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ある日
1.
ピンポーン
時刻は午後五時を過ぎている頃だった。不意に鳴り響いたその音に勉強している手を止めた。宅配便でも来たのかと思いながら階段を降りていき、がちゃりと玄関の扉を開け顔を上げた。
思わず声が漏れそうになった。宅配便だと思って開けた扉の向こうには同じクラスの三浦律が立っていたからだ。友達があまりいない彼女にとって、人が家に来るなど予想もつかない出来事だ。ましてや、彼はクラスの中心人物的存在の人だ。いつも人に囲まれ和気あいあいと話しているのを私は知っていた。そして目の前の彼がゆっくりと口を開いた。
「…こんばんは。」
突然クラスの男の子が家の前に来ている状況に、戸惑いながらも、同じように軽い会釈と挨拶を返した。彼とは同じクラスだが、まともな会話をしたのは一度もない。なぜ彼がここにいるのか全く分からなかった。すると、沈黙を破るかのように彼は言った。
「少し、付き合って。」
はじめまして、のえるです。
何となく思い浮かんだお話です。
暖かい目で見てくれると嬉しいです( •︠ˍ•︡ )