第二話
茶碗一杯のタマゴ粥をフゥフゥと冷やし、真心の口に運ぶ。体調が悪いにも関わらず、今できる全力の笑顔で自分に応えてくれる。半分ほどを食べ終わった頃に食べ物の匂いを嗅ぎつけた母さんが姿を現した。
「美味しそうね。私も食べたい。」
「だったら作るから少し待ってて。真心、はい。」
少し浮かない顔をしていていた。
「大丈夫だよ。もう自分で食べられる。」
真心はレンゲを奪うと自分で食べ始めた。真心の気持ちを察した自分は真心の頭を撫でたあと、母さんの近くに行った。すると、母さんが小声で、
「なんか邪魔しちゃった?」
「そうだね。真心が人前で甘えられないの知ってるくせに。」
「悪いことしちゃったわね。」
「いいよ。作るからそこに座ってて。」
母さんは少しシュンッとしていた。母さんも真心の性格はわかっているため、少し反省しているのだろう。まあ、食べ物を出せばある程度機嫌が治るので問題ない。真心も家族なんだから気を使うこともないのにとは思うが自分にしか見せない顔があることに少しだけ優越感を感じるところもある。
「できたよ。熱いから気をつけて食べて。」
母さんの分のタマゴ粥を作り終えて、母さんの前に提供する。
「私は食べさせてくれないのね。」
「母さんはそこまで体調悪くないでしょ。自分で食べれる人は食べるの。」
母さんの相手を少しだけして真心の元に向かった。真心はもうすでに食べ終わっており、ソファーの前に体育座りして毛布に包まっていた。
「食べ終わった?」
「うん。美味しかった。ありがとう。」
「よかった。少しは楽になった?」
「うん。薬も効いてきて眠たくなってきた。」
確かに真心の目はトロンとし始めていた。ご飯を食べて体温が上がってきたのと、偏頭痛の薬の影響で眠たくなってきたのだろう。
「じゃあまた連れて行くから、後ろに乗って。」
真心の体温を背中に感じながら母さんの方を見た。
「器用に担ぐのね。右手しか使えないのに。」
「真心が軽いからね。しっかりと自分に体重をかけてくれて安定するから。」
「そう。真心、今日一日寛にしっかりと甘えて、元気になりなね。」
自分の首に触れてる真心の顔の温度が上がった気がした。赤くなっているのだろうか。返事はなかったがさっきよりも腕の力が強くなった。
「じゃあ、寝よっか。」
真心は頷いた。母さんは熱々言いながらタマゴ粥を食べている。少し楽しそうだった。




