようにシリルが大きな声で発言する。
「そう。」
ラブニィアー卿がシリルに近づき父上を見る。
何か意味のある目配せをする。
「-汝よ。そなたに生きる資格は無い-」
突然の父上の宣言にシリルが首を押さえて藻掻き苦しみ出した。
「な、ぜ!」
シリルは顔面を蒼白にし、目を限界まで見開いた壮絶な表情で涙を流しながら息絶えた。
「これは彼の者にとって相応しい罰。」
シリルの死に驚いていると父上が天より降り注ぐ光のような暖かく、耳を傾けたくなるような声でそう話す。
「この偉大なる発明は我が息子ノエルが知識を集め、道具を揃え作り上げたのだ。それを彼の者は自らの欲の為に自らが作ったと偽った。これは許される事では無い。」
父上の声がまるで心に溶け込み高揚する。
「そなたは頑張った!父としてそなたの成果は誇りに思うぞ!」
父上が僕を褒めてくれた。
「は!ありがたき幸せです!」
僕はその言葉に心から喜んだ。




