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第六話

家では来週に迫った新人のための講習の準備をしなければならない。月一だけの出社だが与えられる仕事のほとんどが入社一年目の社員の教育係だ。まあ、自分が採用した人たちなので自分で責任を持って教育しなければならない。とは言っても全体の説明が終わってしまえば、後は各部署に丸投げなのでさほど大変じゃない。たまに例外としてモデルの仕事をしてもらいたいと思う子は真心に見てもらう。今年はその例外がいる。真心に見てもらった方が、真心経由で詳しいことが知れる。もともとモデルになりたくてこの会社に入っているわけではないのであまり強制はしないようにしている。


リビングで会社の仕事の準備をしていると、自分が帰ってきたことに気づいた真心が、下に降りてきた。


「頭痛は大丈夫?」


自分の顔を見て少しうなずく。自分が仕事をしているのを見て、邪魔をしないように自分の隣で気配を消しているようだが、逆に気になってしょうがない。こうなったらもう仕事は手につかなくなるので、さっさと切り上げて真心にかまう。そろそろ愛が帰ってくる時間なので、真心に構うことのできる時間は短い。膝に真心の頭を置いて、手をいじられる。いつもならもう片方の手で頭を撫でるのだが折れているためそれはできない。たまに頬を摘んだりしていちゃつく。この時に見せる満面の笑みがたまらなく好き。


「ただいまぁ。」


少し幼い感じの大きな声が玄関から聞こえた。愛が帰って来たみたいだ。真心はそれを聞いて、すぐに起き上がろうとしたが、自分はそれを力尽くで抑えた。真心はもがいているが、真心くらいの力なら片手で抑えることくらい問題なくできる。すると、後ろから愛が抱きついて来た。


「あれ、お姉ちゃんいたの。いいなぁ。」


「今日、頭痛で辛かったからもう少しこのままにしておこうかなって思ってね。」


真心は自分の手を掴んで自らの顔を隠していた。見た目からも、温度からも赤面しているのがわかった。愛と顔を合わせた後で、何かを察した愛は自分の部屋に戻った。


「そんなに恥ずかしいか?もういい加減見られても平気じゃない?」


真心は首を横に振り答えた。


「そっか。じゃあ慣れてもらわなきゃいけないね。これから、長い間一緒にいるわけだから。」


そう言って自分は顔を隠していた手をどけ頭の下に手を置き顔にむけて前屈して唇に触れた。


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