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第三十四話

「さて、準備に少し時間がかかりましたが、今から始めようと思います。今日は特別編ということで中学生以上を対象に行います。理由は扱う内容が内容だからです。精神的な負担を考えてこのような形を取りたいと思います。小学生以下のお子さんには親御さんの方からお子さんが成長したときに伝えていただきたいです。」


いつものように保護者の人たちはメモを用意していた。病院の先生方もメモを用意している。おそらくだが日向さんが宣伝したときに少しだけ内容を言っていたのかもしれない。


「この授業をこのときこの場所でするべきなのか正直悩みました。自分が今からする授業はこのときこの場所には決して相応しくなかったからです。この命を救うための施設内で失うことを教えようとしてます。今回の授業の内容は『死』です。」


保護者の方は少しざわざわし出している。その中にはさくらの両親もいた。先生方があまり反応がなかったということは日向さんが内容を少し喋ったことは確定みたいだ。


「難しくて重い内容になります。でも、今このテーマをしないといけないと自分が判断しました。もし、内容がよく無く、教師として相応しくないと思った方が1人でもいたら自分はこの職を辞めようと思います。なので、最後までしっかり聞いていただけると幸いです。」


自分が授業の枕詞をいい終わると隼人が立ち上がり、この場を立ち去ろうとする。


「隼人。待ってくれ。この授業はお前に向けての授業なんだ。頼む。聞いてくれ。」


隼人に向けて深々と頭を下げた。


「あんたに何がわかるんだよ。」


隼人が声を荒上げる。自分は頭をあげて、


「わかるさ。俺は2回家族全員を失っているんだから。」


自分は優しく諭すようにいった。隼人は驚いたのかその場に立ち尽くしてしまった。


「だから、経験者としてお前に伝えたいことがあるんだ。」


隼人に近づき肩を持って座らせた。


「中断してすいませんでした。では続きを始めましょうか。」


自分はホワイトボードの前に戻った。


「自分がこの授業を作り始めたのは1ヶ月前くらいからです。毎回のように授業を聞きにきてくださる保護者の方にはわかると思いますが自分の様子が少しおかしかった時はありませんでしたか?大体その頃です。そもそも自分がこの病院で教師をし出したのは、ある子から日向さんに向けてのお願いでした。その子は学校が好きだけどなかなか行くことができない。だから病院の中に学校を作って欲しいというお願いでした。そのお願いに白羽の矢がたったのが自分でした。教員免許を持っていて近くにいる人材。とても好都合な人間だったのかもしれないです。最初授業の依頼を受けるときにその子の病名と状態だけ聞かされていました。自分はそのときその子がどの子かを聞くことはしませんでした。生徒によって態度の変わる教師にはなりたくなかったからです。そこから自分とその子と仲良くなって行きました。元々の知り合いの大切な人ということもあって仲良くなるのには時間はかかりませんでした。でも、手紙を送るという授業の時にその子が自分に手紙を送ってきてくれました。その時に授業をお願いした子がわかったんです。ちょうど自分がおかしくなった頃と重なりませんでしたか?そこから自分は日向さんに確認をしに行きました。その子の状態がどんどん悪くなっていることをその場で知らされました。その時から自分は最悪の場合を想定してこの授業を作り出しました。」


隼人は依然下を向いたまま。


「自分もこんな授業はしたくはありませんでした。自分の役割は来ない方が良かった。でも、自分の役割はその子じゃなくて残された人のためだからやるしかない。病院の先生方の仕事は病人の病気を治すこと。教師である自分の役割は残された人を死の呪縛から救い出すこと。だからわざわざ、さくらの、大事な人をここに呼びました。」


さくらの両親に向けて一礼した。隼人は少しだけ顔を上げて自分の顔を見た。


「先ほども少しだけ口走りましたが、自分は2回家族全員を亡くしています。自分だからこそ話せる死からの克服を離そうと思います。」


ここからが本題。自分がホワイトボードに文字を書き始める。


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