第十九話
会社内にある自分の部屋につき、2人の荷物を置く。部屋は整理整頓されていて、いつも綺麗。少しでも汚くするとルイが怒るので片付けが苦手な愛でも嫌々ながら整理整頓をする。整理整頓していると先に会社に出社していた真心がめいを連れて入ってきた。入ってくるや否やめいと愛は目を見合わせた。
「めいちゃん?」
「愛ちゃん?」
そういえば誰と仕事をするのかを両方にしてなかった。
「愛も知っていると思うけど今日からモデルの仕事をする沢村めいさんだ。一応年齢もモデルとしての経験も愛の方があるからいろいろと教えてあげてね。」
自分が説明しているのをよそに愛はめいのもとに走っていた。
「なーんだ、めいちゃんだったのか。どんな人か少し心配してたんだ。」
「こっちこそ。初めての仕事なのにいきなり2人での仕事なんて緊張してたの。怖い人だったらどうしようと思って。」
自分は真心のもとに寄る。
「あの2人仲良いの?」
「なんか旅行中に年齢が近いという理由で仲良くなったみたい。旅行中は基本的に2人で行動してたし、言ってなかったっけ?」
「聞いてないよ。」
「でも一応、寛のパソコンにメッセージとして送っておいたけど。」
「そういえばここのところ忙しくて、会社のパソコン開いてなかった。」
急いで自分のデスクにあるパソコンを立ち上げると、かなりの量のメッセージが来ていた。これをあとで全て見直さなければいけないと思うとため息が出てくる。自分の確認不足だったことを真心に謝り、仲良く話している2人に横槍を刺す。
「お二人さん?仲がいいのはいいことだけどもう少しで撮影の時間になるから移動して。後々、2人の時間はとるからさ。」
愛は剥れていたが早くしないと休みをなくすと警告したら借りてきた猫みたいに大人しくついてきた。
衣装に着替えたり、メイクしたりする2人より先に真心と自分は会社内の撮影スタジオに向かう。既に準備は整っているみたいだ。
「ひかる、遅れてごめん。今着替えているからすぐに始められると思う。」
「おっそい。こっちの準備はもう整っているんだから。」
遅れたと言ってもほんの数分。
「せっかち直さないとルイに嫌われるぞ。」
「わかってないのね。寛にはわからない強い絆で私たちは繋がってるから嫌われることなんてないのよ。それより今日、ルイは?」
「高校だよ。今日は普通の平日だから授業だろ。」
「もう夏休み終わっちゃったの?つまんない。帰ろうかな。」
「仕事なんだからしっかりしてくれ。今日は初めて撮影する子がいるから頼むよ。後でお菓子買ってやるから。」
「お菓子で釣れると思うなよ。もう私もいいレディーなんだから。」
「わかったわかった。終わったらルイ呼ぶからそれまで頑張ってくれ。」
「なら仕方なくやってやる。」
話している間に愛たちの準備も終わったみたいで元気よく愛が登場する。お互いに挨拶と自己紹介を済ませて、撮影に入る。
ひかるはうちの専属のカメラマン。本名は桃井ひかる。ルイと同じ孤児院出身で同い年。ルイがうちに来ることを知って、自分も働かせて欲しいと直談判してきた。この時すでにルイを引き取ることは決まっていた。父さん曰く、1人増えようが2人増えようがあまり変わらないとのことで、中学校卒業後、うちで雇うことになった。ひかるの要望で高校には進学せずにカメラマンとして修行したいとの事だったので父さんの伝で知り合いのカメラマンのもとに修行しに行った。修行先の夫婦は子供ができなかったのでひかるを娘として引き取ってもらうことにもなった。ひかるも2人のことを本当の両親のように慕っていたみたいで引き取ってもらうことが決まった時に泣いて喜んでいた。しっかりと1年間修行し、あとは実戦でということだったので今年、正式にうちの専属カメラマンとして採用した。ひかるの採用が決まった時にルイが誰よりも喜んでいたことはひかるには内緒。恥ずかしいらしい。
撮影も順調に進み、複数回の着替えを終えて、初めての撮影だっためいはヘトヘトのようだ。慣れない環境で初めてのことをするのは疲れて当たり前。ひかると愛は今だに飛び跳ねながら撮影をしている。めいは疲れてしまったのか自分の隣に座った。
「疲れたかい?」
「なんであの2人は元気なんですかね。私もう動けないです。」
「初めてにしてはすごい良かったと思うよ。自然な表情も出てたし、愛との息もあってたしね。」
「ありがとうございます。」
「今日はもう終わるから、今度からよろしくね。詳しいことは真心から聞いて。1人での仕事も増えてくるだろうからひかるとは仲良くしてほしいな。」
少し話しているとひかるがめいを呼んだ。仲良くすることは問題ないかな。




